2019年6月14日金曜日

高田勇紀夫(保育士)           ・オジイちゃん保育士、大人気!

高田勇紀夫(保育士)           ・オジイちゃん保育士、大人気!
67歳、長年外資系のコンピューター会社に勤務し60歳の定年後、待機児童問題や保育士不足が深刻化することに心を痛めて一念発起し、保育士の国家試験に挑戦、見事合格し一昨年から都内の認可保育所で新米の爺さん保育士として活躍しています。
還暦を過ぎて高田さんを保育士の道へかりたてたのはなんだったのか、保育士になるためにどんな難関を乗り越えたのか、保育士の一日はどんな様子なのか、子どもたちや保護者達とのふれあいの中での喜びなどを伺いました。

保育所は女性の職場で特にシニアの男性保育はほとんどいません。
「ジジ先生と呼んでほしい」と最初の日に子どもたちに言いました。
外資系のコンピューター会社で営業、本社、工場、海外など37年務めて定年退職しました。
待機児童の問題が雑誌、新聞に取り上げているのを目にして、ショックを受けて自分が少しでも役に立てればと保育士を目指すきっかけになりました。
20代~40代、自分の子どもの子育ては妻任せで、反省が湧きあがってきて、他人の子どもですが贖罪の身を持って保育士を目指した、この2点です。
保活、保育所に入るための活動ですが、始めて知りました。
若いお母さんにとって大変重要な活動だと段々判ってきました。

保育士は国家資格で二つの道がある事が判りました。
政府から認定された大学、短大を卒業することで自動的に取れる道と
国家資格の試験、全国保育士養成協議会の試験に合格する道、この二つがあります。
私は後者の道を選びました。
通信講座を申し込んだが、9科目あり全部合格するということで吃驚しました。
そのほかにも栄養学、病気、保育にあたる法律、書類もあり、それを合格しても実技があり、音楽、言語、造形のうち二つが合格しないと保育士にはたどり着かない。
合格して保育証が届いた時には嬉しくて涙が出ました。(65歳)
1年1カ月かかり、多い時には8時間以上勉強しました。
自分の働く保育所探しに第二の壁がありました。
仲介会社がありホームページを開けて登録しようとすると、59歳という制限にぶち当たってしまいました。
ホームページをあきらめて、履歴書、提案書を書き、現役時代に自分が書いた本を同封して、各仲介会社に送りました。
二つの保育園と面接をして、今勤めている保育園に行くことになりました。
出来れば自由度の高い新設の保育園に行きたいと思っていました。

朝8時~5時までの9時間の勤務になっていますが、他に自分のやりたいこともありますので、月、火、水の3日間で契約しました。
2017年4月からスタートしました。
ここの保育園は7時15分から始まり、夜の8時過ぎまでお子さんを預かります。
子どもたちの体調などを観察しています。
おもちゃを持って遊んだりしますが、一緒に遊んだり本を読んであげたりします。
保護者との交換ノートに来た事の印のシール貼りをしたりします。
園庭での遊び、お絵描き、粘土遊びなどをしているうちに11時になりお昼ごはんの時間になりご飯を食べます。
3時頃までお昼寝をしますが、寝付きの悪い子には背中を叩いたりして寝かせつけます。
10分ごとに間違いなく寝ているかどうかとか、寝姿を確認して正しい姿勢に直したりします。
起きてトイレに向かわせておやつの時間になります。
おねしょをする子もいるのでその対応もします。
おやつを食べ終わるといろいろな遊びをしたりしています。
保護者が三々五々やってきますので、親が来ると子どもたちは本当にうれしそうにしていて、そのやり取りが保育士としてやってよかったなあと感じる瞬間です。
7,8時まで続きます。
迎えが遅い子には補食があります。

「ジジ先生お早うございます」、と言って跳びついて来る時などには喜びを感じます。
子どもの成長を感じたり、「ジジ先生、大好きだよ」と言われた瞬間には本当にやってて良かったなあと思う瞬間です。
保護者は息子と同じような世代ですが、朝「先生よろしくお願します」と言われて保護者が職場に向かってゆく後ろ姿を見ると、自分は頼られていると言う気持ちを持ちます。
課題を持っているお子さんもいますが、相談に乗って励ました時に保護者の方が涙ぐんでいる時に、役に立って保育士になってよかったなと思います。
運動会、発表会などで子どもの成長、あるいは普段見たことのない表情を見た時の保護者の方は、凄く喜びを感じていてそういった光景を見ると本当に嬉しいです。
3年目に入った所です。
英語は出来るので外国人の保護者に対しては周りから頼りにされます。
クイズ形式で日本のマナー、言葉を覚えてもらうと言う工夫をしてきました。
男性の保育士は比率は5%ぐらいです。
若い世代も保育士に挑戦してもらいたいと思いますが、経験豊富なシニア世代も保育士の数を増やすうえでも挑戦してもらいたいと思います。

妻は本当にできるんですかと疑問の目で見ていましたが、ここまで来て信頼が回復されつつあるのではないかと思います。
自分の息子にはものを与えたりしていましたが、後で言われましたが物よりも本当はキャッチボールがしたかったと言われました。
息子からは今はよく頑張っていると応援されます。
保育士の待遇改善が必要であると思いますし、女性の保育士は忙しくて伴侶との出会いがあまり無いので、結婚のマッチングのお手伝いみたいなものもできないものかと思っているので、そこに向けてお手伝いをしたいと思っています。
30年以上テニスはやっているので、健康維持管理の意味でも続けて行きたいし、映画もみて行きたい。
8000本見てきて、パソコンにタイトル、監督、主演、概要、受賞記録など、私の5段階評価など記録として残しています。
身体はテニス、心は映画、この二本立てで健康を維持していきたいと思っています。