2017年7月9日日曜日

浅川伸(日本アンチ・ドーピング機構 専務理事)・【“2020”に託すもの】クリーンオリンピック実現のために

浅川伸(日本アンチ・ドーピング機構 専務理事)
・【“2020”に託すもの】クリーンオリンピック実現のために
今スポーツ界が抱えている課題の一つが、禁止されている薬物を投与するドーピングの問題です。
ドーピングのないクルーンなオリンピックをどう実現していくのか、日本アンチ・ドーピング機構 専務理事浅川さんに伺います。

ドーピングに対してそれは良くないとルールを設定したり、コンセプト、概念を発信してゆく活動だと思っています。
ドーピング検査を通して確認をして、使っていたら制裁措置を課して競技の公正性を担保して行く。
競技自体が本当の勝負であると云う事が興奮の源泉、応援していてわくわくすると云うのはそこになって来る。
相手を欺くと云う事がわかっていながら競技に臨んで、表彰台に立って国歌を聞く一番の栄誉を持って行ってしまうと云う事が実際に起こってる。
選手の人権問題を取り扱っているとまで言っていいのではないかと思っています。
スポーツの商業的な価値が経済的なリターンが得られるスポーツと云うことになってきた。
それは一義的には悪いことではないと思うが、不正をしてその地位を手に入れると云うアプローチが起こってきている。

世界アンチ・ドーピング機構、日本アンチ・ドーピング機構がある。
日本アンチ・ドーピング機構は国内で検査をする。
IOCは大規模な競技大会の主催団体と云う概念の中に入って来ます。
世界アンチ・ドーピング機構はどこの組織からも独立したオペレーションが出来ると云う事が理念の中心に置かれています。
世界アンチ・ドーピング機構の理事会の半分は各国政府と、半分はIOCを中心とするスポーツ界が理事会を構成している。
世界アンチ・ドーピング機構の意思決定の構造自体を今のままでいいのか、組織のありようを議論しようとちょうど起こっているところです。
禁止されている薬の多くは治療目的で医療のために開発されているものがほとんどだと思っています。

健常者に対して適切な使用量を越えて投与すると云うことで、ハイパーな状態をねらってやってゆくのがドーピングとおもっています。
筋肉の強度を高める(ステロイド)、持久力を高める(赤血球を多くすると酸素の運搬能力が高まる)、体重制限の種目の時に水を抜く利尿作用(一階級下げる作用)
物などがある。
競技会外検査を何時やるのかと云うことも重要、摘発できるタイミングもある。
性悪説、陰性の履歴がない選手はその国に到着次第検査の対象になる時代です。
普段からの検査履歴は重要な部分に成って来る。
新薬の開発の中で副作用が大きいため中途で取りやめたものでも、競技力の向上に繋がることになった場合に、使用すると危険だと云うことを発信したこともあります。
リオオリンピックの前にロシアの組織的なドーピングがあったが、ロシアアンチ・ドーピング機構とラボラトリーの組合わせが、選手の嘘をかくす機能として活用されていたと言いう事に成っていた。
想定を超える事情に成っていた。

パラリンピックは出場停止になったが、以外は通常の参加となった。
ピョンヤンのオリンピックにロシアの選手が参加できるのかが、一つの大きな関心ごとに成って来る。
主催者の役割についても議論することが必要になって来ると思います。
東京オリンピックについても取り組みが必要で、未曾有の規模のドーピング検査を実施すると云うのが数字の上であり、立ち向かって行かなければいけない実態です。
実施するための検査員、海外の検査員、では足りないので検査員の育成をしていかなければいけない。
尿の採取にも立ち会わなければいけない。
検査の待合室では話が出来る色んな言語の検査員が必要で、選手の快適さを考えながらドーピング検査を実施していくことを考えています。

採取、分析を併せてドーピング検査と云われますが、採取でも日本の検査員の評価は高いです。
分析は日本ではLSIメディエンスがやっていますが、トップクラスの評価を得て居ます。
東京オリンピックに対しての検査員の規模は3合目あたりだと思います。
1988年ソウルオリンピックのベン・ジョンソン、はキーワードの様に語られている。
アスリ-トと私達組織と向き合う時に①知識として持たなければいけない、ドーピング検査を恒常的にうける立場に立った時は必須になって来ると思います、②何故アンチドーピング活動が必要なのかということが、きちんと理解することが必要と思います。
人間としてのしっかりした基盤を作っていく、トップアスリートは若い人たちに範を示すと云うことになるので、知識と自覚、理解との部分があるかと思っています。
最近はトップアスリート、コーチはアンチ・ドーピング活動に対して、ネガティブにはなってきてはいません。