2013年5月25日土曜日

豊田則成(スポーツ心理学)    ・心と体を繋ぐこと

豊田則成(スポーツ心理学)・心と体を繋ぐこと
オリンピック日本代表選手などのトップアスリートの精神面でのサポートをしています  例えば現在の男子柔道の監督の井上康生さん こういった金メダリストなど多数見ていると言う事です

緊張、不安といった話 トップのアスリート達と一緒に仕事をしている中で緊張、不安と言ったことと直面するのでそういった話もしていきたいと思います
琵琶湖スポーツ大学で教鞭をとっている  スポーツ心理学を専攻
人間と言うのは過緊張の状態、不安な状態があると想像もつかない事が起こってくる
例えば、甲子園で高校球児がさわやかにプレーをしているが、最初の行進 各都道府県の代表が行進をしているが、右足と右手が一緒に出ているとか、後ろから間違っていると指摘されて、スキップして更に同じ動作をしてしまう
緊張すると人はなかなか自分の体もコントロールできない

オリンピック選手が実力を発揮して金メダルをとるように、日々の練習の中でより向上するように我々は科学的なアプローチをしています(右肩上がり)
10代から20代が主体 一度オリンピックの選手になっても、ずーっと現役選手でいられる人はいない  右肩下がり 選手が選手で無くなった後、どうやってその後に人生を歩んでくれるのかなと、そういう事のサポートをしてゆくのもスポーツ科学の大事なことなんじゃないのかなあと思っています(そのような研究を20年近く続けてきた)

フィールドワ-クと言うやり方を採用している  全国各地に散在されている元オリンピックアスリート達の生活している真っ只中に飛び込んで行ってお話を伺うという方法を取っている
その内容で何か物事の真理や道理が見つけ出せるのではないかと 研究している
オリンピックで自分の目標を達成した選手たちが、その後どのような歩みをしているのかという事はあまり世の中で追跡はされてない(一過性 成績を出した瞬間からほんの少しの期間)
その後を生き生きと過ごしてゆくためにはどのようにするか、が課題となります

自分の人生の歩みに立ち止まった時には、先輩に話を聞きます
判らない事があった時に、人と言うのは一番最初にそれをする方法として、近くの話を聞くという方法がある(心理学の専門に取ってみても最も優れた方法です)
元オリンピックの選手に伺っても、なかなか話してはもらえない
自分の話はできるのだけれど、できない時もあるんだんなあと判った
人に話を伺う事は難しいことだといろいろ経験した

話しを聞く場 ゆっくりと話をしていただく場が大事 背中に壁があるほうが話しやすい
応接セットの場ではちょっと斜めの位置に座るほうがいい
人が話をするのは、ちょっと待つことが大事(聞き手のスタンスで人に話を聞いてしまうと話し手は十分話したなあと持てないような感じがする)
私が心がけてるのは、話し手が十分話したい、話せるだけ話してもらう事に物凄くちからを注ぎます
通常インタビューは1時間をめやすにするが、長い時間(5時間)を一方的に話す人がいるが、こちらが聞きたい事に対して、関係のない内容もあるが、必ず重なる瞬間がある
複数回会って聞いたりすることによって、こちらが聞きたいと思っていたことを自然と話してくれるようになってくる  
事例 1998年 長野オリンピックの年  東京オリンピックで活躍したり、それ以降の金メダルを取った人に一人一人伺う事をしていました  長野オリンピックの真っただ中で機会を設けた
知り合いから金メダルの人だと伺っていたが、あってみたら吃驚した 私より体が小さい
私とは親子ぐらいの年齢差を感じた  
会って数秒して、偉人としての感覚がザーッと襲ってきました(この方は只者ではないぞと感じた)
インタビューを開始する 散々調べておいて聞くようにしておいた
こちらが何も言わないのに、身の上話を始めた 
20分ぐらい過ぎてからこちらが用意した聞きたい内容から離れて切り替えて聞くようにした
金メダルを取ってゆくプロセス 金メダリストから普通の人に移ってゆく時の悩み、今の生活でどんなことが苦しいのかとか 聞こうと思っていたことに勇気がいるなあと思っていた内容にどんどんされてゆく  これはすごい経験をしてるぞと思った  
聞きたいことと話たいことが合致している
3時間話をされた  その後豊田さん飲みに行きませんかと誘われた
人の本心を伺う事はインタビューでは硬さがあって無理なところがある

意外なところに金メダリストの片りんを伺い知ることになった
ビールを注ぐや否やすぐにのどに放り込む それを何度も繰り返すが私との会話を楽しんでいた
親子ほどの年齢差があるのに稟とした様子に吃驚 若い事鍛え上げたんだなあと思った
金メダルを取った私なんか良い例なんですよねと話し始めた(えっと思った)
金メダルをとる輝かしいお話をしていただいていたが、それを崩してはじめた話は辛い話
本当の姿を感じた 

アスリートはどんな取り組みをしているのか  山に登るといった観点にたとえて言います
物凄く険しい山を全力疾走で走って登ろうとしています
世の中でたった一人の存在になろうとしている NO1になるためにはオンリーワンの取り組みをしなければならない    非常に孤独な世界に入っていく
非常に険しい道のりは時間と労力を要します
険しければ険しいほど命がけで登ってゆきます 体には鋭い感覚が宿ってくる
死んではいけないと思うと人間の体は物凄い可能性を出してきてくれることがある
想像を絶するような過酷なトレーニングが待ち構えている

強靭な肉体ができ上ってくる  もう辞めたいとの気持ちがあるが自分を追い込む
想像を絶するストレスとも向き合わなければならない 孤独感とも立ち向かわなければならない
それだけ自分のことを追求するんだけれども、多くの方々に支えていただいているという感謝の気持ちを忘れない
山を登りつめたときに、頂上にたどり着いた景色はおそらく絶景なんだと思います
その人にだけにしか見えない景色

頂上にたどり着いたが思ったよりも良い景色ではなかったんだよなと話してくださった人がいた
登りが険しいけど、下りがある(右肩下がり)  どうやって降りるか
現役を引退すると長い時間 練習をしなくてもいい 自分が自分らしくない様に感じる
指導者になればとの話があるが、はいわかりましたというわけにはいかない
年を取ってくるといろんなところに古傷ができてくる 
一心不乱になって走ってきたときに、止まって周りを観たときに、自分がこれから入ってゆく世の中で自分の年齢と同じかたが、もっと先を歩いているように感じる

一生懸命取り組んできたので、それ以外の事を見通すことができないでいる
不安を感じる ストレスを感じる  多かれ少なかれ人生はそういう事にぶつかる
アスリートがアスリートで無くなる事は、我々にとっては自分らしさが見えなくなる、自分が自分で無くなる、これほど苦しいことは無い  迷うのが人間 生きている間にチャンスとピンチがくる
アスリートである自分からアスリートでない自分に移行してゆく
新たな肩書きを見つけるのは非常に難しい 
我々がずーっと一つの仕事に拘っていられるのは、肩書ではない 根底に流れるなんか自分らしさ、自分がつながっている感じ、それを大事にしながら生きているのでその会社にいられる

険しい山に登った人はなかなか見つけられない だけど見つけていかなければならない
人の人生の歩みから学ぶべきことは沢山ある
ここでどうすればいいのか分からない時は近くの人から、話を伺う事がいい
そうするとその方から物凄い英知をもらえることがあるかもしれない
人生の移ろいは決してスムーズでなくていいと学ぶことができる(一人としてスムーズに来た人はいない)  どういう風に乗り越えてきたのか
近くの人に学ぶことはできるが、自分らしく生きることしか答えは無い
いろんな話を参考にしながら、自分らしさを作り上げてゆく それが人生なのかなあとアスリートから学んでいます

人生と言うのは螺旋式に成長してゆくのかなあと考えています
螺旋は渦を巻いてどんどん上がってゆくが、 上から見ると同じところをグルグル同じところを回っている様にしか見えない
でも横から見るとジグザグゆっくり上がってゆく  
人の話を伺って学ぶということは、いろんな同じ様なところをグルグル歩いているんだけれども、いずれ成長してゆっくりと人生を歩んでいっているだなあと、いろんな角度から自分の人生を見つめ直しす必要があるんだなあと気付かせてくれる事もありました