2016年5月25日水曜日

蓬田勝之(パフューマリー・ケミスト) ・バラの香りに魅せられて(1)

蓬田勝之(パフューマリー・ケミスト) ・バラの香りに魅せられて(1)
家の庭先などで薔薇の花を見かける季節になりました。
蓬田さんは香りの専門家、大手化粧品会社の香料、香りの原料を分析する研究所に長年勤め、ジャスミン、蓮等の花やスパイスの調査などを行ってきました。
薔薇に関しては1000種類以上の品種を分析し、それまで知られていなかった化学物質を発見するなど研究の第一線で活躍しています。
紀元前5000年頃というはるか昔から人々に愛されてきた薔薇の香りにはどの様な秘密が隠されているのか、伺いました。

パフューマリー・ケミスト 私が適当に付けた名前です。
早期退職をして、名刺に書き入れました。
パフューマーは「香調師」 あたらしい香りを材料を組み合わせをしたり、その人の感性で作り上げる仕事をする人。
入社筆記試験のほかに香料を嗅いで、マッチングテストをしたり、濃度の順番にならべるテスト等を行って香料研究所に配属されました。
石鹸、口紅などに向いた香りを作る仕事。
助手みたいな形で入ってやってました。
天然香料 700~800種類、 合成香料1000~1500種類、調合香料を合わせると無数にあります。
古い香料を捨てるように言われたが、とっても旨そうな匂いだったが、嘗めてみたらとっても苦かったことがあります。
口に入る食べ物は全て香りが作れる状況にあります。(海苔、梅干しなども)

3大花香 ①ジャスミン(香料の王様) ②ローズ(女王) ③スズラン(お姫様)
ローズが重要で、ローズが水中に入ると他の香料と相性が良くて上手く結び付けてくれる。
ジャスミンにはそういうことはない、使える範囲が少ない。
薔薇は香水の高級感を高めてくれる。
香料の研究は薔薇で始まり薔薇で終わると言われる。
薔薇の研究はしているがジャスミンの香りの研究はあまりしていません。
薔薇が美しいと古代の人が言ったが、香りが違う事が判っていた。
香りのない薔薇は笑わぬ美人に同じといわれる。
以前は花の形を重視して交配してきたが、園芸界は香りは第一義的になってきた。
嗅覚で判断してきたが、ガスクロマトグラフィーという装置がでてきて、分析機にかけると臭いのおかしな成分が入っているかが判る様になった。
感度のいいものがでてきて、臭いで嗅ぐことと成分分析と合わせて、データを取って、融合させて今までにない様な蓄積をして来る仕事をするようになってきました。

臭いは専門の用語がない。
ヘレン・ケラー 3重苦だが大人の人の香りは人格の臭いがそれぞれ違って面白いという言い方をした。
アロマコロジー 芳香を意味するアロマ(aroma)と、心理学のサイコロジー(psychology)を組み合わせた造語
人の生理のデータ ストレスホルモン、心拍、脳波などから微細な違いが判ってきた。
ホメオスタシス 
皮膚に対して薔薇の香りはどうなんだという研究をしたいと言う人が現れたが、いい香りの或る成分がまず脳にきて、皮膚の一番上に角質があるが、健常人は何日かで入れ替わるが、ストレスがあると荒れる。
お化粧乗りが悪い時はストレスがかかって乗りが悪い、その時に薔薇の或る成分が入った香りを嗅ぐと、嗅がなかった群と比べて、皮膚の機能を回復するデータがでてきた。
ガスクロマトグラフィーはものを分離する事が一番最初にある。
出てきた成分を私たちが嗅ぐ、微量な成分がひょいと出てくると、薔薇の或る特有な成分だと嗅覚が判るので、機械と人の融合で私たちは香りの研究をしてきている。

味では甘い成分としょっぱい成文が混ざると甘しょっぱい味になるが、香りはある成分とある成分が混ざると違う質になってしまう。
美しい香り 美しい絵、音楽と同様に美しいと感じる香りの配合とかがあるのではないかと興味がある。
万人がいいと言う様なものがあるはずだという事を意識しながら、調香をという事をやっているはずで、こういうのも面白い仕事だと思います。
日本民族はお香の文化があり、欧米人と違う文化 DNAをズーと引き継いでいるのではないかと思う。
ブリーダーの皆さんと話して日本人の感性で美しいと感じる薔薇の香りをこれからは作って発信しなくてはいけないと皆さんそう思っています。
日本人の感性の琴線にふれるような美しい香りはどういうものか試作して作ってみて応答を聞いてやり取りして作り上げて行こうと思います。
「美」 羊に大きい 羊の群れを見て大きな羊がいて、大きな羊は神にささげるのにふさわしいと言う事で語源があるそうです。
「something gereat」「偉大なる何者か」 そういうところに持っていくと受けいられるような臭い、そういう美しい香り。 
美しい香りを薔薇でそういうものを生み出したい。

桜、蓮、菊とか欧米ではいい香りではないものを日本人は良いとすることがあり、そういう香りを見つめ直して、自分で美しいと思う感性を薔薇の中に入れ込んで、自分なりの美しい香りを作って行けばいいんだと思います。
自然の薔薇の香りをよく嗅いで、手で温めてあげたりすると香りは出てくる。
薔薇には香りのないものはないと言われている。
薔薇の香り 「家庭で仕事に追われて疲れてしまうが、そちらの作った薔薇の香りを嗅ぐと女性としてのスイッチがオンになる」と言ってくれた女性がいて、又前向きな姿勢に成れると言われて、その言葉に感動しました。