宮本健真(阿蘇農業世界遺産推進協議会) 阿蘇の草原を守る
「阿蘇の草原を食の大地に」
熊本の食材と向き合ってイタリアレストランを経営してきた宮本さんは農家の若者、世界に向かって数千年を維持してきた阿蘇の草原の必要性、いかにして草原を維持するか訴えてきました
その結果今年5月、国際連合食糧農業機関(FAO)が世界農業遺産に認定しました
世界農業遺産は国連が世界の伝統的な農業や、文化風習を守るためにできた制度で、人間の営みが対象になるのが特徴です
これまでに世界11カ国25か所日本では佐渡など5か所が認定されています
活火山がある処に5万人が住んでいる
カルデラを人が住めるようにしてしまった 阿蘇は人が作りだした景観
ちょっと危機的な状況になってきている 2200から23000ヘクタールと言われている
野焼きをしているが野焼きをする人の高齢化、過疎化で人がいなくなった
農業の効率化で伝統的な農業が衰退してきて、戦後5万ヘクタールあった草原が半分になってきた
草原が無くなってくると、阿蘇の景観がまるっきり違ってくる
観光に物凄く影響する 農業も 草原は水の浸透性が非常にいい 地下に溜まって 阿蘇は一級河川の水源が6つある 流域の人口が230万人 流域で作られている農作物が物凄い人の生活を支える
阿蘇の水が不足されたり、汚染されると 水は福岡、大分、宮崎にも行っているので、阿蘇の草原を維持していくことは私たちの生活に大変な影響を及ぼす
ひごたい 日本が大陸と陸続きだったころ有った種類の花で、草原でないと育たない
1万数千年、繋がっていて大陸からきたものでそれから野焼きがずーっと数千年にわたって続いてきていたと云う事ですね
1万年前の地層から野焼きをしたと云う事が判ってきた
何千年にわたって野焼きをしてきた
それがオオルリシジミとか貴重な古代の動植物のホットスポット、と成っている
阿蘇は雨が多い地域なので、ほうっておくと藪化してゆく、森林に戻ってしまう
地域住民、ボランティアの人が野焼きをして、守っている 人間が作り出した自然(半自然)
草と言うものをいろんな形で利、活用してきた 草とうまく付き合ってきたことが阿蘇の素晴らしさだと思う
27歳の時に修行のイタリアから帰ってきた
イタリアは都市国家の集まり イタリアはいまだに,その地域の伝統料理や伝統食材が色濃く残っている
パスタ、チーズ等も地域色が残っている 全く食べるもの,味が違ってくる
父も長い間イタリア料理店をやっていたので、手伝いながらちょっと父と違った事をやりたかった
地元の食材を使おうと思って、八百屋で熊本産の食材を求めたらないという
阿蘇産の野菜はどこへ行っているのかを聞いても八百屋さんはわからないという
直売所をいろいろ回って、片っぱしから買ってゆく
自分に合う味の野菜を納めている農家の畑を見せてもらう事から始めた
店をオープンして、熊本で生産している農家といろいろ付き合うようになる
熊本は野菜の種類は多い
まだ農業の事、流通のことは知らなかった
熊本産の野菜を使うようになったが、元気がないように思われていた
私は農家の皆さんから応援してもらったので、何かこの人たちに恩返しできるものは無いかと思って、模索をしていて、阿蘇の草原の危機、天草、とか農業に関する問題があって、民間人の立場から応援してゆくことができないか、やっていた
そんな時に、農水省から料理マスターズと言う賞を頂いた(国の認定料理人)
活動を草の根でやってきて、地元の自治体がコロッと変わって、面白い取り組みだと云う事で、
農家40軒有るので、もっと地域で取り組めば元気になると思って、その時知ったのが世界農業遺産だった(2年前)
能登、佐渡が日本で最初の世界遺産になった
農業遺産は地域の人達の営み、暮らし、伝統的な農業、知恵、環境 を守ろうとする事が目的
大事なのはどう地域と共存してゆくか、だと思う
本当の日本の活力は地方は元気になる事だと思う
農業、農業のはけ口は食しかない
農家とレストランが力を合わせる事で元気にできないかと思って、世界遺産を取ろうと先の見えない旅に入った
最初10年ぐらいかけてやろうと思っていた(そんなに簡単に取れるとは思っていたので)
知ってもらうためにはショッキングなことをしないといけないと思った
懸賞論文に応募した
書いたことは残ると思って、書いたら賞をもらってしまって一気に広がった
内容は 熊本の素晴らしさをもう一度見直しませんか、阿蘇、独自の伝統農業、気候も東北に似ている、天草は北の魚も食べれる、有明海の干拓地は又違った生態系がある、不知火海は地中海の様な温暖な気候があって、かんきつ類が育つ、と言う事で日本にある気候が凝縮されている、こんな素晴らしいところは無い
阿蘇がポイント
イタリアに行くための調査があり、視察があったが 野焼き 風の流れに依って火の付け方が変わるので難しい、彼らの思うような視察ができなかった
これではいけないと思って、決起集会をしたり、知事に話をしたりして、知事にも動いて頂いて、活動が実って、私、副知事、農家の皆さんの代表でイタリアに行ってプレゼンテーションをした
イタリアだと云う事もあり奮い立った
良い評価があり、1年後に世界農業遺産に登録された
大きな農業政策をしてほしい ヨーロッパは国が農業を守って独特の産物に対する名前とかを補償する
自分たちの農産物、文化を守る事に一生懸命です
日本にも素晴らしい農産物がたくさん有るので、地域一体となった農業の政策がほしい
たとえば、米の認証米制度で阿蘇の草原の確保
農業だけでなく、観光にとっても目的になる
阿蘇の飲食店では阿蘇のコメが食べられるようにすれば、循環する
地元は仕事が無いので若者は外に出てゆくが、そういった歯止めにもなる
持続可能なものをこれからの時代に合うように進化させてゆく
守るものは守り、守るだけではなくて、どうやって発展させるかも必要
阿蘇の取り組みは、日本のいろんな問題を抱えている農業の一つのヒントになるのではないかと思っている
草原と共に共存する 地域の資源を利用する
今後10年間何もしなかったら、草原は半分になってしまうかもしれない