中村英雄(徳島市・新町川を守る会理事長) ・川は見られて美しくなる
77歳 徳島市の中心部を流れる新町川は高度成長期には、工場や家庭からの排水、ゴミなどで汚れ、殆ど魚は生息していませんでした、
中村さんは川の惨状を見かね1990年に新町川を守る会を結成し川の清掃活動を始めました。
中村さんの持論は川は見られて美しくなる。
中村さんたちのひたすらごみを拾いつづける活動は共感を呼び、10年ほどたったころから川は見違えるように綺麗になってきました。
中村さんは川から見る徳島の街の美しさを多くの人に感じてもらおうと、ひょうたん島周遊船を始め1年に5万人が徳島の川と水の美しさを体験しています。
川を守り水を生かした街作りをどう進めてきたのか、この先目指すものは何か伺いました。
靴の販売の仕事をしています、4店舗あり革靴が主です。
新町川は吉野川(194kmある)の支流。
ひょうたん島は新町川と助任川に囲まれた一周6kmのひょうたんの様な形になっている。
昔は新町川は綺麗でした、泳げましたが、昭和40年ぐらいから汚くて消臭剤などを撒いていました。
30ppm以上はあって魚は住んでいませんでした。
昭和54~5年頃に徳島青年会議所が余りに汚いので掃除した時があるが自転車が200台位でてきました。
徳島市の阿波踊りは夜はにぎわうが、昼間のイベントを何とかしないといけないと、アイデア募集があり、私は新町川で筏レースを提案しました。
満潮の時にスタートするところが、ごみがいっぱいあって、へどろで川が真っ黒になって何とかしないといけないと思った。
平成2年に新町川を守る会を作って川の清掃をしてゆきました。
当時10人ぐらいでしたが、そのうち今は5人残っています。
出来る人が出来る時に出来ることをと言う事でやっています。
毎月1日と第3土曜日にやりますが、私はこの間休んだのは1回か2回位です。
私はごみを取ろうとする時に、川には3~4回は落ち込んでいますが、大きな事故は無かったです。
効率の悪い清掃作業ですが、続けているうちに市民の方で放り込まないようにしようとする気持ちがでてきます。
東京、大阪などでは大きな船で業者が掃除しているが、あれでは放り込まない様にしようと言う気持ちはでてこないと思う。
ごみを放ったりするのを見て、いかんと怒ったりすると、逆効果になるし、黙々と拾ってゆく事が川を綺麗にする。
背中で見せてゆくと言う事が物凄く大事だと思います。
2~5年ではだめだが10年すると物凄く違ってきます、市民の見る目も変わってきます。
建物も川の方を向いてきます、窓も川の方に出来てきて、川の方に向いて家ができてくるようになります。
川の水質が良くなってくる。
川の縁がヘドロだったのが、砂が溜まってきます。
綺麗になってくると川に愛着を感じます。
行政の方でも、市とか県の新人研修に川掃除が入っています。
女優は見られて美しくなるが、川も見られて美しくなる、見てもらうと言う事は物凄く大事です。
川に人が集まる様にやっています。(イベント 寒中水泳とかライブとか)
新町川を守る会の会員は300人になりました。
県外からも20人ぐらいいます。(東京、岡山とか 年に1回位来ます)
会費は年間3000円です。
年に10人位増えています。(30人が新たに入って、20人位が退会)
若い人が増えている。(海外の人もボランティアに参加します)
日本の川を綺麗にしたいと言う思いがある。
ひょうたん島周遊船を1994年から始めましたが、最初は第一、第三の日曜日に出そうと言う事で9人乗りのボートで年間200人ぐらいでした。
川から見ると街の視点が変わる、綺麗に見えて、それが行政に反映されるので、見てもらうと綺麗になる。
市民に乗ってもらって自分の街を見てもらって綺麗だとなってくると、行政も力を入れてくる。
現在1年間で5万3500人が乗っています。
大人が200円子供が100円と言う事になっています。
事故があったら大変なのでいろいろ気を使います。
徳島は川が多いので、川を生かして地域作りをしたいと思っています。
吉野川サンセットクルージング 鳴戸へ行く船も出しています。
運航経費はボランティアでやっているので市民も応援、行政、企業も応援してくれ船を寄付してもらってます。
運航経費は市民から寄付をもらっています。
市からは年間300万円を出してもらっていますが、修繕費などを含めて経費は1000万円以上かかります。
花植えでも年間600万円掛かりますが、市民の寄付でまかないます。
川が綺麗になる、道路が綺麗になると市民の意識が変わってきます。
住民が主体になってやってゆくと、行政、企業が必ずついてきます。
掃除は手段であって、将来どんな街にするのかという事が大事です。
朝5時~夜9時まで川とか道路にいますが、良くなってゆきます、自分でも感動する様なことがあります。
まだまだ良くなってゆくと思います。
川を使っていろいろなところに行けるようにして行きたい。
はも等徳島のおいしいものを食べれる様な事をして行きたい。
100歳までいって、船を運転して、その間に後継者を作りたい。