2013年4月3日水曜日

藤嶋昭(71歳)          ・感動が科学技術を育む


藤嶋昭(東京理科大学長71歳)・感動が科学技術を育む
光によって化学反応を起こす、光触媒の研究で大きな成果を上げられ、世界的にも知られる科学者です
光触媒の研究は空気や水の浄化、殺菌、建築材の汚れ防止、ミラーの曇り留めなど、現在生活のさまざまな分野に応用されて、太陽光による究極のエネルギーの確保の可能性を秘めている
その光触媒の研究がライフワークになったのが、東京大学の大学院に在学中だった20代の中頃
実験室で光触媒にかかわる驚くべき現象が起きているのを発見して、大きな感動を受けたのが、きっかけだったそうです 藤島さんの研究業績は日本国際賞、日本学士院賞、旭賞などにも表れており、文化功労者にも選ばれています

朝は4時には起きて、新聞(地元紙、全国紙、と小学校新聞(これはい良い))をいろいろ読み、
6時半から近くの公園に妻と一緒にラジオ体操に出かける(元旦と雨の日以外は出かける)
大学入学は50年以上前  横浜国立大学 工学部に入る 理科系がブーム、高度成長の時
卒業後、東京大学の大学院に入る 光触媒のもとになるのを発見した
電気分解現象があるが、 光を当てたらどうなるかということをテーマにして実験した(電気を使用せず)
酸化チタンの単結晶をちょうど日本で作っていて、酸化チタンの単結晶を電気分解の材料として使っていなかったので、ぜひ使いたいと思って、手紙を差し上げて、何とか材料を手に入れることが出来た
水の中に入れた酸化チタンの表面に光を当てる(電圧を入れずに)と、ガスが出てきた
(もう一方の電極には白金を使って) 白金のほうからも、ガスが出てくる

ガスを調べると酸化チタンの表面から出たものは 酸素 白金のほうから出たガスが水素がでた
電圧をかけなくて、光だけで酸素と、水素ができた(水を分解するのに普通難しい反応)
この反応は葉っぱの表面に太陽が当たる 
根から吸った水が葉っぱの表面で分解して酸素がでる
光合成と同じ反応  葉緑素の代わりに酸化チタンが同じ働きをしていることがわかった
一番大事な反応を人工的に葉緑素の代わりに酸化チタンを使って水を分解して酸素を作った
本当にうれしかった 感動した 本当に感動した 学会で発表した みんな喜んでくれると思った
発表してだれも驚かない  みんな信用しない 理解してもらえなかった

正しいと思っていたので、イギリスで発行されている論文誌「ネイチャー」に出そうと思って、応募してみたら(通常なかなか審査することもしてもらえない 今でもそうだが)ポッと出ちゃった 
1972年 本田先生と連名でネイチャーに論文を出すことができた
翌年 第一次オイルショック 石油がなくなってもいいかもしれないとヨーロッパの人が注目する
酸素と水素 特に水素のほうに注目した  太陽光を使って水素を出せる(究極のクリンエネルギー)
その後、日本でトップ記事になって、ようやく認められるようになった
外国で注目されるとようやく日本でも注目される

春の学会で、その続きの研究を発表すると、学会の会場は満員になる(それまではガラガラ)
最初酸化チタン単結晶(高価)を使用したが、次に同じような性質をもつチタンの金属を使って10cm角 薄い板(0.1mm、0.2mm)をバーナーで炙って表面を酸化して行ったが同様の結果を得た
次に1m四方で実験をして、1日7Lの水素を取ることができた 実験を続けて安い材料で水素を取ることができた
効率を計算すると0.3%程度 効率よく無いと一つの区切りをつけた
酸化チタンは半導体の一種 ところが酸化チタンは水にも溶けない ほかの材料は溶けてしまう(シリコン等)  
酸化チタンは紫にしか反応しない (効率が悪いという欠点でもあるし特徴でもある)
エネルギー変換としてはなかなか難しい
光触媒:触媒は化学反応をさせるのにその速度を早める  
     光を当たった時のその作用をする それが光触媒  反応がおこりやすくなる

応用の一つ いろいろな物の表面に透明な酸化チタンを塗るそうすると、光が当たるとバイ菌が消えてしまう(殺菌作用)  微量(バイ菌、煙草のけむり、油汚れ)で困っているものが一杯ある、それに対して有効なので応用できる
トイレの臭い(尿酸菌によってアンモニアになる) 便器の表面に酸化チタンを塗っておいて光を当てると(蛍光灯でもいいので)尿酸菌が殺菌されて、臭いがなくなる  
応用できそうだと思って、製品化を求めるがなかなか企業が対応してくれない
直接、社長にあって、話をして製品化をしてもらう(トップの理解が得られないと製品化が難しい)
下からの理解とトップの理解があると一番いい(サンドイッチみたいなもの)

もうひとつの大発見、鏡が曇らなくなる 透明酸化チタンを塗っておいて光を当てると曇らなくなる
タイルの表面に酸化チタンを塗っておくと、油汚れなどが有ると、太陽光と雨によって常にきれいになる(セルフクリーニング)  自分で自分をきれいにしてしまう  
道路のミラーとか自動車のバックミラーとかに利用されている 建材としてよく使ってもらっている
ウイルス(インフルエンザウイルスなども)も殺すことができる  空気清浄機のフィルターの中に利用

エネルギーを得る事 太陽光を利用して水素を得ることは、盛んになってきている
(効率の問題の克服がある)  現在は紫にのみ反応 突破口をみんなで研究する 
チタンは豊富にある(酸化チタン)地球上にある元素で10番目に多い  
安全でもある(白いペンキ、歯磨き粉の中にも入っている)

実験して、酸素、水素が出たときの光合成、その時の感動は、今の力になっている
当時量子力学で日本の有名な方々がいた 朝永振一郎先生が本を書かれた
「不思議だと思うこと これが科学の根です よく観察して確かめ、そして考えること これが科学の茎です 最後に謎が解ける これが科学の花です」・・・朝永先生の言葉
108人の世界の科学者の履歴 やってきたこと 名言、の本を作った 
その本のなかにも朝永先生の事、言葉を入れさせていただいた  新入生(4000名)へ送る本