三潴正道(みつま64歳) 中国文化の掛橋となって
1948年生れ 東京外国語大学大学院修了 麗澤大学で中国語、中国文化を教えている
時事中国語、日中異文化コミュニケーションの専門家
日本企業の中国研修講師としても幅広く活躍しています
中国の人民日報に掲載された記事から60点を選び、翻訳した 「今中国が面白い」は
2007年に第1冊を発行して以来 6冊目に成りました
尖閣諸島の領土問題が発生して以来厳しい緊張関係に陥っています
日中の異なる文化を理解する視点に立ち、お互いのコミュニケーションを成立させるために何が必要か伺います
吉川英治 三国志 水滸伝を読んだのがきっかけ 何十回と読んだ 本が好きだった
父親の本を引っ張り出して読んでいた(父は憲法学者だった)
小清水先生(現代中国語) 金丸先生(中国歴史) に教えて貰う事が出来た
その道の権威の人だった
戦前は、書き言葉は文語文みたいな話し言葉は全く違うものだった
1920年代ぐらいから中国は白話運動が有り 書き言葉を出来るだけ話し言葉に近づけることに
して言ったが、やっぱり違う事が有り、一つのジャンルを形成
しかし 其れがおろそかにされて、つけが回ってきた 教育システム カリキュラムがすっぽりぬけてきた
論説体が読めないと新聞雑誌、学術、論文インターネットで情報が収集出来ない
「今中国が面白い」を刊行してきた 人民日報の記事を訳した
1か月に100本の記事をピクアップして、それを8本まで精選し、年間で約100本になり これをさらに
60本に精選 分野別区分して提示した
その頃からアレと思った それまでと違うぞ と
2003年ごろからこんな記事でも出していいのかと思うような記事が出るようになった
党や政府の腐敗を暴く記事、環境破壊に対する警鐘 地方政府の暴走についての紹介記事
そういったものは今までだったらあり得ない
言論弾圧を深めていると言う論調が日本ではあった
環境破壊、地方政府の暴走 とか腐敗とかはもう自助努力では制御できなくなった
メディアの力を借りてやろうと しかし反共、反中的なメディア等では困るので、そういったメディアからの記事は徹底的に取り締まる
自分達の持っている道具である、人民日報とか中国青年報とかそういったものについては今まで,では考えられないような幅広い権限を与えて其れをやらせる
限度を超えるとびしっとやられるが 私が吃驚するような物が出てきた
之は紹介しない手は無いなと思った
2007年が一冊目 2005年ごろから環境破壊が極点まで行ってしまって 2006年にはどうしようと言う様な時期だった
2006年の記事を集めて 2007年に出版した 昨年 2013年版が出る 日本に関する論文
第1章は日本を対象
温家宝首相の福島訪問 等のほほえましい風景が有った
①中国を一つの面から見るのは危険だと思う 民間レベルは理解し合って 強化しようとの話も有る
②中国は面白いと書いているが、面白くなくなってきている 「南方週末」の問題も有ったりして、言論統制がなされてきている
政権交代の時期で 取り締まりが厳しくなってきている 10月後半から楽しい記事も出てきている
「南方週末」の問題 先頭の事を言う様な言論をしているので目の敵にされている
中国の中で民間の人達が自分達の意見、声を反映させようと言う声が強くなってきている
2008年に08憲章と言って知識人たちが中心に成って そういう共産党の一党独裁に対する転換を求める様な声明を出して、物議をかもしたのですが、これにも似たような声明が出されて、どういう風に扱うかは大きな問題ですが、抑えれば抑えるほど 内圧は高まる
どこでどう「ソフトランディングさせるか、出来るか というのは大変大きな問題ですね
日中異文化交流 与えられた自然風土は違う なりわいをどうするか 漁業か、農業か違ってくるので どうしてもそれに合わせた生産体制,社会制度が出来て来る、それぞれがそれぞれの与えられた中で、独自の生活をする
それを代代受け継がれた中で磨かれて行くと、そこにそれぞれ違ったダイアモンド、フルーツが
なってくるわけで、それを異文化というわけですが、 我々を豊かにしてくれる、多様性を与えてくれるのだが この触れ合いは本来は楽しいものであるはずだが其れが解っていないと、異文化に接すると、まるでインベーダーのように眉をしかめたり、むかついたりしてしまうと言う事が現実の世界では双方に起こる
凄く残念なこと 日中で誤解が7,8割有る 歴史が長い交流が有っても違ってくる
「協議」するは 中国では「合意」・「協定」(相談する事ではない)「就職」は中国では「就任
(部長に成ったの、となる)誤解はいろんな面からある
「夫婦」は中国では夫妻(丁寧な言葉に相当) 親捜しを 探親これは中国では里帰りとなる
(戦災孤児の事でひんしゅくにあう)
思考、行動を理解するために3つの要素が有る
①歴史的な側面から来る特徴が有る中国の長い封建時代の歴史が有って どうのし上がっていくか
社会で浮かびあがって行くかは大きな問題で 、権力者に対してどう立ち向かっていくか、
自分達をどう防御するかという問題
中国の家族その他の命がけの助け合いグループ の様な 「じこじん」 絆を重んじてゆくと言う
そこにすべての価値観を集約させると言う側面が有る
②商業民族という側面がある 彼らの考え方 行動の殆ど 商業民族というコンセプトから理解できる
③日本人と中国人の礼儀の違い 日本人は基本的に迷惑をかけない負担を掛けない
中国人は私は貴方に対してどれだけ誠意を尽くしているか
を貴方に知って貰おうと言うところに礼儀の基本が有る 全くお互いに理解しにくいところです
初対面でも中国人は相手のあらゆることを知りたいと思う
それが誠意を示すこと その様にされると日本人は引けてしまう
中国の北京オリンピックの時に「初対面の人に 根ほり、葉ほり聞かないように」との新聞掲載が有った
中国人が横に居て黙って煙草を吸う事、あめを食べる
本人はその気持ちが無くても 大変な侮辱 お前は眼中にないと言う事
私は貴方に人間関係を求めない だからお前なんかにたばこを勧めない
お前なんかに価値は無いと言う事 だから必ずタバコは勧める
人に物をあげた場合に、日本人は物を贈られた場合直ぐにお返しをする傾向が有る
中国人は 日本の団地に引っ越してきて中国のゲッペイを廻りに配ったが、泣いてしまった
良く聞くと 贈って直ぐにバナナとかお返しが来た
それで付き合う事を拒否されたと思ってしまったとの事 自分がゲッペイという形で誠意を上げたのに バナナという形で誠意を丁重に送り返された
あんたとは付き合いたくないという意思表示だと思った
大学でも同様なことが起きている 身近な行き違いについて治すことが必要
中国人はミスをしても謝らない みられていても私ではないと言い張る
モラルが無いとの感想が企業で良く聞かれる
日本人と中国人の「謝り構造の違い」 があると論文にもなっている
日本人はそれは私がやりましたと 謝り終了の合図と捉える
それを中国人は謝り返しの合図と捉える
日本人の場合は謝れば チャラにしえてくれるか 悪くても半減位にペナルティーが減るわけです
処が中国人は誤りを認めたと言うことは,それに相当するペナルティーを文句を言わず受け入れると言う事です
それをやらなかったら償いに成らない
尖閣諸島で船長が体当たりした あの問題の時にもろに出てきた
後で日本が日中友好の事を想って、船長を釈放した
日本はなにも日本の処置が間違ったとして釈放したのではなく、あくまで日中友好のためですね中国政府はそれを国民にはそうは説明しません
日本の側が逮捕の手続きは間違ったと、いうことを認めて釈放をしたという事になります
日本はそれで終わったと思っても中国側は賠償を求めなかったら、誤りが完了しないんですね
翌日中国は日本に対して賠償請求した 日本は殆ど怒った
日本が譲ってやったのに、何で調子に乗って倍賞まで要求するとは いい加減にしろと
それをしないと中国政府は国民に説明がつかない
翌日に日本向けに 我々は賠償する権利が有ると言った これは日本に対するシグナル
(棚上げにしていいよという)問題が如実に反映されている
日本を代表する様な大企業であっても必要な部署に読める人が配置されているというかというと、非常にお寒い限り 多くの場合は中国人に頼る
中国人に頼ると言うことは、自分達で自分達に必要な情報を、差別化してとると言う事が出来ない
中国人の人が上げてくる情報というのは、中国人が見て必要か、必要でないか
面白いか、面白くないか という風に判断してしまう
それだと差別化出来ない 日本人の目から見て中国人が気がつかないけども、こんなところに
ニーズがあるという風に出て初めて勝負が出来る
其れをぼろぼろ逃してしまっていると言う側面が有ります
ビジネス中国語のシステムを作っていかなくてはいけない
随分多くの企業が中国語研修をやっていて基本的なベースを培うが問題はそこから先新聞、インターネットを読めるようにするには語彙、文法が随分違うので、キチンと比較して講じて,それを理解したうえで、いろいろな経済用語とか,法律文書とかに、行かなくてはいけないのに、そこの間のベーシックな部分での論説体と会話体の違いの教育がすぽっと抜けてしまっているので,そこで崖を飛び越えられずにダウンしてしまう橋渡しが必要 ビジネス中国語の教材、
カリキュラムを作って、ピラミッドを構築して本当に役に立つ人材を企業の中に育てて行こうと
している訳です
論説体 書き言葉の一種 新聞、論文、インターネット等々 感も働かないといけない
生徒が「美女配隊」を「美女整列」と訳した 全然違う
美=アメリカ 女配=女子バレー 隊=チーム 美女が整列ではない
意義素=意味の最小単位 でも単語ではない 「発展」 発だけでも意味が有る
動詞か名詞か解らない(自分で判断要)口語体の方が解り易い
尖閣諸島の領有権問題 国益がらみの問題が有るので冷静に見てゆく必要が有る
中国の外務省の外郭団体 大陸棚に関しては、日本とベトナムに対して逆のことを言っている
そのことに対して交渉に当たっては中国では、その様にするのは当たり前との事だと言っている
国益がらみ、海底の地下資源が中心 イラクに匹敵するような資源が有ると言われている
中国の漁民の問題が非常に大きい 中国の場合は沿海漁業は壊滅に瀕している
一切がっさいを全部取ってしまう様な強力な網で、根こそぎやってしまった
渤海当りは1歳位の魚しか取れない それでは漁業が成り立たない
結局北朝鮮、韓国の領海まで入ってって取る 殺傷問題まで起きる
さらに大変な量の基準を越えた汚染の排水が何百万トンと流れ込んでいる
さらに沿海が殆ど全部第15次5カ年計画の終了時には工事が行われていて、中国の沿海が
工業団地、港に成ってしまう
沿海の魚は産卵に来る時には浅瀬に来て産卵する これを全部潰すと産卵場所がなくなる
水運が今、発達して 中国は水運を世界一の中心にしようとしている
その航路に 海面を囲まれてしまうと 漁業が出来ない
中国の600万人弱の漁民が生きて行くためには、尖閣諸島沖合、だとか南シナ海だとかに行って
やらない限り生活が成り立たない
沿岸の地方政府がコントロールすると大変な事になる (暴発するので)
やらせるしかないと言う事が一つの大きな要素です
シビリアンコントロールについて これは推測でしか言えない部分が有るが 状況証拠から見ていろいろな問題が有る
日本が明治維新後に維新の西郷隆盛、勝海舟等が武士でありながら、政治もやって、
シビリアンコントロールが一緒くたになっていた
途中から完全なプロパーの軍人と完全なプロパー政治家に分かれて それが主導権を競って
日本は最後には太平洋戦争まで来たが
文官 武官両方の要素を自分の内に持っているが
処が江沢民以降 胡錦濤等は特に胡錦濤は完全に中国共産主義青年団に育てられたプロパーの
党の人 軍と完全に別れて来る
胡錦濤時代から軍のさまざまな突出が見えてきている
今度の近習平政権がそこのところをどういう風な関係を築いてゆくか大変大きな問題です
やっぱりコントロールがきちんとできていないのではないかと思います
領土問題は最終的にはうやむやにして、凍結して、棚上げにするしかない
中国側は領土問題が有ると言う事を少なくとも認めさせたうえでの凍結でないと、矢張り説明がつかない
それまでごり押しをするでしょう ただそれ以上は今解決することは アメリカその他の関係も
有るので得策でないとは解っていると思います
軍がどこまでそれを言う事を聞くかという 大きな問題が有ります
中国、日本の民間の人達がやっぱり我々が主役にならないと駄目だと 政治だけに任せておくと、
積み上げたものが全部壊されてしまう
これは日本側にも中国側にも 政治に携わる人達の中にそういうものを一挙に葬ってしまう様な
そういう方向性が有る
其れをやらせると民間の本当に日中の友好を考える人が疲弊してしまう
矢張り補完関係が大分有るので これをしっかり考えないといけない
民衆レベルで理解し合ってみると本当に良い人が多い
学生連れて中国の路地裏歩くと本当に良いおじさん 良いおばさんがいる
惑わされずに、兎に角、民衆レベルでお互いにしっかり理解を深めようと それからですね