大塚明夫(声優) ・【時代を創った声】
大塚さんは多くのアニメや洋画の吹き替え、ゲームに出演しています。 お父さんは5年前に亡くなられた大塚周夫さんです。 大塚周夫さんの代表作の一つは「ゲゲゲの鬼太郎」の「ねずみ男」です。 幼いころは絶対に役者になりたくないと思っていたという大塚さんに伺いました。
アニメ『ブラック・ジャック』、ゲームメタルギアシリーズの主人公「ソリッドスネーク」役など多くの吹き替えなどを担当。
うちの父は土日関係なく仕事をしていたので、非常に寂しい思いをしました。 将来大人になったら子供を連れて行こうと思っていました。
23歳の時に文学座の研究所に行って役者を目指そうと思いました。 勉強はあまり好きではなくて、学校も辞めてしまって、トラックに乗ったりして働いていましたが、歳を取ったらきつくなっていくと思ってそれでは人生が面白くないのではないかと思いました。 どうしたらいいかと思った時に、養成所に行きました。 子どもの時の思いはどっかに行ってしまっていました。
行ってみたらなんと楽しいんだろうと思いました。 生きる道はここしかないと思いました。 1年で卒業ですと言われて、文学座の養成所に井上ひさしさんの娘が同期でいて、小松座が旗揚げするという事で手伝いが必要だという事で、そちらに行き雑用係をしていました。
すこしずつ舞台に出られるようになりました。 その後父親から声優の仕事をしないかと声がかかりました。 なかなか難しいさを知りました。 納谷六朗さんにはいろいろお世話になりました。
舞台は面白くて舞台をやりながら声優もやっていました。 映画「48時間」のTV吹き替え版があり、刑事役のニック・ノルティー を担当しました。 周りは先輩ばかりでした。
夢中でやっていましたが、なかなかうまくいったのではないかと思ました。
50歳ぐらいの時に、声優なんだから何も評価されようと焦ることもないんだ、と思ったら芝居するのが楽になりました。 そうすると舞台の自由度も得られるようになって、芝居の面白さに気づきました。 父親(当時80歳)から「楽しく芝居をしてください」という一筆があり、それには感動して泣けました。
自分も同じ道を歩き始めたときに、父親の背中が遠くに見えて、楽をして生きてきた人ではないんだなあという事が判って、そこではライバル心は無かったです。
父親から教わった記憶はないが、よく真似はしていました。
子供のころは「ねずみ男」を観る事は嫌でした。 大人になると180度変わりますしたが。
メタルギアシリーズは小島秀夫監督ですが、よくぞスネークという役に抜擢してくれたものだと思いました。 スネークの場合は膨大なセリフの量なので、声を作ると持たないなと思ってニュトラルにやろうと思ました。 ゲームは膨大なので全体像が見えないのがアニメとは違います。
5年前に、声優を目指す若い人に向けて本を出版する。 帯に書かれている言葉「声優だけはやめておけ」はそんなことは言っていないんですが。 当たり役があるかないかはその人の運という事はあると思います。 生き残ってゆくためには運だけではだめで、技術力みたいなものがないと駄目だと思います。 苦にならない人、楽しめる人でないと身を誤るから気を付けてねという事で、それでもやりたい人は一緒にやりましょう、といったことが書いてあります。
声優を目指す人には楽しくやってください、と言いたいです。
段々残り時間がなくなってきたので、朗読の世界のことをやってみたいという思いはあります。