2013年4月20日土曜日

村田久行さん(68歳)       ・傾聴にかける思い

村田久行さん(68歳)     ・聞くという生き方
傾聴  末期患者や家族、災害の被災者など心の痛みなどを抱える、人と向き合い、その人たちの悩みや苦しみなどをひたすら聞くことで、その痛みを和らげようというのが、傾聴です
研修を受けたいという人が増えて、各地で講習会が開かれています
傾聴の指導者の一人が京都ノートルダム女子大学特任教授の村田久行さん(68歳)です
青年時代に人は何の為に生きているのかという疑問がわき、今もその疑問と向き合い続けています  傾聴について学び、講習を受けたオーストラリア人の講師から、傾聴の聴 という漢字を示され、耳で聞くだけでなく目で聞く 集中した注意力で聞くという事を学びました
傾聴は苦しみの中にいる人の生きる叫びと向き合い、聞いてもらえる相手がいることで、人々は生きる力を自ら引き出せるようになると村田さんは言います
相手の話を聞いた後の無上の報酬と村田さんは言います

心を尽くして相手の話を聞く 効き目とか何があるとのではなくて、相手の人の悲しみ、苦しみを聞かしてもらうのが基本 そうして相手の人が少し気持ちが楽になったり、できれば前向きになれれば嬉しいと思う
どうやって聞くかは2番目 3番目の話で 何を聞くのかが重要 相手の人の苦しみ、悲しみを聞かしてもらうんだという事をそのつもりで聞く(聞くことが援助になる)
援助→ 苦しみなどを和らげる 軽くする 無くすこと
なぜ聞くのかという事も大事 どのように聞くのか
人が絶望的になる一番大きな要因が孤独という事 人と一緒にいても孤独を感じる
生きる意味がないという事にもなる  孤独はわかってもらえない 
特に苦しみを分かってもらえない

お年寄りはよく昔の話をする 同じ話を何回もする 家族はこれを聞こうとしない
どうすればよく聞いたことになるか 相手の苦しみを聞いてあげる 
大事な部分を相手に返すことで相手はわかってもらえると思う
(まだまだ生きたいと思うようになる)  一人ではないんだと思う  
神父さんのレポート  臨床 ターミナルケアー キリスト教、宗教をベースにした魂のケア
病気の人の魂をケアする専門職  育成するコースがアメリカの病院にある     (CPE)
このコースを受けたいと電話したら日本にはないといわれる
たまたま日本で初めてやるとのことでそこで受けた
医療者でないもの出かけてゆき魂のケアをする  訪問することが非常に大事な援助となる

病気になって自分が治る見こみがないという人 家族も来ない  そこに行くことが大事
①何にもしないでそばにいる(相手が信頼の気持ちがないと駄目)
②傾聴  聞くことが大事  (魂の援助になる)
初めての人間に対して話してくれる
最初病院に行った時、いろいろな病院にあたったが全て断られた(キリスト教という事で?)
たまたま特別擁護老人ホームの理事の方がおられて、ケアの話をしたら、うちのホームで年寄りの話を聞いてもらえませんかという事で、聞いたのが、傾聴の始まりだった
聞くことはそれだけでいいんだ それだけで援助になる と判った
シドニーにホスピスがあり2週間教育研修に行く  
聞くことは 耳で聞くだけでなく 目で聞く 心で聞く 事を教えてくれた

聴 という漢字の親戚  聖 徳  聖なるものの声を聞ける人 その人が徳のある人 
聞く力が鋭くなると、人の苦しみがまさに見えてくる それが聞くことの一番最初のサインのメッセージとして受け取る
医療の分野 末期のがんの患者 認知証のお年寄り 鬱で落ち込んでいる人 孤立と孤独の中で誰にも気使ってもらってない人  死んだほうがましだと思っている人 その人たちに対して一番できる事は聞くことなんです
聞くことは最後で最大の援助 だと言っている
全ての病気が治るわけではない  がんの患者(30万人ががんで亡くなっている)

ドクターは自分の無力に悩む  患者さんからは治るんでしょうかといわれるが
身体の苦しみ、心の苦しみ 社会的な苦しみ(治療費、家族の迷惑になっているかも知れない)
スピリチュアル的苦しみ(生きる意味がないという考え  死ぬ時は一人で死ぬ 孤独)
薬、手術、でも 放射線当てても駄目 お説教でも駄目(信じていない人) 
その時に出来るのは 傾聴なんです(スピリチュアルな痛み 苦しみ対して)
傾聴ボランチィアでの相手の人の話 昔話をするようになる 母の事がたくさん出てくる
母は冷たい人だと思っていたが、話をするようになって、母はそうではなかった事に気付く
段々雰囲気が違ってくる 母親が向こうで待っていてくれるような気がするとのこと
母親のことを祈っていますとのこと 随分落ち着く(母とのつながりの中で生きている)

死の真近な人がイライラなどが無くなり、自分が死をも越えた他者とつながっていると実感できる瞬間、それが出来たのは聞くという事を通してできたと思っています
「生の回顧」  自分自身が生きてきたことをもう一度語る事を通して、自分の大事なこと、日頃気がつかなかったこと気につくプロセス  スピリチュアルケア
魂の仕事  魂は死が真近になると、仕事を始める 
過去の事実は変えられない 過去の事実はおりなおすことができる
自分の思い出すままに語る  事実をどうやって縦糸、横糸で織りなおすかで、新たな模様が浮かび上がってくる  それはその人の一生だと 生きたとはこういうことだと実感する
そういう作業をまさに魂はするのではないかと思う

その人自身が語る事で、自らが新たな将来を生み出し、新たな死を迎えた他者を思い出し
その中で、自分がよく生きたと言うのを 織物をおりなおして生きられたなあと思うんですね
その手助けが出来たのはスピリチュアルケアだと思います
戦後お互いの事を聞こうとしない社会になっている(自分の事を言おう言おうという社会)
聞こうという事できる人が増えれば、判ってもらえたという関係、信頼の関係が増える