2013年5月28日火曜日

江頭宏昌(山形大学准教授)奥田政行(オーナーシェフ)・伝統野菜を守り育て味わう

江頭宏昌(山形大学准教授)奥田政行(オーナーシェフ)・伝統野菜を守り育て味わう
山形県の日本海に面した庄内地方には古くから何世代にもわたって、受け継がれ伝えられてきた伝統野菜が数多くあります
それぞれが個性的で独特の風味を持っています
江頭さんは九州・福岡県の出身ですが山形県・鶴岡市にある山形大学に赴任して、昔から作り続けられた伝統野菜の美味しさと豊かさに圧倒され、これを生涯の研究テーマにしようと決心します
一方東京で料理の修業を積んだ後、故郷の鶴岡でイタリア料理のレストランを開業した奥田さんはあくまで地元の食材に拘ったメニュー作りを目指していました
庄内の伝統野菜で意気投合した江頭さんと奥田さん、江頭さんの持ち込む伝統野菜を、奥田さんがまったく新しい調理法でしたてる
こうした庄内地方の伝統野菜は次第に知られるようになってゆきました

在来作物 伝統野菜と言っても構わない
ある地域で昔から栽培されて食べられてきた、野菜、果物、作物が伝統的な作物になるが野菜で有れば伝統野菜になる  自分で種を取る
京野菜はなじみがある 京野菜は40数種類がある 明治以前から京都府内で生産され、食べられてきた
加賀野菜は1945年 戦前から金沢市内で栽培され利用されてきた10数種類の野菜をそういう風に呼んでいる
山形の伝統野菜は160種類以上と言われる 世代を超えて直採種で受け継がれた作物を数えているので一概には比較はできないが沢山の作物がある  150年伝わっているものもある
唐とりいも(里芋)だと270年  300年以上 室町時代から伝わる里芋もある

160種類のうち半数ぐらいが庄内地域にある
気候風土は 温暖湿潤 夏が暑くて、冬が氷点下になる 1年の気温差は40度となる
いろんな土を持っている 春夏秋冬がはっきりしている 雪に弱い作物以外は生産している
南方系の北限であり北方系の南限でもある  豊かな招請を産む土地
西日本で生活してきた人間だったので、こちらに来て驚いたのは、だだ茶豆 (枝豆) いろんな種類の枝豆を持ってきてくれて、それが本当に美味しくて、こんな枝豆食べたことがなかった
10数年ぐらいで名前が広がった  基本的には塩ゆで

孟宗竹の食べ方が違っていて、あく抜きせずにぶつ切りにして、味噌と酒粕を少し入れて、煮て食べる郷土料理 2週間延々と食べ続ける ほかの地域の4倍食べる
目利きの厳しいシェフのもとで料理を学ぶ 温海かぶ 洋食にも合う事が分かっていろんな可能性があると思った  
帰ってきて使ってるうちに、確信を持つようになった
2000年に鶴岡市の郊外にイタリアン料理のレストランを持つ

目の前に新鮮な野菜があるのにスーパー行くとほかのところの野菜が売られていて、地元の人が地元の新鮮な野菜が食べられないのは、なんか変だなあと思った
日本の国の仕組みはどうなっているのだろうと思った
料理人が何かやることによって、地元の人が地元の野菜が食べられるようになるのではないかと思って店を開店した
庄内の野菜はパワーがあるのはわかっていたので、東京に居た時代は微かな想いであったが、帰ってきてからは確信に変わっていった
「アルケッチャノー」(あったねー)という店を出す 

店に行くようになって、2年ぐらいたってから話すようになった(お互いに伝統野菜に興味を持つ)
絶滅したはずのかぶの漬物を食べることができて歓喜した  (ほうやかぶ)
勝福寺ニンジン 種が絶滅してしてしまった(タッチの差で絶滅してしまった)
今すぐにやらないと駄目だと思った
ほうやかぶはたった一人のおじいさんが持っていた 5から6人の人が株を栽培されるようになった
2000年ごろに博士論文がまとまり、次のテーマを探していた
青葉 高先生の本に出会った  東北一円の伝統的な野菜の歴史、利用法等がまとめられていた
「野菜の在来品種は生きた文化財」と追う言葉が出てきて、電撃が走ったようにかんじた
私が探し求めていたテーマはこれだと思った
学生時代からずーっと植物の資源に関する特性やら、遺伝的な性質やらを研究していたが
地域に根ざした研究をやりたいと思っていたので、是非伝統野菜の研究をやろうと決意した

ダダ茶豆も30種類ぐらいある  うどがわらきゅうり  とのじまきゅうり  こまぎ大根  みんぜんなす  バラエティー豊かな野菜がたくさんある
赤ネギ 茎の白い部分がピンクになっているものがある  色も綺麗だし美味しい
TV、本に出たりして爆発的に生産するようになった 他の県でも赤ネギが作られるようになった
煮ると甘みが出る 他のネギにくらべて1.3倍ぐらい (火にかけると甘さが出る)

その野菜の言いたいことを分析して、野菜から考えてゆく料理をやると世界で一つしかない料理になる、しかもその野菜には在来野菜の物語が付いているので、物語は江頭さんが作ってくれるのでお客さんがいっぱい来る
私は物語を作るのではなく、調査して、きちんと裏付けのある情報を奥田さんに伝える
野菜の生産者の方にも来ていただいて食べてもらう
野菜が言いたいことを聞いて、その作物が生育して居る時の状況を料理で作りたい
手数を多くしてゆくと、野菜の自然の持っている香りが無くなって、人間の香りがついてきてしまう
神の味から人間界の味になってしまうので、なるべく必要最小限の手数でシンプルにその野菜を引き立ててくれる食材と掛け合わせて出すという料理です

普通野菜が主役になるという事は無いが、奥田さんの料理は野菜が主役になっている
目からうろこの事柄だった
2003年に山形県在来作物研究会が発足する
大量生産大量消費の時代に、古臭い野菜は作っても金にならないという事で、つくるのも食べるのも無くなってきてしまった
もう一遍光を当てて、多面的に伝統的な野菜を見直そうという事になり、発足した
大学の教員が中心であったが、奥田さんが後ろから後押ししてくれた
会員は民間からも入ってくる(高校生。主婦等市民に開かれた会員) 現在420名
その野菜の歴史、どういう背景を持っているか、聞きながら食べると又一段と美味しさが違う
凄い人気が出る(日本全国から聞きに来たり、食べに来たりしてくれる