2014年7月18日金曜日

大隅清治(農学博士)      ・海の幸、クジラと歩んだ60年(2)

大隅清治(日本鯨類研究所顧問・農学博士) 海の幸、クジラと歩んだ60年(2)
*オランダからマレーシアにむかっていた、旅客機がウクライナ東部の上空で、消息をたったあと、墜落したことが確認された。 マレーシア航空ボーイング777型機で、乗客280人乗員15人が乗っていた。      日本人乗客が乗っているかどうかは、不明。

国際的なクジラの管理は戦前から進められたが、戦後に国際捕鯨取締条約が署名されて、その条約のもとで,国際捕鯨委員会(IWC)が1948年に設立されて、国際捕鯨取締条約のもとでの調査が進められている。
クジラの資源を保護しながら捕鯨産業を継続的に進めてゆく事が、この条約の趣旨です。
十分な調査、研究の方法が確立されないうちに、鯨の資源がドンドン悪くなっていった。
1960年にはいってから、資源力学の方法を取り入れた研究が急速に発展して、鯨の資源の管理について、かなり適切な勧告をすることができるようになった。
対応しきれなくなって、水産庁に遠洋水産研究所が出来て、鯨類研究室が設立されて、最初の研究室長になった。

資源調査研究法  最初捕獲したクジラのデータから資源量を調べる方法だったが、1960年代に入ると、別に鯨の目視調査が発達するようになった。
調査海域全体を推定する。  
目視調査の理論も発達して、かなり精度よく推定できるようになった。
南極を毎年調査して、現在は50万頭 と推定されている。
日本の捕鯨に対して反対の声が多い。 現在、国際捕鯨取締条約のもとで、捕鯨する国はノルウェーとアイスランドです。
日本はアメリカの圧力で撤回してしまったので、商業捕鯨はできない状態です。

国際捕鯨取締条約の管理の対象は、鯨の種類は83種~87種  その中でひげクジラを対象にした13種、それ以外は管理の対象外で、日本は小型捕鯨 (つちくじら、ごんどうくじら) が現在も存続している。   いるか類も捕鯨の対象になっている。
国際捕鯨取締条約に加盟していない国は捕鯨ができる。 インドネシアはマッコウクジラを獲っているし、カナダでは北極クジラを獲っている。
現在商業捕鯨の規制があるので、鯨はドンドン増えている。
豪州の西海岸ざとうクジラ 増えすぎていると言う事がある。
餌が取れなくなって、餓死して海岸に打ち上げられる個体が増えている。
資源としては無駄なやり方をやっている。
淡水域 イルカの仲間は4種類いるが、それぞれの国の社会開発が進んで、環境が悪化しているので、絶滅の危険が迫っている。
汽水域でも、すなめりとか、絶滅の危険が迫っている。

クジラは音で会話をしている、アメリカ海軍は音響兵器の開発をやっているが、音響兵器が発達するほど、鯨にとっては脅威になっている。
クジラが増えている状況にもかかわらず、捕鯨の環境は良くない。
ヨーロッパの思想、鯨はもともと食料として見てこなかった。
海の環境は手付かずに置いておこうというような考え方が強い。
クジラの実態の真相を、なかなか彼等に示せない事もあって、鯨に対する正しい理解が乏しい。
日本に対する偏見もある。 色々なものが重なって反捕鯨が醸成されてきている。
クジラ資源の供給  海には生産力がある。 人間が利用が許されると思う。
クジラは海の生産物の一部だと思うので、許されると思う。

陸は畜産業があって牛、豚を育てる。 
現在の捕鯨量の状態は、畜産でいえば放牧の状態に在ると思う。
更に技術を発達させて、陸上の畜産の様な形にクジラの利用も、技術的に可能であると思っている。
和歌山県太地町ではクジラ牧場を計画している。
東京ドームの7倍の面積に、鯨、いるかを放し飼いにして、観光に使うと同時に、やがてひげクジラも飼育して、牛や豚の様に利用すると言う事も、構想として考えられている。
牧場計画は以前から紙に書いて発表している。
いるかを湾に放ち飼育を開始している。 やがては50~60頭のいるかを飼って観光の目玉にするという事も考えられている。
世界一のクジラの研究所を太地町に作るという、スケールの大きな計画を現在太地町では進めている。
やがては生け簀で、みんくクジラを考えている。
餌はオキアミとか鰯ではなくて、人工的なペレットを開発して与えるとか、いろんな技術開発をして牛と同じような牧場ができるのではないかと考えている。
水質汚染が心配だが?  口をあけて餌を流し込む方法を考えている。
餌を撒く様な事はしない。

文化に対する理解は難しいと思うが、努力して、鯨の食文化を理解ていただくと同時に、将来発展途上国、飢餓にさらされている国には、鯨の缶詰めを作って、提供すると言う事で、鯨の食文化を味わっていただくと言う様に、機会を増やさなくてはいけないと思っている。
クジラの世界的な利用が必要だと思います。
クジラの缶詰めを、1960年代に、太平洋諸島の人たちに利用していただいた事があるが、クジラの肉が高くなってしまって、安い缶詰めが提供できなくなってしまったが、そういう形でクジラの肉の利用を考えれば、食文化のなかった国でもクジラの肉は利用できるようになるのではないか。

クジラは人間が利用できる食料資源である、陸上での鹿など、野生動物を利用しないと、却っていろんな問題が出てくるので、鯨の場合でも利用しないでいると、漁業にも悪い影響をするので、其れは間違いであると考えます。
クジラ、いるかは色々妨害行為をしていることが知られている。
釣り漁業で釣った魚をいるかが途中で奪ってしまうとか、色々妨害行為が報告されている。
さんまのぼうけ網漁業があるが、時々ぼうけ網にみんくクジラが突っ込んできて、集まったサンマを食べるという被害がある。  そのほかいろいろある。
バランス良く色々な資源を利用しないと、いけないと思う。
クジラに接して大変幸福な人生を送ることができたと思っている。 クジラに感謝している。
クジラ牧場計画は、太地ばかりではなくて、山口県の長門市で進められている。
正しい理解で、世界に広めることは可能だと思います。
水産資源は自然の生産力を使って、バランスをうまく利用しながら人間が生活する事は許されると思う。