2014年7月8日火曜日

江戸屋猫八(ものまね師)    ・親父から受け継いだ芸ともうひとつの事(2)

江戸屋猫八(ものまね師)   親父から受け継いだ芸ともうひとつの事(2)
被災地訪問、3年前の3月11日 東日本大震災 起き、そのほぼ一カ月後、4月下旬に、宮城県の被災地を訪れて、小学校、避難所で公演をしている。
いとこが2人気仙沼にいて、連絡しても連絡が取れない状況が続いて、気になっていた。
その後無事であることが判ったが、大変な状況で有ることが分かって、被災された方になんか応援ができればいいと思って、慰問ができる道筋が出来て、飛んで行った。
避難所へいって、せめてもの応援と言って、息子と二人で、物マネを行った。
被災した皆さんがたが、まだ駆け出しだった息子の肩を叩きながら、逆に息子に対して、「がんばれよ」と声を掛けてくれたのが、本当に嬉しかった。

牡鹿半島の小学校 子供達に物マネをした。  
いろんな動物を行って、一つ一つに喜んでくれた。
校長先生が気がついたら泣きながら喜んでくれた。 
あの時以来の喜ぶ笑顔をはじめてみた、と言っていた。
大変な経験をしたと思うが、この経験を力にしてほしいと、将来強く生きてゆくためのことにしてほしいといって、子供達を励ました。
戦争と災害は違うが、壊滅的な打撃を受けるということでは、ある意味共通しているところはあると思う。
どう逞しく立ちあがって行くか、復興支援はあるが、一人ひとりの気持ちを強く持って頑張っていかなくてはいけない。
その気持ちを何故伝えるのか、それは親父から学んでいたからかと思います。
親父は身体がふらふらする事はあったかもしれないが、自分がしてきたことを何とか力にして頑張りぬくんだと、絶えず持っていたし、僕にも伝えてくれた。

「戦争なんて本当に愚かなもんだ。 あんなものは絶対やっちゃいけない。 闘って何が始まるものか、何がそんなことで解決するものか、人間が行う行為の中で、この戦争と言うもの関しては自分が経験した中で、戦争なんて絶対いけない」 と親父はいっていた。
原爆の後遺症に悩んでいたが、それにつながる話。
福島の方々は放射能の脅威にさらされ、その事との戦いですね。
宮城、福島、岩手に現在も行っている。 
民謡の方と一緒に行って感じたのは、民謡の響きは東北で、地元の皆さんの自分達の心の歌なんですね、だから民謡を聞かせてあげると元気になる。
自然を歌う民謡の中で、鶯、虫を鳴いたりすると、このコラボレーションがいいですね。
元気が出たよと、喜んでくれて、嬉しかった。

ものまね芸を始めるときに、親父が教えてくれたのは、ものまねとは本物から学ぶものだと、これから修行に入ると俺から芸は学ぶだろうが、例えば俺の鶏の鳴きまねをお前が一所懸命学んでも、しょうがない、俺の鳴きまねをしているだけなんだから、本物の鳴き声を聞いて、それをやらなければならない、それが全てですね。
舞台に上がって芸の修行、笑わせるためのネタ組みとかの勉強をしなければいけない。
まだ鶯の鳴き声にちょっと足りないものがあると思い、鶯は観察が少なくて、目の前で鳴く鶯をみて、あの小さな身体から絞り出す様に喉を一杯ふくらまして、天に響けとばかりに、ホーホケキョと鳴く、この声の出し方こそが真髄なんだと、更に鶯の勉強をした。
指笛を使って出すが、技術ではなく納得であると思う。
鳴き方にも本物を聞くと、色々バリエーションがある。

山へ行くと、周りが大師匠だらけで大変。
きびたき 凄い綺麗な声で鳴く。 
舞台でどうするか、考えたが、きびたきの声はお客さんが判らないので、身体の色など鳥に関して色々説明しながら鳴きまねをする。
新たに色々な鳥の鳴きまねをするようになり、お客さんは野鳥の世界を楽しんでくれる。
ガラパゴス、コスタリカ、ブータン、パプアニューギニアとか色々なところに行って、勉強しています。
パプアニューギニアのゴクラクチョウ(カラスの仲間)、アカカザリフウチョウ アオフウチョウ 等の鳴き声。 
生態系、文化を学べるので、環境の全てのバランスがとれているところに鳥は生きている、如何に環境が大事か、人間も自然環境の中で、生き物の一員として、地球の上で一緒に生きている。
そういう自然の大切さを、学んだんだなあとつくずく思っている。
ブータンは標高2000mぐらいのところにあり、農業も手作業でやっている。
機械化、コンピューター化していると、生きている人間にとっては、ちょっとオーバーランではないかと思う。
ブータンみたいに、農作業をしているところは、ある意味一番ベストだったような生き方があったような気がする、そんな気持ちにふっとなった。

茶色鎌はしフウチョウ くちばしが鎌の刃みたいなくちばしをしているが、現地の人に教えてもらった。
道路工事をしている様な鳴き声。
新しいネタを取り入れるのは、楽しくてしょうがない。
自然があるからこそ、私たちも命をつないでゆく事が出来るし、沢山の生き物も同じように生きている。
感謝をしなくてはけない事を、鳥、植物、虫たちや色々な生き物から学ぶことができた。
自然への恩返しとしては、学んだことを沢山の皆さんに笑って頂きながら伝えることができれば、これが一番の恩返しと思っています。
受け渡し、ものまね芸そのものが初代から受けつないできて息子に繋いできているが、息子はアフリカの動物 哺乳類の鳴きまねをする。
哺乳類の鳴きまねは聞く勉強がしにくい(あまり鳴かない) 息子は年間70回ぐらい動物園に通った。
芸の継承はそっくり伝えるだけではない、5代目は5代目の特色を持ってやってゆくと思う。