2012年12月23日日曜日

新里和弘(医師)             ・認知症患者には優しさが一番

新里和弘(医師)          認知症患者には優しさが一番
20年間認知症と付きあってきました   
根本的な治療法が見つかっていない現在 一番の治療法は親切と優しさだと言われます
その考えを実践するために、今年四月都立松沢病院では新里さん達は中心に成って認知症の
患者が住みなれた地域で家族と一緒に、安心して生活できるように
地域に根差した医療、福祉、介護の密接なネットワーク化を測って認知症疾患医療センターを
開設しました 
認知症患者と向き合って20年
認知症患者300万人を越えた(65歳以上)  今は割と早い時点で私は病気なのだろうかと言う方が増えている

地域連携 地域に出掛けて行くことがある  
認知症の事について知りたいという欲求がある,増えてきている実感がある
昔はMRIが無かったが、今はMRIで検査をしている しかし基本的な診察は同じ  
最近は診察されるのは昭和一桁の人
20年前は 認知症とは云わず 痴呆と言われていた  
私は精神科医だったので認知症の対応が気に成っていた  厳しくしていいことは何もない
丁寧に接する   大事なことは本人が如何に安心感を持って貰えるかだと思う  
旦那さんが認知症  ある日 旦那が岡山のおふくろのところに帰ろうかと言う  
親は亡くなったのよと言うと はっと驚いてその後看取ったのよと30分ぐらい話す

2から3時間してまた同じ話をする  
どうしたらいいかと相談があり 身体が丈夫だから大丈夫よ,貴方がそう言うなら岡山に帰りましょうかと言ったら,このことは2回でぱたっと止んだ  
亡くなった事実は忘れてしまうが 親孝行出来なかったというような悔みの念が有って、それがまた次の言葉として出て来る
そういう意味では奥さんは嘘を言っているが、それは本人の安心感を重視する方向で有れば、
ある程度の演技、アドリブで対応する 
そうすれば納得する(その時の感情が収まるそれを続けることが良い介護に成ってゆく)
認知症を家族の中だけで済まそうと言うことは通用しなくなった  
介護保険を受けていろいろなサービスを使う
  
オープンに成って認知症を支えてゆく方向に有る
時代は変わってきた実感はる  あるところまで進むと家庭内では処理できなくなる  
多くの人の助け知恵をかりてやるのが鉄則ですので、助けを求め合おうよ と言う姿勢
家族を支援することは 患者さん本人を支えているというコンセンサスが出来上がってきた
治療の変化は? 昔は薬はなかった 入院希望した  
進行の程度を遅らせる薬が4つ出来てきた
ので、早目に受診して貰って早期に薬を飲む方向になってきた
認知症は認知機能が低下および社会生活の問題が生じて認知症と判断される  
生活に問題が無ければ認知症ではない

出方が違う認知症がある(万引きとか)  6~7割はアルツハイマー  血管性認知症 血管が詰まって脳の一部がやられる
アルツハイマーはやられやすい部位がある海馬 苔状回    4大症状がある

①レビー小体認知症  脳の中にレビー小体という物質が沢山出て来る  症状が特徴的 
 見えないものが見える(幻視)  皮膚の上を虫が這っているとか
   パーキンソン症状も出て来る   薬の調整の余地のある病気
②前頭側頭型  もの忘れと言うよりはと言うよりは人格の変化  万引き 車で乱暴な運転  
 高速道路を逆に走ってしまったりする
③物取られ妄想  人のせいにしてしまう アルツハイマーの初期から中期に掛けてが多い
④嫉妬する妄想     私のいない間に人を連れ込むとか    妄想は訂正不能
 生活の積み重ねで出て来る妄想なので軽いもの

感情が積み重なって家族の者が取ってしまったのではないかと言うようになってゆく
70、80歳になると脳の機能が低下するもの  判別は難しい  
認知症は年単位で必ず進んでくるので 矢張り変化を感じた場合は専門家に掛りやすい社会に
するといい
早期発見、早期診断、早期治療 が必要だと思う(進行性の病気なので)
記憶力の低下 の判別難しい  
2年前にMRIを取っていれば 今回取って比較するのが一番良い

家族だけが相談できる窓口を設置して 家族だけで相談して貰う 
内容によって良性 悪性なのかの判断はできる
悪性は事柄自体を忘れてしまう 会った人の内容が忘れていたりするのは良性だが会ったこと自体を忘れてしまうとか5分後に同じことを言ったりすると悪性,根治薬は現在はないが 
若年性アルツハイマー  65歳より若い世代   非常に告知をされたときはショックなこと  
家族で皆で協力していく 尊厳を重視した対応 認知症は本人の認知機能が
低下するので 段々と自分が病気だと言う意識が無くなってくるので尊厳を重視した対応が
出来なくなるので、安心感を重視した対応に切り替えざるを得なくなる

切り替えを旨く周りの者がサポートする必要がある  
尊厳を重視した対応から安心感を重視した対応に切り替える必要がある
資源を如何にあちこちから取ってくるか (手帳、年金) 情報を集める必要がある
先ず介護保険の申請  介入のチャンスを意識して伺うべきだと思う  
認知症を抑制するためには刺激が必要
もの忘れについては抑制する薬を飲んで貰う   プロセスの経過の中で問題行動が出て来る  
夜眠れない 大声で騒ぐ 幻覚 徘徊 

その時に薬がかなり有効です 症状によってはかなり効く     
家族のサポート 不安、不満を聞いてやる  頑張りすぎないように入院を進める
環境が余り変わるとよくないが、アットホームな感じで行うようにする  
(拘束は行わない ショートステーの様な感じで行う)
徘徊については薬は効かない  家族が一緒に回って満足すれば一番良いが,一日中回らないと気が済まないような人がいるので難しい処も有る 
イギリス 初期支援チーム 看護師 ケースワーカー 医師がチームを組んで病気の対処法、家族の支援をする仕組みが動きつつある

再生医療 判らない  中枢神経系なので 神経細胞が無くなる  
大元の原因がアルツハイマーであればアミロイドというものが溜まって行くために神経細胞が減ってゆくのでiPS細胞が如何役に立つかは判らない  現状では治すことは出来ない
ワクチン かなりの人が副作用でなくなった  亡くならない方は中断した 
認知症が進んで亡くなった 脳を調べた その時にアミロイドはすっかり無くなっていた
それにも拘わらず認知症は進んでしまっていた  ワクチンが効いてアミロイドが無くなってしまった  
副作用の無いワクチンのをつくること,おそらくワクチン等、根治的な治療を行うにしても認知症は明らかになってからでは遅いではないかと言う事 早い段階でアプローチをしないと効かないのではないか

認知症は どんどん早期診断  アミロイドは病気が出て来る10年20年前から溜まり始めていると言う事が判って来ていて そこの段階から知見を始めたいと思っている
微妙な問題で PET検査でアミロイドが溜まっていることが判る  しかし治療法が判らない  
慎重に今後も進めて行く事が必要がある
沢山の薬が開発されて現在ある4つの薬を旨く使う 医療だけでは完結しない 
告知は始まりであってサービスを受け 家族で支え介護サービスが入って広くは社会が支える
必要がある  
「恍惚の人」徘徊のたびに弱ってゆく  病み抜ける  
最後まで暴れて亡くなってゆく人はいない 
大変な時期を旨く乗り越えて 旨く病みぬけて良いお婆ちゃん 良いお爺ちゃんに成れて、その辺を目的にしている 
旨く援助が出来ると言う事を治療のやり甲斐にしているので 「病み抜ける」ことが大事