2013年10月21日月曜日

小山内正広(線路技術スペシャリスト)   ・線路メンテナンス一筋

*コラムニストの天野祐吉さん(80歳)が間質性肺炎で、亡くなられた報に接して、深く哀悼の意を表します
恥ずかしいことですが、私が天野さんのことを知る機会になったのが、この放送の「隠居大学」を聞く様になってからです
軽妙な話口の奥にどっしりとした考え・思想の持ち主であると、常々聞きとめていました
天野さんの「隠居大学」が聞けなくなると思うと、残念でなりません  御冥福をお祈りします

小山内正広(線路技術スペシャリスト)    線路メンテナンス一筋
線路のメンテナンス、保守点検のスペシャリスト 小山内正広さんは定年までの40年間、国鉄とJR東日本で線路のメンテナンス一筋に徹しました
その知識と経験をかわれて、中国、台湾、韓国、ベトナム、ミャンマー等からメンテナンスの技術指導に定年後にまねかれています
鉄道は作った時から、劣化がはじまるので、作った時からその対策が必要だと線路技術のスペシャリスト、小山内さんに伺います

JR北海道の不祥事、非常に残念です   危険基準値は当然判る
レールとレールの間の距離 1067mmが基本だが30mm以上広がった場所がある
普通は10mmぐらいに広がったら直すというのが、当たり前
直さなかったら、列車の速度を下げるとかの対処が必要だったと思う

ミャンマー コンクリートの枕木なので、ほとんど広がりは無かった
日本のローカル線よりはしっかりしている
線路の上下が平滑にメンテナンスができないかと思う     最高速度が50kmちょっとの速度
列車が乗ってない状態で20mm、列車が乗ると1.3~1.5倍 30mm近くになる
平滑化するために、日本のメンテナンスの技術を必要としている
継ぎ目の強化、強いボルトを使えないか、バラスト(石で出来ている)の量が足りない
日本でもコンクリートの枕木ができたのは、新幹線が出来てから
橋梁は古いが、枕木の構造、継ぎ目の構造を直すと結構使える 100年近い

新幹線 事故がない、定時運転  誇れる技術だと思う
定期的検査をきっちりやるのが、一番のポイントだと思う
東海道新幹線ができたころは、毎日やっていたが、今は3日から7日に1回
レール、枕木、レールの凹凸は定期点検とは別に決めている(俗称 心電図と呼んでいる)
悪いところがあったら、報告して、1週間以内、1カ月以内、1年以内に修正することを区分けする
直す技術、効率化  昔は手作業(つるはしとスコップ) 
自動で出来るような機械が導入されている

ミャンマーは日本の50年前の状況
新幹線の技術協力が8割なので、ミャンマーは珍しい
インド、韓国、台湾、中国は全部新幹線の新しい線路はどういう構造が良いか、そのメンテをどうするか をやっている
車両はヨーロッパから、線路は自分たちでやる 締結装置はヨーロッパ、枕木、レールは自国、作り方は日本の技術、といろんな組み合わせでやっている
メンテナンスをやってゆくのに大変かなあと思う
自分たちの技術にしようと、かなり勉強はしている(産学協同で)

事故は出来てから、10年ぐらいに成ると起こるといわれる
作る技術→メンテ技術  1セットでコンサルを希望するようになっている  
日本ではないので対応するようにしていかないといけない
リスクがあることを含めて技術供与しないといけない
在来線は70~80kmだったが、120~130kmの速度になってきている
新幹線の凹凸 列車が乗った状態で10mで6mm  レールの表面の凹凸 1mで0.3mm

車掌になりたくて国鉄に就職、上野駅に配属 土木の夜学の大学に行く
学んだことが生かせるように、保線の仕事になる
最初、新宿保線区でつるはしを使って作業をするが、そこでいろんなことを学んだ
東日本大震災の時に、新幹線の復興は驚異的な早さ トンネルを含めて200kmで1カ月
新潟地震の時は全長が数km、ほとんどトンネルで3か月 
阪神淡路大震災の時の経験で、構造物を補強していたので被害が物凄く少なかった
補強がなければ、倒れた橋が相当数出たと思う
線路のゆがみ補修と、電柱が倒れたので、その修正を行った

退職する直前に、工学博士を取る
今は鉄道工学が存在しない   海外で仕事をするときに、資格が信用度を評価される
安全の語り部  2カ月に1回講演を行う
安全は基礎のところをしっかりとしないと駄目
大事故は基本が守られていないときに、とんでもない事故になる
脱線事故、死ぬような事故現場には必ず行くが、結果を見るとどうしてこんなことができないのか、と思う
情報収集 生の情報が現場に行かないで、人に聞いただけで考えるのは、ずれが多いので、
必ず物を観る、現場を見る事が大事です