2015年10月31日土曜日

小林綾子(女優)         ・おしんと山形が私の原点

小林綾子(女優)            ・おしんと山形が私の原点
当時10歳でオーディションに合格し、おしんの少女時代を演じました。
ドラマが始まるとたちまち人気となり、日本中がおしんブームに沸きました。
このドラマは後に世界82の国と地域で放送され、大きな反響を呼びました。

10歳でおしんを演じてから32年が経ちました。
1972年 昭和47年8月11日生まれ 東京都出身 5歳の頃から児童劇団に所属して、10歳の時に朝の連続TV小説おしんでヒロインに抜擢され、少女時代を演じておしんブームを巻き起こしました。
以来今日までTVドラマ、映画、舞台など幅広く活躍中です。
バレエがやりたいと思って劇団に入ったが、演劇、歌、体操とかのレッスンがあった。
女優になりたくてなったのではなくて、習いごとの一つとして習いはじめたのがバレエだったんです。
最初は仮面ライダーのさらわれる役でした。
NHKのオーディションの話があり、一切知らずに行きましたが、自己紹介、台本の抜粋の読み合わせなどをしたりしました。
一回目で駄目だと思ったが、一次が受かり、二次も受かって、三次審査に行くが、課題があった。
台本の抜粋したものを渡されて覚えてきて、実際に役者さんと一緒にお芝居をしてくださいという課題だった。

長いセリフで覚えられないと母親に言ったら、せっかくここまできたので頑張ろうという事で、一生懸命覚えて三次審査に臨みました。
三次審査も通りましたという報告がありました。
四次審査があり、その時に5人だったが、扮装してメイクをしてカメラの前でお芝居をしてどんなふうに映るかという事だった、何故か私だけが汚い扮装のおしん役だった。
後で聞いたが、3人は都会的な子供、2人はおしんのイメージに合うかなあという事だった。
もう一人の方がおしんにあってるという事だったが、その方は次のドラマが決まっていたそうで2番手候補の私におしんの役が巡ってきたようです。
貧しいの農家に生まれたおしんは、7歳で家族の生計をたてるために、材木問屋に子守奉公に行かされる。
奉公先ではしごきに耐えながら、辛い日々を送るが、或る日勉強をしたくて、学校を覗いたら先生が配慮してくれて、子守をしながら勉強したが、子供達の反感を買って断念、お金を盗んだという疑いも掛けられ、祖母がお守りとしてくれた50銭銀貨を取られて辛抱の糸が切れて逃げたかたちで、吹雪の中をさまよっていたところを脱走兵に助けられ半年山の中で暮らして、脱走兵は射殺され、家におしんは帰って、酒田の米問屋に行き、加賀屋の女主人にいろいろ教えてもらい、おしんは将来を強く決意するところで少女時代が終わる。

一番寒い時に撮影が行われ、最初の撮影がクライマックスの別れのいかだのシーンだった。
地元の人達がいかだを作ってくれた。
川の流れが速いのでいかだが流されない様にクレーンが上流から綱で引っ張っていて、他にも綱が張られていて、スタッフが引っ張っていた。
「かあちゃん」と叫びながら別れるシーンがあるが、父ちゃん(伊東四朗さん)との別れは都合で来られなかったが、ぶどう棚に向かって叫べと言われた。
(伊東四朗さんの演じるシーンは別の日に行われた。今だから言えるが)
山形弁を覚えるのは大変だった。
山形出身の女優さんが全部おしんのセリフを吹き込んだカセットテープを台本と一緒に渡されて、自分でもマークを考えて記入して、母と一緒に繰り返し繰り返し練習して覚えてゆく。
「ごしゃがれる」=怒られる。

教科書を読むと、なまってしまっていると言われた。
大根飯(大根8割、米が2割)は撮影の時は沢山頂きました。
スタッフが気を使ってくれて、味付けが良くて本当においしかった。(実際はまずいとの事)
日本中がおしんブームに沸き、平均視聴率が52.6%、最高視聴率が62.9% 第一位
注目されすぎて、生活しにくいことがありました。
世界82カ国で放送される。
タイのバンコクに伺った時に、知らない人から「おちん」 「おちん」 と言われ 中国では
「あしん」 「あしん」 エジプトでは「おしーん」と鼻に抜ける様な呼び方だった。
ベトナムでは視聴率は90何%だったそうです。
一つのドラマを通して知らない人と親しく交流させてもらう事は有難いと思いましたし、ドラマのもつ力は凄いと改めて思いました。
インドネシアの目の不自由なところに行った時に、彼女が「見えなくても判る、貴方の声が同じだから判る」と言ってくれて、このドラマを楽しんでいただけたんだなあと、とっても嬉しかった。

おしんに対するプレッシャーというより感謝しています。
撮影は本当に大変だったが、これができたのだから、何でもできると自信が付きました。
このドラマは普遍的な愛とか、人を大切にする、思いやって接する、優しい気持ちになって見るとか、万国共通であったのだと思います。
頑張れば日本の様になれると励みになったという事も聞きました。
おしんを見るまでは日本の場所、歴史を知らなかったが、今は経済大国になっているが、何十年か前はこんなに貧しくて大変な時代があったという、じゃあ私たちも頑張ればそういう風になれるのではないかと、励みになったと言われました。
ドラマで学んだことは本当の豊かさとは何なのか、という事、経済的に豊かになって、便利な世の中になったけれども、大切なものをどこかに置き忘れてしまったのではないかと、それは豊かな心ではと思います。
小さな事に喜びを感じられる人はとても幸せだと思います、なにげないそんな事に喜びを感じられるそんな生活ができたら、心豊かに生活ができるのかなあと思います。
苦しいことをたくさん経験している人は人にも優しくなれるのかなあと思います。
ただ役を演じるというだけでなく、年相応に演じている中で人の心に残る様なお芝居を出来るように努力して行きたいと思っています。