1968年生まれ 大学で会計学を教える傍ら、鋸をバイオリンの様に演奏する鋸演奏家です。
鋸の音色は聴覚神経に障害の有る人にも聞き取り易い、と言います。
稲山さんは難聴の人に音楽の世界を楽しんでもらおうと各地で演奏会を開いています。
大学の教壇に立ちながら趣味を生かして社会貢献する稲山さんに伺います。
日本の鋸ではない、西洋鋸と言われるもの。
刃の付いていない方をバイオリンの弓で擦って演奏している。
音色の特徴 ピアノは半音ずつ音が動くが、鋸は全て繋がっている。
譜面で表せない音が出せるのが魅力です。
太いところが鳴っていると低い音が鳴り、細いところが鳴っていると高い音が鳴るが、鳴っている場所をかえる為に鋸を倒して行くが、立てれば立てるほど太いところが鳴り、倒してゆくと高い音が鳴る。
難聴の方にも或る程度よく聞こえる。
鋸の音は綺麗なサインカーブを描いている事が、一つの音であることが調べてもらって判った。(純音)
その方がよく聞こえる。
複雑な音が飛んでいると聞こえ難い様です。
誰もが弾けるわけでもなくて、何か才能を頂いた様なので、耳の不自由な子供達のために少しでも音楽を届けられればいいという活動をするようになりました。
全国各地で演奏をするようになった。
大塚ろう学校で演奏しようとしたが、最初大きな声でしゃべっていても子供達はこっちを見ていない、隣りにいた手話通訳者を見て、内容を理解している状態、音楽をかけてもこちらを向かないが、鋸を弾いた瞬間全員がこちらを向きました。
これは凄いことだと思いました。
感想を聞くと色々な音が聞こえたと言っていた。(彼らは音程の概念が無いのでそう思ったのでは)
学生時代アメリカに行って、鋸で演奏しているのを見て、これはなんだと思った。
興味をもって始め、独学で弾く様になった。
いい音、音程を整えることが難しくて、その次に演奏のテクニックとドンドン進歩していかなくてはいけない。
日本では鋸を弾く人はほとんどいない、楽器として認められればいいと思っている。音程はある程度修錬でできるが、いい音色を出すのが、感覚的で難しい。
アメリカでは楽器として溶け込んでいる。
聴覚障害の音楽教育の中で使えるのではないかと思っているが、現在はそういった機運はない。
鋸の教則本を書いているが、本を読んだだけでは難しくて、自分のなかで創意工夫が無いと駄目です。
演奏活動をしている自分と、大学教育をしている自分、それなりにお互いが癒される。
人生は同じことの繰り返しではあるが、その繰り返しの中で新しい発見を見つけることによって、面白いものが生まれてくる。
会計学は両面からとらえるのが複式簿記の原理、支払ったお金が無くなったわけではなく、同じ価値のものを得ているわけです、その両面をとらえなくてはいけない。
個人的な夢 日本中のろう学校で演奏して、耳の不自由な人に聞いてもらいたいと思っている。
ウクレレの様な感覚で鋸を弾いて貰えればいいなと思っています。
鋸の演奏コンクールの第一回を行う。(7月19日に滋賀県でやっている)
教えられるレベルの人が100人ぐらいいれば、都道府県に配置できると思います。
聴覚障害の持っている子供達の廊下には、緑色、赤のインジケーターがあり、目で見るしかない。
時間に対する感覚が鋭敏になっている。(時間の前にすでに座っている)
東京オリンピック、パラリンピックがあるが、聴覚障害のイベントがあるかもしれないので、そういったところで何らかの形で、演奏とかお手伝いできればいいと思っています。