加藤武(俳優83歳) 芝居をせんとや生れけん
文学座養成所は当時は塾の様なものだった 俳優コースは無かった
演出部コースのみで、裏方ばっかりやっていた
いずれそのうちは開けるのではないかとかすかな希望の元にやっていた
杉村春子 中村登 長岡輝子 宮口精二 そうそうたるメンバー
チャンスが来て飯田忠「換婚記」の芝居に抜擢された これが初舞台だった
生活は苦しかった もう一遍親のすねをかじりなおしたと言う感じ
500円/月 他に手当はもらえない NHKラジオに出られた
文学座の師匠は 弟子、師匠の関係は無かった
マニュアルは無く、いい面ではあるし、悪い面でもある 杉村春子さんには非常に参考に成った
浄瑠璃台詞の勉強になる 竹本住太夫(杉村さんのファンだった)
「芝居をしないで芝居している」 (極意ですね 役に成りきってしまう)
具体的に厳しいことを言われた (大きな声で言っていても何を言ってるか分からない 小さな低い声でしゃべってもどのお客さんにもスーッと聞こえる様な言い方でないと駄目だとか)
褒められたことは無かった
準主役級の役が多かった 森本薫 小説を舞台にした
「富島松五郎伝」で主役(無法松)を演じた 暴れ太鼓(本当は無いのだが創作した)
丸山定夫 芝居が旨かった 田村秋子 友田恭助
昭和11年か12年 文学座創立 友田さんに召集が来て中国の戦線で戦死してしまう
戦争は名優を殺してしまう 田村さんはがっかりして文学座を止めてしまう
その代わりに杉村さんが来ることになる
民芸座、俳優座 と文学座が有った 大滝秀治 奈良岡 朋子 劇団分裂がいろいろあった 大滝さんはずーっとひと処に居た これは大変なことだ
戦後新劇の人が活躍 したのは映画への進出が大きい
「犬神家の一族」では、等々力警部、署長役のおっちょこちょいの役 凄惨な事件におけるほっとする役割
「黒部の太陽」 今では出演した俳優はほとんど亡くなってしまった
太地喜和子 自分の生き方を貫いた 後輩として可愛かった ひたすら一生懸命にやる
酒の飲み方が凄かった 好き嫌いが激しかった
飲ませ上手だった ふんわかしたムードを作る 人間の幅を感じさせる 人間性やね
どんなにうまくても嫌な芸はある つつみこむような人柄
人間性 これが普遍的にお客を包容する芸に繋がる
「唐人お吉」 お吉役 事故が起こったのが伊東 下田(お吉の故郷)に行く一日前のことだった
勝新太郎は喜和子が好きだったらしい 二人で飲んで喜和子の宿にきて 一緒に部屋で飲まないと言って、変なことはしないからと喜和子が言ったとの事
三味線を勝さんが弾きだして 棺の前で弾き語りを (喜和子への追悼の曲)ずーっとやっていた 映画、TV 舞台 演技することにおいては変わらないと思う
舞台は一回こっきり 全体が旨く行った いかない言うことはある お客の性格が有る
舞台もお客全員の息が旨く行くということはまずない
1ヵ月やっていて1回あるかないかだと思う 舞台の魅力 面白さであり怖さでもある
「殿様と私」 旅が有る 東京は1日だけある 登場人物全員が「私」 殿様との係わり
明治維新に成って殿様はかわらない 牧野望
「夏の盛りの蝉のように」 葛飾北斎を扱ったもの 吉永仁郎 劇作家
(大滝さんが嘗てやった) 渡辺崋山 国吉 北場(北斎の付き人みたいに陰に隠れていた絵描き) おえい 娘 (北斎の代筆をする これがうまくて売れてしまった)
北斎は100歳まで生きようと決心するが、90歳前で亡くなるが精力的な人間
進藤兼人の言葉 「人は生きている限り、生き抜きたい」 肝に銘じていることばです