葉山祥鼎(童話作家) 阿蘇の草原を守る
世界最大級のカルデラ火山、熊本県、阿蘇には1000年にわたって人の手で造られた維持管理されてきた草原があります
しかし最近化学肥料の普及や、野焼きをする人の人が減り、野焼きする人出が足りなくなり、維持が苦しくなっています 貴重な阿蘇の草原を守ろうと活動している人の紹介です
「阿蘇の高原に絵本の丘を」
阿蘇の山腹で、自然環境保全の為にナショナルトラストならぬビレッジトラスト運動を10年前から提唱推進しているのが童話作家の葉山祥鼎さん65歳 葉祥明阿蘇高原絵本美術館館長もしていらっしゃいます
最近絵本の丘が綺麗になった 前は木も植えてきて綺麗になった
敷地そのものが2万~3万坪ありますから、とても一人ではできないと判っていたが、自分でやるしかないと、鍬を買って先ず自分の歩きたい道を作って行った
鍬でやっていたが間に合わなくなってきて、刈り払い機を買いに行って、最初怖かったが、使って段々慣れてきて、思い通りに作りたかったが、道が中途半端に出来ていった
都会と違うのは時間の捉え方 村の人と一緒に野焼きに参加すると、風向き、を観てぱっと火を付けてよそに広がらないようにする(熟練が必要)
美術館の広場も野焼きする 村から何十人と手伝いに来てくれる
火の粉も飛んでくるがうまく処理する
1週間するとちゃんと青い芽が出てくる
伸びてきたのを刈るだけ、それで芝が広がってきた
2m半の小道を作っているが、大体曲がっている 一直線だと先が見えてしまうが、先が見えないとどこに行くんだろうと好奇心がわく
虫、野ネズミ、雉、蛇、狸、狐等がいる
海外に行くと自然が荒々しくてとても人間の手に負えないが、阿蘇だと心地よい雰囲気で、大自然の中で共生ができる、だから阿蘇が好きなのではないか
絵本の美術館 風景として絵本の様な世界、風景を作りたかった
廻りの自然を取り込む 絵本の主人公になったような気がする
いろいろな動物たちに出会って、心のワンダーランドになる
野ネズミが草で丸い巣を作っているのを発見した(実にかわいい)
蛇をじーっと見ていると目がかわいい そういう時は子供に戻るのではないか
10年前にここにきてバジルの花を植えた
色の青い蜂が飛んできて、羽音もせず威嚇もしない
一匹で明くる日も一匹だけ、目と目があった
名前を聞きたいと思ったらブルービーだった
阿蘇に昔からいた人も知らなかった 希少種であることだと直感した
学術書を調べていたら学術名がルリモンハナバチだと判った
それから一週間ぐらいしたら5匹、10匹と群れになって飛んできた
7月上旬から9月上旬までですーっといなくなる
青い蜂にあってインスピレーションをもらって、絵本を書いている 「ブルービーとオールドツリー」
そうやって毎年、毎年インスピレーションをくれるわけです
台風で木が倒れて、飛べなくなった虫たちを黄色い鳥が助ける
そういう場面を私は見ているわけですよ
絵本はイマジネーションだけでなく私は実体験をしているわけです
美術館に訪れる人は増えてきている 赤ちゃん連れがおおい
全国からいらっしゃる
観るだけの草原だけではなく、体感できる、そうすると草の上を歩く 生態系が判ってくる
其れを保つためにはいろいろやらなくてはいけないことが解って、草原の大切さが判って来る
道路を走って車の中から観るのは単なる風景ですよね
草むらを触る、虫の声、鳥のさえずりを聞くと自然って凄いと判ってくる
宣伝しなくても口コミで来てくれる 車椅子で来る人も多い
車椅子で来た人が、庭にでて立ちあがって歩いた 歩きたいと云う人間の魂を揺り動かすと云うか、心の窓が開くと云う事ですかね 自然の中にいると本能が出てくる
リピーターが多い 心のリセットをやっているのではないか
美しいと云う事、自然の美しさに勝るものは無いと思う
草原から教えてもらう事がいっぱいある
都会にいるときは忙しさに追われているような状況だったが、こちらに来てはクリエーティブな忙しさになった
ここを作る構想はイギリスの影響を受けた 20数年前に行っていた時期があった
ナショナルトラストがいろんなものを保っている
きっかけとなったのはピーターラビットを書いたビアトリクス・ポター
其方々が100年前に作って今に至っている
心のふるさととして阿蘇はあったが、とてもできないと思っていた
50年後にここに戻ってくるとは思わなかった
15年前にリゾート開発すると云う話を聞いてそれではいけないと、村の村長さんに会いに行った
残したいと思っているが放っておくわけにはいかないと村長さんも思っていた
村長さんから何とかしてほしいと言われて、お金がかかってしまうが、いろいろ苦労していたが、貸してくれる人がいて(銀行マン=侍みたいな人)、その人と出会わなかったら、これはできなかったでしょう
ナショナルトラストは壮大な組織 村々に綺麗な風景があるが、風景があらされない様に村の条令で、将来の人の為に残しておこうという運動で私が勝手にビレッジトラストとつけた
ちょっとしたきっかけが広がってゆく
具現化してゆくと言うのは奇跡でも起こらないとできないと思っていた
現に出来ていると云うのは幸運だと思っている
私はここにきて、自分で自分の道を作ることを覚えた(大きな揺るがない自信がついた)
自分の作った道を皆が歩いている、こんな経験は無い
阿蘇五岳(杵島岳、烏帽子岳、中岳、高岳、根子岳) 中岳 噴火口になっている
五岳の姿は、釈迦が寝ている姿=涅槃像に似ていると言われている
ジェイクの丘に立つと海からの風が来る キツネが夕方一人で西側を、夕日を観ている
其後ろから私がが見ていて、何をやっているのかなあと思っていると、風が吹いてくる
彼は山の事しか知らないので、風が海の事とか、海の向こうの事とかを教えてくれる
これもいつか本にしようと思っている そうとしか思えない
自然と戯れながらだけではなくて、自分を成長させるために、詩をかく、文をかく
天に召されるまでいろんなことができるような自信がついてくる
兄の絵は阿蘇が基本になっている
もっともっと自然を知ることによって、大事さを知ってもらうための本を書くとか、いろんなことをやらなくてはいけないと思っている
阿蘇は世界農業遺産に認定された