2014年6月11日水曜日

堀越千秋(画家)         ・「スペイン」を描き日本を焼く(2)

堀越千秋(画家)     「スペイン」を描き日本を焼く(2)
ロマと呼ばれる流浪の民、スペインに渡って、翌年には、偶然あるライブハウスでアグヘータのファミリーがいて、彼らの歌を聞いた。
ヒターノだと言っていた。 永年聞きたかった歌を聞いた。(泥臭い感じ)
そして彼らと友だちになった。
100年前の歌だと言うし、彼らは字も読めないし、本を読むと言う様なな文化ではないので、泥臭い極みですね。
スペインでフラメンコと言えば歌です。 日本の民謡と変わらない。
カンテ=歌 カンタオール=歌い手(フラメンコの歌い手に限り呼ぶ)
バル 酒場の片隅で歌ったりしているのが多い。

フランコ将軍がいたころは、人々が集まってはいけなかった。
3人以上集まると、つかまってしまう。
バルの地下で、歌ってたりしていた。
歌は実際に聞いたりしているうちに、覚えてしまった。
カンタオールにいつの間にかなってしまった。
玄人はだしで、CDも出したし、TV、ラジオにも出たりした。
コンクールに友人が出ろと言う事で、出て名誉賞を受賞した。
東洋的な音律の歌 日本民謡とも共通する様な感じ。
ヒターノの人達は音楽が大好き。 耳で覚える一つの文化。

陶芸を始めたのは10年前ぐらい。
1年ぐらいかかって穴窯を作った。
茶碗、ぐい飲みとかつくるが、実用的なものは作らない。
高校の先生をやっている友だちがいて、そこで薪を使う窯があって作って焼いてみたら、素晴らしいものが出来てしまって、吃驚してはまり込んだ。
粘土自体が面白いし、薪窯で焼いたら、そのまま山の中で暮らすようになってしまうのでは、面白くて。
薪窯では熱で形も歪んでしまったりする。(電気窯、ガス窯ではある程度予想できるが)
陶芸では日本は世界一だと思う。
2003年 陶芸展を開催 1回目のタイトルが「空腹に地を食う」  大赤字でしょう。
これまでに 5回ぐらいは陶芸展を開催した。
土と火の神様が作ってくれる、私はやるのは1割か、2割。 こうしようと思ってなるものではない。

歌、陶芸  好きになると言う事ですかね。 夢中になる、集中する事につながる。
55歳ぐらいで新しい分野に挑戦する。 歳は勘定してはいなかった。
「翼の王国」 航空会社の表紙絵が7年になる。 
むこうからの要請があるが、意外なテーマが面白い。 「そば」とか と言う様な事があったり沖縄の祭りであったりする。
その表紙絵が100点近くになっている。
日本とスペインを比較すると、例えば公衆電話で話をしている時に、日本人であれば後ろに人が来れば早めに話を打ち切ろうとするが、スペイン人で有れば後ろの人の事など気にせずに人が来れば来るほど、自分がのさばろうと、自分の権利を主張したいと、日本と逆の思考法があって面白い、マイペースが一番大事。
スペインでは老人に席を譲るのは当たり前だし、重い荷物を持っていたりすると助けてくれるし、そういう気持ちは常にある。

スペインは時々吹き出物みたいに、バーっと何の分野でも凄い人がでる。
ワインの醸造家であれ、医者であれ、何の分野でも時々凄い人がでて、その人を追ってレベルが上がると言う、そういう様な感じ。
スペイン人は物を語る言葉よりも、自分の心を語ろうとする。
職人はもっぱら物に拘るが、スペイン人は物に拘るよりも自分に拘るので、どうもうまくいかないのは材料が悪いので、俺のせいではないよ、俺は俺なんだと言う事が先に出る。
技術的な事は一般的に苦手、物に即すことは無く、自分に即する。
スペインの変化は速い、風景は変わらないが。 日本では景色、ビルが建ったり、壊れたり激しいが、気質はそんなに変わっている様には見えない。
マドリードなどを見ていると、のんびりしている良い国だったと思うが、物質主義に傾きつつある。

1992年 オリンピック、万博を一緒にやって、盛り上がって、万々歳の国だと思ったが、そのあとはシュンとなった、あと500年は駄目だと言っている。
朝目が覚めると、ここはどこなのかなあと、日本だったか、スペインだったかとか、起きた時に毎朝ドタバタする、之は不思議です。
最近は日本が増えてきたが、日本とかスペインとか思わないで、「ここにいる」と言う感じ。
母親からは、「お前は寅さんみたいなもんだ」と言われる。
同じところにじーっといると、いらいらしてくる、自分はそういう気質だと思う。