渡辺由美子(NPO法人キッズドア理事長) ・貧困の連鎖 学習支援で断ち切れ
経済大国日本でおよそ6人に一人の子供が貧困状態に置かれています。
子供の貧困を放置すれば、教育の格差拡大につながりかねないとして、子供への学習支援をしているのが、キッズドアです。
理事長の渡辺さんは千葉大学を卒業した後、大手百貨店等を経てフリーのマーケティングプランナーとして活動していましたが、2001年から1年間家族全員でイギリスに住みました。
その際社会全体で子供を育てることを体験、帰国後NPO法人キッツドアを設立ました。
2010年から渡辺さんは進学を希望する中学3年生を対象に学習会、ただゼミを始めました。
ボランティアの大学生や社会人がマンツーマンで生徒に勉強を教えるもので、現在1200人のボランティアが登録しているそうです。
中学3年生に高校受験のサポートを無料で行う無料学習会です。
私は大学では工学部で勉強していました。
就職は大手百貨店で店の販売促進の部署に行き、大きなイベントなどをさせていただきました。
百貨店を8年間いて、1年間出版社に行き新雑誌のたち上げで企画等を手伝う事を行いました。
その後フリーのマーケティングプランナーとして、活動をしていました。
インターネットでホームページを作る会社が多くなり、子供関係のホームページをやってほしいという事で企画をだしたりしていました。
子供が2人出来、子育て8割、仕事が2割という様な事になりました。
子育てをしていると、社会からの疎外感が生まれてきて、子供の社会と普通の社会を繋げる様なドアーみたいなものを作って行かないと、うまく行かないなあと当時から思っていました。
主人の仕事の関係で2001年から1年間家族全員でイギリス行きました。
8月に行き、子供は小学校に入って、下の子も保育園に入りました。
吃驚したのは書類の手続きなどは、あまりなく簡単な誓約書を書いたらOKという事でした。
長男は手間のかかる子だったし、英語も出来なかったが、受け入れ態勢はしっかりしていた。
半年間、有償のボランティアのお母さん達が毎日フルタイムでうちの息子に来てくださる。
地域で特別な子供が来た時には、予算が手当てをされて、最適な方に声をかけてやっていただく様な仕組みでした。
我が子の様に可愛がっていただきました。
1年間で英語は割と読む力、会話する力も出来てきて、日常生活もそれほど困ることなく出来るようになりました。
いい友達もできて、私の子供に対して、学校での規律を守らなくて厳しい状態だったことを、英語では分からないので私から言ってほしいと、友達が家に来て告げてくれたりした。
遠足以外はお金の徴収は一切なかったので、お金はかからなかった。
学期の初めに、学校からこんなものが必要だという物品寄付リストが来て、各家庭から出せるものを寄付してくださいという事で、集めてそこから必要なものを取って使うという様な方法です。
日本に帰ってきて、都内の学校に入ることになり、子供を取り巻く社会が大きく違う事が判った。
イギリスでは友達のために行動できるかと、日本では授業を中断させるために友達にちょっかい出すか、これは大きな違いです。
日本では教育にお金がかかるのでいろんな意味で格差ができやすい。
親御さんの都合でちょっと大変な環境にいる子をサポートする団体がなくて、こんなにないものならやってみようと思ったのがキッズドアの前身です。
無料の和文化体験、サイエンス教室などを開いたが、いいイベントで有るほど、本来来てほしい子が来なくて、豊かな家庭の子が来た。
キッズドアのやり方を根本から変えて、困っている方をサポートする。
人件費が大変なのでそこをボランティアの方に対応してもらって無料で提供できる様なサービスにしてボランティア集めをしたのが2009年です。
新聞社が記事を載せて頂いて、次の日が電話が鳴りっぱなしになった。(母子家庭等だった)
低所得の方は私立にとてもあげられないので、困っている事が判りました。
場所探しで、或る社長さんが日曜日ならば会議室を提供できるという事で、2010年夏休み夏期講習から高校受験無料対策講座ただゼミを始めました。
一番多い時は50名位、東京中から新宿に来てくれました。
レベルがかなり低い子もいて毎日格闘でした。
子供にとっては今まで孤立していたのが、親身になってくれる人がいるという事で、すごく気持ちが前向きになって、できるようになると自信になって、好転して伸びてゆく。
初年度38人が通ってくれて、全員高校に受かることになった。
人を信頼する力、自分が努力して頑張る体験がすごく大きいと思います。
寄付をいただいたり、場所を提供していただいたり、助成金みたいなものを書いて、頂くとかで毎年綱渡りでやっています。
企業、個人の方にご支援いただいている様な方も段々増えてきました。
まだまだ日本の子供の貧困に気が付いていない方がいらしって、そういう事をお伝えしながら、子供への支援をもっと考えて頂きたい。
力不足で今年の入試対策の定員は一杯なので、もっと活動を広げてゆくために資金をきちんと集められるように寄付のお願いをしっかりしてゆくなどして行かないといけないと思います。
子供は親を選べないので、生まれた環境で大きな差が付いている事は子供にとって本当に切ないことだと思うので、それを支援してやると伸びるので、子供が喜ぶのを見るとそれは嬉しいので活動を続けて行こうと思います。
子供たちがしっかり力を付けることが日本の将来を明るくすることだと思うので、日本全体の問題としてやらなければと思います。