2014年1月25日土曜日

秋川雅史(テノール歌手)    ・ふるさとと「千の風になって」が教えてくれたこと

秋川雅史(テノール歌手)      ふるさとと「千の風になって」が教えてくれたこと
昭和42年生まれ 4歳からバイオリンtピアノを始めました。 
後に父の指導のもと声学に転向しました。
国立大学音楽大学、大学院を卒業後、4年間イタリアに留学、帰国して第9のソロや数々のコンサートに出演します。
平成13年日本人テノール歌手として最年少CDデビュー、平成18年には千の風になってが大ヒット、その年の紅白歌合戦に初出場しました。
併せて4回の紅白出場を果たしています。
現在もTV、ラジオなどの出演のほか軽妙なトークを交えて、全国ツアーのコンサートも精力的にこなしています。
故郷への想い歌手としの心構えなどをお聞きします。

コンサートにはトークを楽しみに聞きに来てくれる人の多い。
一曲に使うエネルギーが大変なので、トークでエネルギーを回復していこうとしている。
いろいろどんなことをしゃべろうかと考えているうちに、台本を書くようになってしまって、最近では、何をしゃべるんですかと言われたりするようになってしまった。
西条市のお祭りには必ず帰ってくる。 46年間必ず地元にいます。
仕事は入れない様にしている。 祭りで声を壊してしまうので10月15,16日だけでは駄目で20日まで休む。
1年これから頑張るぞと この祭りからエネルギーを貰う。
のどの為には毎日毎日気を使う。 朝起きてから3時間ぐらいはしゃべらないとか。
楽器を常に持ち歩いているので、いつも喉の事は気を使っているので、祭りの2日間はのどに悪いことを全部やろうと、2日間で酒を一升飲んだり、夜更かしどころか、夜中からお祭りをするので2日間寝ないで、お酒飲んで、大声を出すので、声を駄目にしてしまったなあと後で思う。

腹式呼吸 おなかに力を入れて声を出すのは間違い、おなかを前に突き出して声を出す、おなかを膨らましながら声を出す。(右手をおなかに当てて膨らんでくるのをチェックする)
これを一日5分やると必ず歌は伸びます。  
これが腹式呼吸です。 おなかに力を入れると声が出ない。
私の場合は一日 2時間ぐらいトレーニングをやります。
トークに①笑い、②音楽の勉強になる事、③頑張ろうと目標になることを話す。

音楽を始めたのは4歳、父親がピアノの先生をやっていて、どこかに習いに行かそうとバイオリンを習いに行った。
気がついたらバイオリンを習っていた。
新居浜まで片道1時間掛かってバスを乗り継いでいった。
何で自分だけ遊ばないでバイオリンやるのだろうと思って、レッスンが辛かった。
しかし、あの時のバイオリンのレッスンが今の歌に生きている。
今になってようやく親に感謝している。  前は随分と親に不満とかを言いました。
14歳のときに合唱団に入ったことがきっかけで、歌は行けると思った。
これで将来歌の道に行くぞと漠然と思った。
続けるという事は人生大きな価値だと思っているので、とにかく毎日 32年になるが毎日毎日練習をしていると、成長してゆく。
身体がくたくたになり、苦しいが自分が上達したかなと思うと満足する。
人生は辛いことの方が多くて、でも一瞬の喜びが辛さを上回るかどうかだと思うんですよ。

最後の歌い終わった瞬間にホッとして、拍手があり、それが大変なトレーニングの辛さを上回るので、だから最後の拍手の為に毎日が待てるのだなあと思います。
辞めたいと持ったことは無い、普段の辛さは辞めようとする辛さではない。
歌って毎日身近にいる存在なので、歌が好きかと言われるとそういう意識はしていないが、歌が無くなったら私ではない様な気がする。
高校までは友達と共に地元にいたいと思った。
父が声学科だ父のもとでレッスンしていたが、なあなあになってしまって、高校2年で別の先生に倣う様になった。
大学は東京に行って、留学もする事になる。
生まれ育ったところにプライドを持って、自慢するが、もし愛媛にプライドを持てなかったら、18年間の人生を否定することになると思う。
こういう人生を歩んできたから、今は自分はこうなっているんだという風に自身を持って行ける感じがする。

歌の道ってとにかく長い、今46歳で出来ないことばっかりです。
まだ気持ちとしては学生だと思っている。
プロとしてのデビューとしての実感は無かった。  
プロとしての意識をしたことは無い、まだまだ勉強中の身だと思っている。
日々の節制、いま自分の出来るベストの歌を歌おうと思うと、いろいろ酒とか夜更かしなど制限していかなくてはいけないと思っている。
クラッシックの勉強をしてきて、良さを知っているけれどクラシックの音楽のコンプレックスも持っている。
男のプライドが流れている方が強いが、クラッシックがマッチしないとの思いがあり隠してバイオリンを習っていた。
イタリアでは子供にとってF1レーサー、サッカー、と共にオペラは3大ヒーローですが、日本では男性的イメージがなく日本ではクラシックは敷居が高いので、取り払おうとして親しみやすい音楽であることを広めたかった。

そんなコンサート活動をずーっとしてきた。
美空ひばりさんの名曲であったりをプログラムにいれてきたが、そんなときに出会ったのが「千の風になって」だった。
クラシックというイメージではなく聞きやすくてここちいい曲と持ってレパートリーに入れた。
クラシックではヒットする概念がなかった。(主役は音楽)
想像以外、以上の事が起きて吃驚した。 2007年、年間ヒットチャート1位になった
クラッシックの歌声が自然に聞いてもらえるようになった。
コンプレックスを持っていた自分が、子供達からの手紙を貰ったりして、男としてクラシックのをやるという事に対して、理解してもらえる世の中になってきたのかなあと思って、それが嬉しかった。
曲との出会いは自分の人生にとって大きな変化を作ってくれた。
どういう気持ちで歌ってるのかとよく聞かれるが、頭の中を無にして歌う。
感情が入り過ぎると聞いて下さる方との間に壁ができるんです。
心を無にすることができて、歌声を届けられた時がお客さんは一番感動してくれる。
お客さんが自分の大切な人を思い浮かべたり、いろいろ解釈して受けてくれる。

一番多いのは大切な人を無くして、悲しみに暮れているときにこの曲に出会って前向きに生きていけるようになりました、と言う手紙ですが、いろんな内容の手紙を頂く。
この曲を歌っている中でいろんなドラマに出会う。
この曲の作曲者新井 満さんが、この曲がヒットするという事は、CDが売れてという事はCDが売れた分だけ悲しみがあるんだよと云われた。
この曲を歌うと言う事は本当にこの曲で心を救われようとしている人たちの自分は気持ちを背負っているんだという責任感が凄く強くなって、これからも大切に歌い続けたいと思っている。
クラシックと言う音楽を世の中に浸透させてゆきたい。
オペラ、クラシックの王道にふれてもらえる世界を作れるようになればいいなあと思う。
クラシックの魅力を一人でも多くの人に伝えたい。
いい音楽を聞くと心が浄化されて、悪いことをしようとは思わない。