2014年1月3日金曜日

ピーター・マクミラン(教授)       ・新富嶽三十六景に思いを込めて

ピーター・マクミラン(教授)     新富嶽三十六景に思いを込めて
アイルランド出身1987年来日以来、日本で暮らしています。
マクミランさんはアイルランド国立大学を首席で卒業後、アメリカのプリンストン大学、コロンビア大学、イギリスのオックスフォード大学で客員研究員として、賢さんを積みました。
現在は杏林大学客員教授、東京大学の非常勤講師を務めています。
翻訳家としては、2008年に百人一首を英訳出版して日米翻訳賞を受賞しました。
又版画家としては葛飾北斎の富嶽三十六景にならい、新富嶽三十六景を製作し、各地で版画展を開催しています。
富士山を愛し、製作拠点を山中湖の別荘にしているマクミランさんです。

日本の正月は数え切れないほど過ごす。
国に帰るのは夏です。  正月は山中湖の別荘で過ごす。
昔、山中湖は凍っていた時期があったが、最近は何年おきに凍る程度になる。
冬の富士山は真っ白くて、すごく綺麗です。
日本人にとっての富士山は私には専門ではないが、私にとっての富士山はインスピレーションの源になっている。
富士山に関する詩を書いたりもしている。
富士山の素晴らしさを世界に発信しようと思って、万葉の時代から現代にいたるまで文学で読まれている富士山に関するものを抜粋して、英訳しました。
万葉集、伊勢物語、源氏物語、古今集とか、江戸時代の能とか。
文化のかかわり(文学、絵画、宗教性ほか)は富士山は世界一だと思います。(外国では無い)

富士山は時代によって違うように書かれている。
昔は恋愛の象徴 噴火している高嶺を見て自分の燃えている心を想像したり、片想い、会えない恋人の情などを示していた。
お能の「はごろも」 天女が降りてきて、そのまま天国に帰ってしまう、 時代に依って。
新富嶽三十六景  富嶽三十六景、物の見方を新しい視点で見つめる。
西斎 と言う雅号(北斎に真似て)
版画のテーマの一つは持続可能な地球、と社会
温暖化に依って水が増えたりする事を皆で考えましょうと、描写している。
新富嶽三十六景は現代の日本はどういう風に見ているかを描いている。
消費社会になっている現代のギャップを描いている。
今は100枚以上ある。  セレクトして本に出来ればと思っている。

葛飾北斎の絵には丸、三角、四角を取り入れている。 
幾何学に依って、写実的に描写ができると、北斎は考えていた。
江戸時代は持続可能な社会。 
これからは世界の人が地球人として地球を考えて行かないといけない。
外国の方にアピールして日本の文化の素晴らしさを見てもらいたい、富士山の姿を見てもらいたいという想いもある。
赤富士が最初 高速道路が富士山の頂上に向かって走っている絵、戦後の日本は経済大国になったが、最近は不要な道路まで作っている様な事も聞くので、この様な作品を作った。
太陽があり、鶴が飛んでいて、鶴の羽根のところが富士山の形になっている絵、富士山が世界遺産になり、それのお祝いに作った。
鶴が世界にとび立ってゆく。(もっと日本文化を発信してゆき、日本の文化の素晴らしさを理解してくれればいいという想いで作った)

日本人が優れた精神性を持っている。 物の考え方が違った思考を持っている。
角を立てない、下手にでる、相手が悪いのではなく、相手に悪いだとか、そういった考え、コミュニケーションが優れていて、それが世界には知られていない。
コミュニケーションが優れている事、気の使い方、調和を取る、相手を思って物事を表現する。
婉曲の美、それによってとても良いコミュニケーションが取れる。
外国、英語圏は率直自分で考える事、表現する事が誠実、そういう事を見せることによって自分の誠意を見せる。
日本文化と出会って、又自分の文化を見直すことにもなる。

アイルランドと日本は共通点はある。
アニミズムの信仰であったり、木に神が宿ったりと言う様な信仰もあり、太陽を崇拝したりすることはある。
言霊、古代のアイルランド社会では詩人の言った言葉が、現実になるという風に言われていた。
おとぎ話 同じ話がある。 浦島太郎と全く同じ話がある。 妖精の話などもある。
日本の民話 人間と動物との堺がない。(人間と同じように動物と言葉を交わす)
アイルランドの富士描いたが、パイプとして広げたい。
日本を世界の人にもっともっと知ってもらえれば、日本は世界の中で大事な役目があると確信している。
摩擦を避ける、宗教観が寛大的、受け入れる精神が世界に広がれば素敵だと思う。
神道 束縛されずに、自然と調和して、今でも続いている考え方は奇跡だと思う。

百人一首を英訳、それを日本語にして本にしている。「百人一首、香り立つ大和心」 
10年前ごろに百人一首を翻訳した。
古典の基礎になっている。
万葉集、伊勢物語、源氏物語、古今集とかは長すぎるので、百人一首になった。
これに依って、日本人の素晴らしい精神性が初めて分かった。
大震災の時に、日本に残るのであれば、社会貢献したいと持った。
大きい夢を持って日本文化を世界に発信しようと思って決心した。
伊勢物語を完成したので、来年にペンギンブックスで出してくれるので世界100各国で販売される。 
最初の年で1万部、ライフワークとして日本文化を発信してゆきたい。
新富嶽三十六景を出して、日本のイギリス大使公邸で行い、売り上げを全部大震災に寄付する。

芭蕉は 皐月富士 夏のさなか、その時の富士山を描写しているが、伊勢物語で登場してきた富士山の姿。  芭蕉は深い教養がある中で、俳句を詠んでいる。
伊勢物語の完成、訳は終了しているが、注釈がまだある。
他に2冊出版社からの要請がある。
展示会が3~4回あるので、新富嶽三十六景の製作もやってゆく。