白旗眞生(NPO法人 青少年の居場所Kiitos代表) ・子どもたちの”止まり木”に
東京調布市のマンションの一室に生きづらさを抱えた若者およそ270人に居場所を提供している青少年の居場所Kiitos(フィンランド語で「有難う」)というグループがあります。
このマンションには毎日平均して20人位の子供、年齢12~30歳の方が通って、勉強、相談事始め、必要と認められた場合は昼夜2食の食事を無料で提供しています。
子供達の止まり木になりたいと、6年前NPO法人 青少年の居場所Kiitos代表の白旗さんに伺います。
Kiitos(フィンランド語で「有難う」)は友人から頂きました。
中学1年生から30歳まで、生きづらさを抱えた若者達の居場所です。
子供たちに安心していられる場所を家の様なところを作りたいと思いました。
ゆっくり羽根を休めて、巣立って行ってほしいと言う希望もあります。
子ども家庭支援センターから重い家庭の状況などのいろんな理由で食事をさせたいとか、教育委員会からも同じように、連れてこられたりします。
学校と連携したり、家庭と連携したりして、そんな中から子供を連れてきます。
子供から積極的に来ると言うことはないです。
ここは4DKです。
朝の11時~午後6時までです。
貧困だけでなく、夫子家庭で食事ができないとか様々な事情を抱えた子供達です。
不登校の子供、仕事をしている子で休みの日に来たりします。
6年経ちまして、就職に関してもなかなか順調ではないです、スタッフが応援しながらやっています。
母子家庭、夫子家庭、母親が精神を病んで寝ている家庭、父親がリストラで仕事がない家庭とか本当に様々です。
コンビニの弁当を食べていたり、2日に1回しか食べられない子がいたりします。
両親に知らせると言う事はしていません。
インターネットで子供の居場所を調べるとここが出ていて、自分で尋ねてくることもあります。
運営費は人件費は無しで年600万円掛かります。
調布市からは年間180万円もらえます、企業の助成金50万円頂きますので230万円です。
400万円近くは個人の寄付です。
賛助会員、時々の寄付などがあり、ボランティアの人が60人いて食事、学習支援(7~8人)を行っています。
掃除、夕ご飯の後片付け(100枚位食器がでます)をしてくれる方もいます。
事務のボランティア、など様々な分野のボランティアをしていただいています。
子供達は隣接している市などからも来ています。
20代の人達は家から出られない、ひきこもりで何か居場所を探してきます。
20代になると世の中の役に立ちたいと言う気持ちがあり、行ってみたいと言う事で、実は居場所として行きたいと言う様な感じで、何かできることはありますかという事が多いです。
子供が学校に行かなくてどうしたらいいかという保護者の方からの電話も多いです。
お母さんが楽になればいいと思ってお母さんの話をきく事もあります。
20代の後半の人は人に慣れることにもなり、人の役に立ちたいという気持ちがあります。
最初中高生の児童館の相談員をしていて、そこは18歳で終わりで、18歳の子達はどうするのかなあと思って、Kiitosを始めてその子たちが10人位来ていました。
食事のこと等考えてなかったが、食事ができない子たちだと判ってきて、食事を作るようになって、
子供達が辛い思いをして生きてきているので人を気遣う、思いやると言う事は無くて、私たちがそうしてやることによって、何年かするうちに段々と自分も人にたいして気持ちが優しくなると言う様なことだと思います。
子供たちから教えられることもいろいろあり、お互いに有難うという様な関係です。
ボランティアの人の中には自身が小さい時に両親をなくしたり、生きづらさを感じた人達が何人も来ています。
この6年間で子供たちに教えられながら、それをどうやって運営に反映してゆくか、そんな状況でやってきて、福祉の様な臭いがしないと言われます。
ボランティアの人達の中でのもめごとは無いですかと聞かれますが、まずないですね。
どうやって大人になっていいか判らず、いろんな人がいて、こんなおばちゃんになりたいとか、こんなおじちゃんになりたいことから始まりますので、ボランティアをやっている側からしても嬉しいです。
大学では音楽を専攻して、子供にピアノのお稽古をしたり、長い間子供と関わってきて、とてもいい経験をさせてもらいました。
4歳~18歳までの成長を観ることが出来ました。
障害のある子供たちも来てくれて、ピアノを習うと言う事よりも、楽しく過ごしていて、心理を学んだ方がいいかなあと思って、心理の勉強を40代の後半に大学に行って学びました。
たまたま発達障害の介助の依頼があり、何回も断ったが、或る学校にその子と一緒にずーっと行って2年半過ごしました。
大学の先生から調布の児童館の相談員を探しているので行ってみないかと言われて、行きました。
そこで18歳以上はどうなるの、という事からKiitosにつながる訳です。
基本は家族ではないでしょうか。
子供を見ていると家族はいる、家庭もあるわけですが生きづらくて、子供が経験しなくていいことをたくさん経験する。
養護施設をでた子供が同じ言葉をはいたんです、「親を探して殺したい」と言うんです。
普通はそんなことは考えてはいけないと言うかもしれないが、私は「そうだよね、そういう気持ちになっちゃうよね」、と言って、彼等としては共感してもらえた。
正しい、正しくないではなくて、そこからが、その子供達が詰まらないことを考えてしまったと後から、詰まらないことをいっちゃったなあと気付いてほしい。
時間はかかるかもしれないが、気付いてもらう事を待ってあげること、そこが大事だと思います。
「お前なんか生まれなければ良かった」、「お前なんか死んでしまえばいい」と言われる子がいて
そういった事、いろいろなことが言える場なんです。
親も或る意味被害者だと思いますが、子供達だけでも負の連鎖をここで切れたらいいなあと思います。