萩尾望都(漫画家) 創作の泉は尽きることなく
昭和24年福岡県大牟田市で生まれる。 昭和44年 「ルルとミミ」でデビューーし、文学性の高い作品で少女漫画の世界を広げ、多くの読者の心を捉えてきました。
代表作には、「ポーの一族」、「トーマの心臓」 「11人いる」、「イグアナの娘」などの作品があります。
平成24年には紫綬褒章を受賞しました。 少女漫画界の偉大なる母、少女漫画界の至宝ともいわれます。
デビューから45年経った現在も連載を抱えて創作活動を続けています。
「王妃マルゴ」 カトリーヌ・ド・メディシスの娘で、16世紀のフランスが宗教の内戦になっていたころの御姫様でちょっと面白い背景を持っているので之を題材に、書いている。
カトリックとプロテスタントの対立が激しいフランスの当時。
母であるカトリーヌ・ド・メディシス メディチ家からお嫁入りしてきた。
歴史書を読んでいるうちに、マルゴのイメージがわいてきて書いてみようかと思った。
この時代には、バルテルミーの大虐殺、カトリックとプロテスタントが争ったユグノー戦争の内乱、のエピソードが一番有名で、なんでこんなことが起こったんだろうと、調べているうちに、カトリーヌ・ド・メディシス エリザベス女王、スコットランドのメアリ女王も絡んでいる、非常に人物像がたくさんあって面白かった。
歴史長編は初めてで、3年掛かっていて、あと3年で終わらせたいと思っているが。
当時の調度品、着物など、本格的なトイレは無くて、着替えはどうしているのかとか、判りそうで判らないところが判らない。
歴史との格闘は続きます。
「トーマの心臓」が舞台になって、公演中です。 新宿の劇場でスタジオライフ(男性だけの俳優たち)
映画化もされた。(金子修介が監督)
ドイツの全寮制の学校が舞台になっていて、少年の微妙な心、思春期のことを描いている。
(40年前に描いている)
ヘルマン・ヘッセが大好きで、その人が書いている世界観が好きで、そんな気持ちで書きました。
フランスの映画「悲しみの天使」が上映されていて、ほのかな初恋の物語で、学校を舞台にした話を書きたいと思った。
自分を追求する、傷つきやすくもある。
子供の頃、絵が好きで、絶えず紙を貰っては絵、漫画を描いていた。
それが延長して、漫画家になった。
漫画を見ないで育った世代の人は、漫画は詰まらないものと言う考えが固定化されて、発想が抜けないみたい。
漫画家になって、会うたびに早く結婚しなさいと言われた。
両親は時々は読んでもらったようだけれど、理解したかどうかは分からない。
親は紫綬褒章と作品世界とは結びついていなかった。
母にとっては、詰まらないことを勝手にやっていた、と言う様なイメージだった。
SF、ファンタジーであったりするが、舞台は海外野作品がおおい。
アメリカ文化の世界が面白くて、そちらへの好奇心から、海外の舞台が多くなる。
「11人いる」 宇宙が舞台 宇宙でテストを受ける 10人集まって1チームで有るはずが、蓋をあけると1人多い、誰か一人本物の受験生でないものがいる、疑心暗鬼。
受験生はいろんな星から来ている。(キャラクターを考えるのが面白かった)
思春期になったら、男か女に、性を選択すると言うキャラクターを考えた。
TVドラマにもなった「イグアナの娘」 お母さんが子供を産んだら、イグアナでどうしても愛せないと言う話で、菅野美穂が娘役
私は両親との間に葛藤があって、いろんな話をしたり、説明をしたが、すれ違ってしまう。
言っていることが、理解してもらえないのは、私は人間では無いのでは、という様な思いがあり、TVでガラパゴスのイグアナの特集をやっていた。
イグアナは人間の胎児に似ている。
私はイグアナかもしれないと思い、イグアナの娘のアイディアが出てきて描いてしまった。
思ってもいなかったところから降ってくる時もあるし、気になることがあっていつか形にしたいなあと思いながら、いろんなピースを集めているうちに、ある時最後の一つが結びついてでき上ったり色々ですね。
毎日接している世界以外にも、何かあるじゃないか、幻想でもいいし、歴史上隠されたものでもいいし、ついついそういう事を考えてしまう。
キャラクターと対話をしながら、作ってゆくんで、自分がキャラクターに身近で有るほど、キャラクターがいろんなことをしゃべってくれる。
昼過ぎから明け方まで描く。 最近は筋力が衰えてきている。
アイディアは変わりなく出てくる。
1990年代の後半から漫画のポジションが変わった。
海外でもいろんな漫画のフェスティバルをあちこちでやっている。
パリ、アメリカのフェスティバルに行ったことがある。
漫画を駅のキヨスクとかコンビニで売っている。
日本の漫画文化は戦後始まって、世界にぬきんでているので、がんばって今のうちに売ろうと言う事はいいことだと思っている。