藤嶋昭・感動が科学技術を育む 2
理科離れがあることを心配している 小さいときから理科が好きになってほしいと思って、科学系の童話に親しんでもらいたいと、子供図書館(「坊ちゃんとマドンナの絵本館」)を作った
夏目漱石の主人公の坊っちゃんが物理学校を卒業して、四国の中学校の先生になる
その物理学校と言うのが、東京理科大学の前身 坊っちゃんは架空の人物ではあるが
日本は科学技術立国でしか生きていけないので、研究者を養成したいと思っているが、まずは絵本から興味を持ってもらう
小学校5年生は7割が理科が好き 中学校2年で5割、高校2年生では3割になってしまう
7,5,3問題といわれている これをを8,6,4にしたいと思っている
10年前から神奈川科学技術アカデミー理事長をしていた、なんとか7.53.問題を解決できればと思い、出前講義をやろうと思いついた(学校に行って)
科学の面白さを理解してもらう 全国の学校に行って出前授業をしている(今もやっている)
授業 例えば 空が何故青いか?ようやく判るのが150年前
空気中に酸素と窒素がある そこに太陽の中の光が来て、特に青い光が散乱するという現象で空が青くなる、と言う事で説明できる
酸化チタンの粉を水の中に溶かして、ペットボトルに入れて懐中電灯を当てると、当てたところが青くなり、もう一方のほうが、黄色から赤になる 空の青さを実験で説明する
雷 ピカと光り、しばらくしてからゴロゴロと鳴る
ピカッと光るのは雲が摩擦して、静電気がプラス、マイナスに分かれてそれが放電する
なぜそのあとゴロゴロというのか
鳴る原理は 光が流れて、空気中を凄い電流が流れるので、その部分が熱くなる
そうするとその近くの空気が熱のために揺らぐ(振動する) そうするとゴロゴロと音がする
雷が多いときは米がとれやすい 雷のことを稲妻と言うが何でか?
稲と妻(妻は生れる、取れるという意味)なのか
お宮さんにお参りに行ったときに、しめ縄に白いびらびらがあるが、あれは雷だよ
豊作になってほしい 雷が来てほしいと祈る
雷が多い時にどうして米がたくさんとれるかいうと、
実際は空気中の酸素と窒素があって、雷が落ちた時に、一部窒素肥料ができちゃう
そうすると稲の出来が良くなる(空気中から自然に肥料ができてしまう)
そういう話をするとみんな感動する
学生時代にも出前授業はしたことがある
大学の2年、3年の夏休みで、有意義な旅行をしようと、友人と夏休みの特別授業をしようということになる
いろいろのところに行って地元の中学生に講義をして、学校に泊めてもらおうとした
教えてあげる代わりに学校の宿直室に泊めてもらって、4人で出かけた
(あらかじめ手紙で連絡しておいて、実施する) 福井と島根(2年の時) 青森(3年の時)
理科の授業 赤く光る星と青く光る星の違いはわかるか?
赤い星は地球から遠ざかっている(ドップラー効果) 波長が長くなる
理科大の卒業生が校長先生をやっていたりして、現在はいろいろのところから要望がある
子供たちの反応は、素晴らしい質問をしてくる それが楽しみですね
愛知県に疎開していた(父の実家) 小学校をそこで過ごす 小さな村だった クラスメートは14名
全校で100名にならない 小学校の5年のころに、尺貫法がメートル法に変る時期だった
1リットルはこんな量だよとビーカーに水を入れて見せてくれた 理科は実験で示すことが大事
(今でも鮮明に覚えている) 中学は東京に戻ってきた
牧野富太郎先生(生物学)などに接して、教えてもらった
本を読むのも好きだった
子供たちの感動する心を育てていくことが大切だと強調する(執筆している本のなかで)
朝顔はいつ開くのか? 朝開くのではなくて、何を基準にして開くかと言うと、暗くなったことを知って、9時間後に開く
つるもルールがあって巻く ねじばなだけは右巻と左巻きの両方があり、これは例外
感動を持つためには、身の回りのことに関心を持ちなさい ということ
注目すると、不思議なことがどんどん広がる
タンポポは明るくなって開いて、暗くなると閉じる 温度が13度において基準になっている
13度より高いときに、それに従う 以下だったら13度になるのを待って開く
蝉は7年間地中にいて出てくる 幼虫のときに、木の幹に卵を産んで、大きくなったらポロっと落ちて、地面に潜っていって、木の根を伝わっていって、根の先に行ってそこで樹液を吸って、それを食料にして、7年間過ごす 7年後に上に上がってくる (穴の位置との関係の不思議)
自然界には不思議なことが一杯ある
較べるシリーズ 金、鉄 金はさびない 鉄が多く使われる
人類が始まって以来 金は14万トン 使ってきている 50mプールにたった3杯
鉄は1億トン(日本の1年間の使用量) 世界では1年間で10億トン 50mプールに3万杯(1年間で)
イメージが判るような比べ方が必要
あめんぼうがなぜ、すすすっと動けるのか?(教え子で中国の江雷先生が研究)
足が水をはじくようなうまい構造をしているから、水の上をススーッといく
蜘蛛の糸のねばねばは 横糸はネバネバが付いている 縦糸はついていない
真夏 ねばねばが乾燥してしまう どうするかというと ネバネバが朝露によって再生できる構造になっている 朝露を上手く集める糸の構造になっている
サボテンの先のとげに水を集める作用があるのではないか(まだわからないが)
空気中から水を取り出せる作用があるのではないか
それをうまく機械化すれば、空気中の水を集めて飲み水を取れるのではないか
そういう風に広がってくる
何を目的に研究するか 「天寿を全うするための科学技術」本を書いた
「健康で快適な環境の下で、与えられた天寿を全うすること」 それに少しでも寄与できないと本来の科学技術の役割ではないのではないか
その一つが光触媒ではないかと思う
アインシュタイン 100年ちょっと前に相対性理論を構築した
強い力の前では光は曲がる 実験で確かめられた(皆既日食の時に)
人工衛星の中の時計を補正している(相対性理論によって) それで時間が修正されている
そのお陰でGPSの精度が向上している(アインシュタインのおかげで)
すぐ役立つ研究も大事だが、基本的な研究をして将来の人類の役に立つ様にする研究も大事
いい雰囲気の中で研究して学問は進歩してきた
良い雰囲気を作ることは大事だという事はわかりますね
いい意味での競争をする事で学問は進歩してゆく
良い本を読んだり、身の回りの事に感動、あるいは関心を持ってもらって、不思議だなあと思って、自分でやってみようかと、言う事で自分で挑戦してもらう事が大事です