草薙奈津子(美術館長) 美術館を地域の憩いの場に
東京の山種美術館から湘南の平塚市美術館に転身した草薙さんは、この9年間で入館者数を3倍に増やしました
学芸員から館長になった草薙さんは、地道な取り組みから始め、地方でも大都市並みのレベルの高い展覧会を開催して、その地域に住んでよかったと思われるのが、公立美術館の使命であると、美術館は地域住民と密着した憩いの場でもあると考えています
平塚市との間で双方ともに、何も条件は出さなかった
兎に角人が来なかった 前庭に、寄付してもらって、ベンチを置いて、花のプランターを置く
玄関を明るくする(節電から間引き点灯している)
建物は立派ないい美術館 掃除も良く行き届いている
人が来ないので汚れない?
散歩した方が、ちょっと中に入って頂けるように、宣伝した
展覧会の内容 日本画が私は専門ですが、私の知らないような作家の展覧会をしていた
全国に名の知られているような展覧会にしようとした 山本 丘人、速水御舟
展示場が二つ並んでいるが 隣の部屋はしまっていた
その部屋もなんでもいいから展示しようという事になる(常設展示)
企画展で常設展も見られるようになっている 一つだとちょっと物足りないと思う
2年目には4万人ぐらいの入場者になった(それまでは3万人ぐらい) 今は約3倍になっている
地方の美術館はそこに住んでいる芸術家のためにと、言う事が多いが、私は地方の美術館はそこに住んでいる住民が、わざわざ東京だとか、京都に行かなくても、すぐ近くで同様の物がみられることが、大切なんだと、目線が鑑賞者の方を向いていないといけない
北海道、九州から来てくれるような、展覧会にしないといけない
費用? コレクターとの交渉が大変
日本画に関してはコレクター、画商を知っていたので、割と借りるのにそんなに困らなかった
30代になっていれば、それなりに出来ていいはず 学芸員が展覧会を企画、実行を行う
最初 地方の作家の展覧会しかできなかったが、一流の展示をしないといけない
速水御舟の展覧会は 山種美術館しかできなかった 国立近代美術館も出来なかった
コレクターとの関係で 代表作、全部借りられた 100点以上になった
やればできるのに、出来ないものと思っていたようだ
展覧会は3年~5年前に決める 急には始めない
レベルの高い展覧会にしないといけないし、地方なので保守的な展覧会もしないといけない
ちょっと難しいんですが、学芸員ごのみの展覧会、そうすると学芸員の欲求不満も解消できる
山本直彰 日本画で抽象的 専門家の間では評価が高い 岩崎ちひろ展と一緒にやった
翌年、芸術選奨文部科学大臣賞と、神奈川文化賞の二つを受賞した
市の人たちの理解がないとなかなかやっていけないので、この展示会は市でも、評価してくれた
作家と学芸員との交流が出来るようになる
美術記者、NHKなども取材に来てくれるようになる
国立の美術館に文句を言ってくる人はいない 県立美術館はいないわけではないが少ない
ところが、市立美術館は市民は、自分たちの税金で賄っているので、金食い虫の美術館はいらないとか、言ってくる
全国紙に展覧会評がそれなりの大きさに乗ると、これを広告会社にやってもらうと大変なお金がかかる
記事の乗る回数が増えると、市のイメージが、あがる(美術館が寄与)
赤ちゃんアート 好きなことを書いたりして、子供もいきいきするし、母親も子供の違いがあって当たり前、で 母親同士の交流もできて、精神的にもいいらしい(絵の鑑賞もできる)
今は小中学校の先生とも連携して、学校単位とか、或る程度の人数で来てもらうとかしている
ワークショップ いろんな可能性があると思う
美術館が漫画の展覧会をするとは思わなかった 1990年だと思うが、国立近代美術館が鉄腕アトムの作家の展覧会をしたが、その時は驚いたが、いまや漫画は当たり前で、漫画専門の学芸員がいる
水彩画も明治、大正、現代でもいろいろと違いがある 明治 大下藤次郎 三宅 克己
大正時代になると洋画家の水彩画が出てくる 岸田 劉生 とか
ルーブル美術館 解りづらい、だだっ広いし、数日かけないと見られない
日本は規模が小さい
フランスは国家戦略の一つ 年間900万人、世界中から来る どっかに貸し出しするとか
国が予算を投じても、それなりの見返りがあるという事
日本でも国家戦略になり得る 百済観音が行ったときに、交換として ジャンヌ・ダルクが旗を振っている絵「民衆を導く自由の女神」(ウジェーヌ・ドラクロワの代表作)が来たが、百済観音の美しさ、崇高さ はずっと上だと思った
木彫は外国に持っていくときには、かなり神経を使わないといけない(湿度、温度等の環境)
これからは美術、芸術、とか文化的な事で国家戦略をやって行くことは重要だと思う
つい最近の美術館までは、本当にお客さんの事は考えないで、良い展覧会は人が入らないんだ
ぐらいの感じでやってきたが、やっぱりお客さんが入るか入らないかは、音楽会に人が入るか、入らないと同じ(客商売)
美術館は社会教育 儲からないけど、なにかに役立たないといけない
何かと言ったものを、我々は考えなければいけないし、いろんな方からアイディアを提供していただかないといけない