井上麻矢・父の志を舞台へ
3年前2010年 4月に亡くなった劇作家の井上ひさしさんが最後まで構想を練り続けていた
「木の上の軍隊」が完成し、このたび上演する運びとなりました
この演劇は沖縄戦が行われた沖縄の小さな島で、2年もの間 ガジュマルの木の上で生活した兵士の物語をつづったものです
井上さんは構想を残しただけで、台本を作らなかったために 若手劇作家の蓬莱竜太さん
に台本の執筆を依頼して舞台上演が実現したものです
昨年は、井上ひさし生誕77年 77フェスティバルを開催 いろいろ上演された
8本連続上演 忙しかった
「木の上の軍隊」 4月5日が初日を迎える
静かだけど熱い雰囲気が漂っているけいこ場だった
藤原達也、山西惇さん、片平なぎささんの3人が出演する 栗山 民也さんが演出
肺がんになって書こうとしていたものが7本あったが、書きたいものから書こうとしていた
が、これは書かなければ いけないと、いう言い方をした
沖縄と長崎を書いていないので、まず沖縄のことを書くことにしましょうということになりました
広島に関しては「父と暮らせば」 長崎は「母と暮らせば」と題名だけ決まっていた
日常のことを突然奪われた人たちのことを、書こうとしていたみたいです(未完)
「木の上の軍隊」 20年前から書こうとしていた 書かなければ死ねないと思ったようです
雑誌にこういう方が載ったとどこかでみたらしい(専門書のような雑誌)
調べ始めて、自分が思っていたことと合致したようです
構想は早くから温めていた
ちらしがあるが、井上ひさし 原案とある 蓬莱竜太さんが作(父は直接話したことはない)
まず蓬莱さんが受けてくれるか、解らなかったが、とにかくやろうということになった
アンケートで「木の上の軍隊」を要望する声があまりにも大きかったので何とかしようと思った
メモしかなかった A4縦書きに一枚程度しかなかった
この仕事をやりたいとの思いだけがあったと、後から蓬莱さんからお聞きした
心の中ではほかの人には絶対に渡したくないと思ったようです
作家を鼓舞させるエッセンスがあるようです
戦時中、ガジュマルの木の上に兵隊が2人(新兵と上官)逃げ込み援軍の来るのを
まっているが、なかなか来ない
終戦を迎えても、終戦だということにも信じたくてなくて、降りることも生き恥をさらす
ということで木の上で2年間暮らす
淡々と心理描写で描いていっている
生きてゆくこととは、どういうことなのか 戦いとはどういうことなのか、を真摯に見つめた作品
片平なぎささんは語り部で登場する 二人芝居
現代に通ずるものをここに投げかけなければいけないので 自分の今すぐ近くにいる人を
信じられるのか というそういう 大きなメインテーマをもって書いてくださいました
舞台には大きなガジュマルの木があって、その上で二人が演技する
二人の日常の会話から戦争のこと、生き方等を浮き彫りにする
(夜だけ降りてきて食料を調達したりする 現実に起きたこと)
夜の闇が安全を保証するのみ
沖縄 戦後の負の部分を背負ってきた (戦後ではない)
本土の人間の沖縄に対する罪悪感
戦争に巻き込まれた普通の人たちの暮らしをどこできちっと誰かが残して行かなければ
いけないとライフワークにした人なので、
沖縄は井上ひさしにとってライフワークの完成していない一部であると思う
木の上に昇っていた人の息子さんとも会って話すことができた
(沖縄の人は父よりもっともっと悲惨なことに、あった人がたくさんいるとのこと)
2009年より父から小松座を引き継ぐ 想定はしてなかったのでこの3年間は父の言葉によって
支えられた (仕事は仕事として解決して やだなあと悩みにすり替えない
やると決めたら絶対にやる と 後を振り返らず前に進む)
いっかいでも多く上演しようと 今では聞けなくなった父の声をみんなに届けることだから
やっぱりこれは何かきちっと伝えて行く機会を一本でも多く増やそうとそういう気持ちになりまた
父からは、あえて険しい道を歩めと言われたので、そのように突き進みたい