2012年11月29日木曜日

岩松鷹司(生物学者74歳)     ・メダカはわが友

岩松鷹司(生物学者74歳)  メダカはわが友
動物の発生のメカニズムの解明をメダカを中心にして研究してきました 
メダカは1994年脊椎動物では初めて宇宙に飛び、今年も宇宙船ソユーズに乗せられて
生命現象を探る実験に使われるなど貴重な存在です しかし 日本のメダカは絶滅の危機に
陥るなど 50年に付き合ってきたメダカについて伺います
メダカは神秘的なものです 私達と同じ存在のもの 必ず価値の有るもの 価値の無いものとして見ている人が多い
価値の無いものを価値の有るものだと思われる様にするのが私の仕事です

年年メダカの種類が発見されて20数種類になります  メダカは胃が無い 
いきなり十二指腸から食道に繋がっているんです
胆嚢から胆汁液がいきなり食道のあと注入されるんです 
膵液も膵臓から膵管から腸なんです 
消化管を見ると人の消化管はどうしてそうなんだろうと
考えささられる メダカには小腸しかない いきなりそれで終わる  
肛門は身体の前に有る  
同じ脊椎動物でありながら違う
メダカは私達が赤ちゃんの状態で生まれたような盲腸もない 大腸もない そういう生き物です  
人間を研究する材料としては凄い私達に役に立つ生き物
メダカは元々アジアにしかいない動物  日本メダカは中国大陸、朝鮮半島、台湾に住んでいるが
、今の列島が出来る前に住んでいた生き物
分断されて台湾、日本列島になった前から生息していた  
メダカの生息の状況を調べれば大陸の移動だとか探るのには非常にいい材料です
日本メダカは遺伝子を写したり壊したりする遺伝子が発見されて、沢山の変異がでる魚、
メダカなんです 他には無い
さまざまなメダカが出来るのはその影響の様です 日本メダカは耐寒性がある 

他のメダカは全部熱帯魚寒いと死んでしまうが、日本メダカは水面が凍っていても死なない
遺伝子の変化で出来たようだ  青森まで生きている 北海道にはいない
(大陸の成立と関係があるのでは)
ジャカルタにいるのは、汽水域に生きている(淡水ではなく塩分が含んでいる水域) 
元々は海産魚ではないかと考えられる
メダカは脱海産魚 さんま さより (下あごの長い) 同じグループと捉えられている
かだやし グッピーとの差  アジアの日本人学校の公調委にお願いしてメダカを送って貰ったら、
全部かだやし かだやしが繁殖してしまっている
日本でもどこの河川でもかだやしが入りこんでしまっている状況  かだやしの動きは速い  
めだかはスーッと動いては止りスーッと動いては止る
名称は5000種ある  教科書に載せるのに共通の名前「めだか」が使われる様になった 
地域の数だけ呼び名が有ったようだ
うきす ちんまい ざこ じゃこ・・・・・  日本は自然崇拝の国民なので、 小さい庭園、いけばな 
日本人特有の文化が生れた  日本人の感性
日本だけにめだかに関する文化が生れた(メダカの学校・・・) 50年代 農薬で収穫を上げる 田んぼにいる小さな生き物がドンドン殺された
70年代になると国土開発 自然がドンドン開発される 水辺が分断、枯渇された 
田んぼがパイプライン化されて、水を深い溝に落としてしまえば、 
トラクターが入る、あるいは水道のパイプラインが発達して、昔からの湿原が激減してしまう 
そうして生き物が乾上がってしまう メダカがえさにする生き物がいなくなる

其れが1999年2月18日環境省の絶滅危惧種として掲載される  殆どいなくなっている
私達はメダカと同じ様に水で生きているので 水を無くすと言う事は私達が水で不足すると言う
時代が来る可能性がある
海水はどんどん濃くなってきている 古代の海よりも3倍の濃さとなっている  
自由に水を扱える時代が無くなると言う時代に通じるのでしょうか
日本が無くなって仕舞うのでは 生物もグローバル化されて日本種が絶滅してしまうのではないか 
日本の自然として守らなければならない
メダカがいなくなると言う事は自然が無くなってくる 環境ホルモンが増大  
殆ど女性ホルモンの働きをしている     病気が多くなる 生殖能力が 無くなる
全世界が注目している  メダカがいなくなることに通じる 
細胞分裂を調べたいと若い頃とった ゾウリムシを研究していた  
遺伝子の解析 段々単純なものに移って行った 
雄、雌 性の決まり方を研究しようと思うようになった  最初鼠を使った 

山本時雄先生がメダカを材料に性を簡単にコントロール出来ると言う事に成功した
之を調べれば 雄雌のでき方が判ると思って、山本先生の処に入った 之がメダカとの出会いでした
先生は受精の研究をしていた テーマを与えられて研究を始めた  
卵はどうして個体になるのか、なぜ受精できるのか、受精して発生できるのかをテーマにしようと思った
卵巣からまだ排卵していない卵を取りだして、精子を掛けると発生する 
そのことを先生に話したら、驚かれまして、だれにも言うんじゃないよと高く評価してくれた
アメリカで研究をやってくれないかとアメリカに行く 哺乳類の研究を始めた 
哺乳類は受精できない  精子を入れるようにしたいと思い、新鮮な卵と思っていたが
取りだしに5~10分掛ってしまう室温になると卵が変化してしまうので受精できない 
1年間失敗し続けた 成功したきっかけはテクニックが旨くなった5分以内であれば
受精する事が可能になった  

1個の卵に1個の精子が入れば受精できる事がネーチャーに掲載された
メダカを知りたい 学問は利益に繋がらない知識の探求なので 自分達の欲望に結びつくと
私達の物を見る方向が歪んでしまう 
大自然に私達はたがわない ルールから外れないように自然を真っ当から見る 
そういう知識が如何しても大事  それが学問である  『メダカ学全書』とする
メダカを通して世界が大きく繋がっている  メダカの飼育が簡単 世代交代が早い 
遺伝子の研究に適している  微量の成分の分析が可能になったのも影響ある
メダカはいくら学習しても教育されてもメダカである 
 
しかし臓の発達した、脳の発達した人は学習させ、教育させられると人は人間になる
教育が無ければ人間にならない  人のまま終わる  それが大事だと思った  
やれる 出来る やりたいと言う事があっても、やってはいけない事がある
やれない、やりたくない と言う事があっても やらねばならないという人の道があります  
これも研究の中で自分がやれないのをやれるように持ってゆくとか大きな努力が要りました 
小学生に「 してはならぬ、せねばならぬが人の道」 それを一生懸命伝えています
人間の有り方はいかに  人間とは如何に  と言う事を教えてくれたと思っています

仲良く おおらかに いざと言う時は協力し合って  と言う姿がメダカの有り方で有りましょうね
メダカの生き方と人間の生き方 大きな違いは 自分の事を考えていない 
自分の存在を自分では認めていない、考えていない  
私は「空」になりたい 空虚な存在になりたい 人が認識しない 人が意識しない物になりたい
 そういう思いが段々と湧いてきました
自然に帰る と言う事が空になると言う事 私達は自然の中から生まれてきたので、自然に帰ると言う事が空になると言う事
其れが理想だと最近思います   存在されないで役に立つ これが空になるという事
成長過程を調べることにより、どうしてそうなってきたのかを知ることと同時に、私達は
そうならなかったのかを判るようになるのではないかと思う
人間を研究しても人間は判らない 
人間以外を研究することによって、人間を判る事が出来る  そういう見方が大事
Aと言うものを調べるにはA以外を調べて比較しなければ Aは理解できない

メダカの復活は? 私達は自分の欲望をどれだけ抑えなくてはいけない 
利便性 快楽性 だのを追求するのでどんどん地球のスペースが無くなってきている
他の生き物が住む、存在するスペースを どんどん人間が奪ってくる 
どんどん悪い環境を作ってきている そういう事を無くせば、自分達の欲を押さえれば
多分何の苦痛もなく繁殖してゆくと思う  それは非常に難しい事ではあるが、
理想の其れを求めて行かなくてはいけないと思う