湊 宏(カタツムリ研究家) カタツムリ人生60年を語る
和歌山県白浜町 元県立高校校長 1939年昭和14年生まれ。
貝殻を集めるのが、好きな少年でした。
中学2年生の時にその楽しみが、突然できなくなりました。
教師をしていた母親が山間地の学校にに転勤してしまったためでした。
がっかりしていた湊さんに、母は「陸にも貝はいるよ」と教えてくれました、それがカタツムリでした。
湊さんは高等学校の教員を定年後、京都大学で理学博士号を取得して、本格的にカタツムリの生態の研究に取り組みました。
これまでに100種類をこえるカタツムリの新種を発見しています。
現在環境省の絶滅の恐れのある、野生生物の選定の仕事、貝類分科会の委員をしています。
カタツムリを愛してカタツムリの研究に取り組んでいる、湊さんにカタツムリはどんな生き方をして、自然界ではどんな役割をはたしているかなどをうかがいました。
カタツムリは頭の先端に触覚があり、触覚の先端に目があるが、目が光を感ずるだけの作用しかない。
大触覚、その下に小さな触覚があり、においを感じる触覚があり食べものを探すためのもの。
カタツムリは貝なんです。 海にいる貝と同じ仲間なんです。 約3万種類いる。
海には、或いは陸に、世界中に10万種類 その1/3が陸に在る貝です。 それがカタツムリです。
日本には約800種類ぐらいいる。
湊さんの部屋には、貝の書籍類、約5万点の標本がある。
カタツムリは細長くて形の変わったものがある。
大きなカタツムリは直径が5cmぐらいの 「まいまい」と呼ばれているが、小さいのは直径が1mm
ごま貝、けし貝、のみ貝、すな貝と言う様な名前が付いている。
身体の下が平べったくなっていて、足になっていて、.キャタビラの様に前に前進して行く。 腹足類
宝貝 お金の代わりになった。
天敵、ねずみ、小鳥などにカタツムリは食われる。
子供の時は海岸に近いところに住んでいて、貝の美しさに接した。
あるときに両親が転勤になり、山の学校に行く事になり、「山にも貝がある、すなわちカタツムリも貝ですよ」との事を母親から言われて、神社の木に「マルクチコギセル」という綺麗なカタツムリを教えたもらって、そこからカタツムリに接する様になった。 きせる貝の仲間。
紀伊半島の山岳地帯の木に住んでいる。 今では環境省の絶滅危惧種に指定されている。
私の研究の1/3はきせる貝の仲間です。 きせる貝は世界に約2000種ある。
広葉樹の特定な木にしかいない。
最近も新種の貝を発見した。
山の貝の方が面白い。 海は深いところに在るので採取が大変だが、山の方ならば、自分の足で頑張ったらカタツムリに接する事ができる。
北海道から南までほとんど廻った。
礼文島 51年ぶりにここへ行ってきた。 その土地特有のカタツムリがいるので、旅行が楽しい。
新種判定、カタツムリの解剖をしなければならない。1cm程度以上のもの
オス、メスの生殖器器官(雌雄同体の2つの器官がある)によってカタツムリの種類が違う。
新種には名前がないので、カタツムリのふさわしい名前を考える。
地名を付ける場合が多い。
全国から標本が送られてくるので、、その人の名前(献名)をつける場合がある。
特徴的な貝の場合にはその特徴的な名前をつけたりする。
ナメクジもカタツムリのなので、ナメクジの新種を発見して「イボイボナメクジ」と言う名前をつけた。
20年前、鹿児島、枕崎のある無人島で採取した貝を学生が送ってきて、そのうちの5,6種類が新種だった。
ビロードの様な毛が生えていて、「ビロードマイマイ」と言う名前をつけてた。
ユニークな名前を考えるのが楽しみですね。
小笠原に滞在したときに、綺麗なマイマイを発見した、母親の名前を貝に残したいと思って「マンダリナスエノエ」という名前を付けた。 これは学名 和名に「きのぼりかたまいまい」とつけた。
両親が教師なので、私も教師になって、何か一生残る様な物を勉強したいと思って、カタツムリを研究しようと思った。
大学の専攻は世界史だったが、教師になって、夜はカタツムリの研究に没頭した。
論文を1カ月にひとつは書いた。 700~800のレポートがある。
京都大学、博士号をとる。
波部忠重先生(当時日本貝類学会会長)が、毎号投稿していたものを見て、之を纏めて見たらどうかと言う話があり、校長になって4年間かけてきせる貝に関する論文を作成した。
(原稿用紙 1000枚) 「日本産キセルガイ科貝類の分類と分布に関する研究」
ほとんど一人で山に行きました。 最近は妻と一緒に行きます。
妻とは知り合ったころから、貝を採っていたので、そういう事も理解を示してくれた。
フランスではエスカルゴ 食べ物にしているが、日本では食べ物にしないが、カタツムリは落ち葉を食べて、落ち葉を分解する役割をする。(カタツムリがいる環境はいい環境)
カタツムリのよく住んでいる環境は、いい環境、人工林にはいない。
原生林、広葉樹林に多い、又石灰岩地帯にもカタツムリは多くいる。
自分の殻を作らなければいけないので。
60年掛かって102種のカタツムリの発表したが、その土地にしかいない様な種類なんです。
絶滅の恐れのある動物を環境省が纏めるが、それに加わって3冊目が刊行される。
生息地が破壊されてきて、住む環境が悪化してきて、段々と少なくなってきている。
カタツムリにめぐり合う事によって、全国各地を見て歩く事が出来たと言う事と、いい友達ができた事はよかったと思う。
自然保護を学ぶことができた。
南方 熊楠 粘菌、植物学、民俗学、人文関係 南方記念館がある。
カタツムリはやればやるほど奥深い。
新種発見は少なくなってきたが、自然に接してカタツムリからいろんなことを学びたい。