2015年11月15日日曜日

桒山賀行(彫刻家)        ・手で見る彫刻展の25年

桒山賀行(くわやまがこう 彫刻家)          ・手で見る彫刻展の25年
67歳 文楽の人形と人形使いを題材に演者シリーズで総理大臣賞などを受賞するなどユニークな作品を作り続けている彫刻家です。
25年前から視覚障害者のために、毎年手で触れてみる彫刻展を開いています。
この25年を振り返ってなぜ手で触れてみる彫刻展を始めたのか、触ることの意味触ることの効果などを伺います。

視覚障害者の人たちは手で見るという事で展覧会をする時に視覚障害者の人にも一緒に観てもらおうかなと、手で見るという言葉を使い始めたのです。
個展をする時に、近くに視覚障害者の人がいて、その人がアトリエに遊びに来て鳩の飛んでいる作品を触ってみた時に、このように羽根を広げて飛ぶんだという事を言ってくれて、それで展覧会があった時に一緒に観てもらおうと思って、手で触れて観るという、うたい文句を付けてやったわけです。
25年間 個展 グループ展を仲間とかと一緒にやってきました。
1年のうち 多い時は4~5回 グループ展、個展などでやっています。
作品を触ることに対して嫌がることは人に依ります、グループの人達は良いんじゃないのと言ってくれました。
点字を読むときは軽く触らないと凸凹は指に伝わってこないので彫刻を触るときにも同様に触るので、作品を触ることへの問題は無いと思います。
むしろ視覚障害者ではない子供たちが触ってもいいというと、叩いたり、引っ張ったりすることが一番怖いです。

何で出来ているのか、ということは触って見ると判るので、時々触ってみたいとは私も思います。
触ると親近感が出てくるが、展覧会等で、ただ観るだけでは、直ぐ忘れてしまったりする。
作品に対する責任感があるので、触るということは色々難しい問題がある。
日本は仏像から彫刻が始まっているので、拝む対象だったので、西洋は人物から始まっているので方向性が違うのかもしれない。
仏像は木彫が殆どで、漆を塗って、金箔を張って作り上げていて、金箔がはがれて形造られてきていて、時間が経過して修理できないものなので、触ることはできない。
日本画、洋画、そういったものは触れません。
わたしはほとんど展覧会作品は木彫に色を付けたもので、ひびが入ったり埃がついたりして、時間が経過したり自然が作り出したもので、味が出たりします。

雨宿りという題名の作品を出した時に、視覚障害者の3人連れが来て、雨が止んだのかどうかを確認するために、作品で庇から手を出す状態なんだという事を鋭く指摘してくれた。(妻は判らなかったが、庇との距離感が鋭かった)
若い視覚障害者の人にも観てもらえると嬉しいなと思います。
木彫を始めた視覚障害者の人がいて、60歳を越えた男性で、最近どんどん作品が大きくなってきました。
木彫の材料も送ったり、ノミも7~8本送りました。
彼は見たことが無いので、自分の頭の中に形が作り上げられていて、それを木彫にする時に置き換えるのですが、それが私達とは違う、 私は目から直ぐ頭を通らず手に行くと思う。
70歳、80歳になったころに、自分の力が無くなってのみが自由に扱えなくなった時に作品がどうなるか楽しみです。
作品はずーっと続けて観ていると作家の考え方が変わる瞬間があり、目で、触ってみる両方有ると思うので、続けていけたらいいなあと思います。