2013年10月10日木曜日

青島 広志(作曲家、指揮者)    ・オペラ王ベルディーの考えた老後の幸せ

青島 広志(作曲家、指揮者)      オペラ王ベルディーの考えた老後の幸せ
10月10日はイタリアのオペラ王、ベルディーの生誕200年になります
ベルディーのオペラ、椿姫、アイーダ、リゴレットなどは今なお世界中で、演奏されている、人気オペラです
東京芸術大学出身、作曲家、指揮者、ピアニスト、コンサート、イベントなどのプロデユースなど、多方面で活躍されている、青島広志さんに、ベルディーオペラの特徴と、彼の作品の楽しみ方などについて伺います 

オペラの素晴らしいものを27作、書いている  
オペラは1曲が3時間、4時間かかるし、楽譜にすると、3時間分は何万ページにもなってしまうぐらいに多いので、人間業ではないなと言う事になる
最も早くかけた人で、モーツアルトがいるが、オペラは30作あるが、ベルディーの方が今現在毎日上演されている(世界中で)  モーツアルトの場合は5作程度
ベルディーは物凄く有名な作品を沢山作っているので、オペラ王と言われる
ワーグナーもいるが全作で、10作ぐらい この人は台本も自分で書いている
西の方はベルディー、東の方はワーグナー がオペラ王

1600年にイタリアでオペラができた  イタリア語がオペラに適している
オペラだけを書いている人は昔からいた
ベルディーは内容が濃い 私は若いころはベルディーは好きではなかった
ここまではらわたを見せなくても、いいんじゃないかと思っていた
(出来るだけ口をあける 臍のあたりまでが楽器のように、どんな後ろまでも聞こえるように)
藤原義江先生 日本のオペラ界の草分け、テノールの声 ベルディーはテノールにいい歌を書いた
日本人はメロディーに弱い、心を動かされる  
歌謡曲はほぼメロディーでしか作られていない
アリアだけで感じる  以前は全部の上演は無かった
作品を全部見るようになったのは、かなり後の話で、それに耐える人と耐えられない人がいて
私は耐えられなかった
外国人はあれが普通なのでは 

歌舞伎と似ているように思う ベルディーはほとんど歌っている
椿姫は主人公が結核だが、物凄い声を張り上げて歌っている(リアリズムではない)
イタリア人はこういうものだと云うものを持っている
ベニス 船頭が歌う  ご飯を食べに入ると、物凄い大きな声でカンツオーネを歌っているし、私などは静かにご飯を食べたいと思っている 小さい声で歌ってほしい
他の国はうるさくない シャンソンとか
イタリアは歌、言葉と国民性があっていると思う
気持ちが高まってくれば、いまの音程関係は非常に広がってゆく ベルディーは一番顕著
死ぬ場面まで大きな声で歌っている

ベルディーは歌のハートがいい 自分で勉強したと思われる
ベートーベンの曲を聴いてよく勉強したと思われる
ベルディーは素人の家に生まれた バッハは家系が全部音楽家 ほかにも
ベルディーは音楽大学を落ちている 
ピアノが下手だった ちゃんとした先生に教わっていなかった
基本ができていなかった 人差し指がマムシ指 へこんでしまう人がいる
ベルディーはそうだったのではないかと思う    和声学ができなかった人ではないかと思う 
ベルディーは力強さがある

「行け、お黄金の翼に乗って」
旧約聖書の物語
イタリアはいろんな小さい国に分かれていたと思う  
これを歌って統一しましょうと、戦争の時はいまは苦しいけど戦争が終わったら、素晴らしい明日が待っているんだと、皆で歌っていたということで、第二の国歌と言われている
ベルディーは国会議員になってるが、何年間と自分で決めてやっていたので、政治には凄く興味を持っていた人ではない
慈善事業に力を入れたが、国会議員になった後の頃の話です

歌えなくなった人たちへの援助をした(現代風老人ホーム)
3時間の物を書くには3,4年はかかると思う
イタリア人は同胞にはいい  
私はオペラからこの世界に入り込んだ もともとは少女漫画家になりたかった
病気の為に足が悪くて、歩けなかった  ピアノを習ってた 
家には足踏みオルガンのようなものがあり、祖母がもっと弾いてといわれて弾けるようになった
ピアノを習いに行くと、少女漫画があり、順番を待つ間に其れを読んでいた
少女漫画家になりたいと思うようになったが、中途で諦めた
ピアノを勝手に弾くような事が好きだったが、先生はそのような人は作曲家になると良いと、捨て台詞のようにいった
作曲に行ったら、先生がしつこく教えてくれるので、芸大の作曲科に入ってしまった

大学院に行ったが、あまりにも難しいことを言うので、学校が嫌になった
林光先生が自分がオペラの指揮をやるので、一緒に来ないかと言われた
オペラの仕事をするようになった    オペラを4年もやっていたので、オペラを書いて辞めようかなと思ったら、遠藤周作先生の「黄金の国」の台本があって其れに曲を付けたら、素晴らしいといわれて、大学院に行って、2時間半のオペラにして、大学院を出た
東京都の芸術祭の主催公演になって、文化会館の大ホールで2日間やった、其れがオペラの始まりだった
今はオペラを演出する方が好きです
演出をやると、どんな作品を書いてくれてもこっちの思うようになる
作品に死ぬと書いてあっても、生かしてしまう事も出来る

オペラに行けば、全部自分で好きにできると思った 音もかける、衣装もデザインができるし、生かすも殺すも自由にできるので
ワーグナーは其れに近い  神話を自分で作ってしまった
歳を取ってくれば取るほど、周りの台本作家は若くなるので、いろいろと命令している
音楽の世界で歳をとることは、悪いことではない
指揮者は若いうちは物凄く身体を動かすが、80代になってくれば皆がやってあげる
ほんの少し手を動かすことで、この人はどういう風にやってほしいとくみ取るので、この世界は歳をとっていられる

ベルディーは87歳まで書いている  日本人ではそこまでは書けないだろう
初めは判りやすいものを観ることが、いいと思う
子供にもわかるような作品 魔笛とか  舞台は現実味を帯びているものをやってもしょうがない
有名なメロディーを覚える→その曲を中心に聞いてゆく
日本語で或る程度歌ってもらうもの  字幕スーパーを観ると、演技者が観にくくなる
ベルディーは、前史、何故今までこうなっていて、こうなっているのかという事を、ほんのちょっとで説明するので判りにくい  ここが問題です

慈善事業とか、やったことと、作品は別のものだと思う
ベルディーは嫌な部分もあるし、好きな部分がある
「自分には経験できない様な人生が舞台にはある」 と林真理子先生はいう
入れこんじゃった方がいい 女の人は入れこみやすいと思う
主役の人に自分を重ね合わせることができる     男は冷めた目で観る
ベルディーは迫力がある ヨーロッパの国力が有った時代の曲 オーケストラの人数60~80人で
モーツアルトは30人ぐらい  
物凄い劇的な音がでる  噴火、雷 凄い音が出る