2020年4月5日日曜日

関俊彦(声優・俳優)           ・【時代を創った声】

関俊彦(声優・俳優)           ・【時代を創った声】
57歳、関さんはNHKのアニメ「忍たま乱太郎」の土井先生役、最近では「鬼滅の刃」の鬼の親分などで知られています。
NHKの教育番組、「いちにのさんすう」や、「笛は歌う」のお兄さん役としても出演されていました。

振り返ってみると私の役回りは、学校の先生とかお坊さんとかの系統のものが多いと思い返しています。
悪役は途中から多くなってきて、一番最初にやった悪役は「冥王計画ゼオライマー」というロボットアニメの中で木原 マサキという悪い科学者のです。
悪役は癖があるのでそれをどうやってやるかなど楽しいです。
あの人がこんな役をやるんだと思ってもらった方がいいです。
祖父が高校の漢文の先生で、先生をやりながら剣道をやっていました。
小学生の頃に興味を持って、防具を引っ張り出して祖父からいろいろ教わったのがきっかけで中学で剣道を始めました。
高校では中学の時に主将をやっていた人達ばっかりなので強くて、選手に成れなくて厳しかったです。
当時はスタミナをつけるために水を飲むなと言われて、掃除して汚くなったバケツの水を本当に飲みたいなと思いましたね。
大学に入って、この世界に入っても多少嫌なことがあっても、剣道をやっていたころのことを思い出すと大丈夫だという自信がありました。

高校の頃に姉の部屋には劇団のミュージカルのポスターが沢山貼ってあって、それが頭に刷り込まれていたのと、深夜ラジオ番組で聞いているときに、野沢 那智さんと言う人が劇団の座長をやっているという事がだんだんわかってきて、いろいろ話を聞いているうちに演劇が体の中に刷り込まれていきました。
リスナーの手紙を読む番組だったので書いて出したら、何と読まれて体が震えるほどの感動でした。
そんなことがあって、大学に入学した時に近くにある元前進座の女優さんがやっている演技教室があってそこに跳び込んで芝居の勉強をしようと思いました。
習うんだったらプロに習いたいと思いました。
川路夏子先生という元女優でアニメの声優もやっていました。
体操、発声、発音、呼吸法、詩の朗読、演技術の基礎、などを習って、実際の小劇場での舞台稽古から始まって、小道具作りなど、本番をやって舞台のばらしまで、一通りを習いました。(19~25歳まで)
これがベースになりました。

剣道で習った「間と呼吸」が芝居の上においてもとっても大事だという事が判りました。
技術を一つ一つ習得してゆく楽しさが面白いです。
役者は感情論と技術論が二本柱でありますが、感情を表現しろと言いますが、技術のないやつにそんなことはできないというのが、先生の持論でした。
1年経って小さな舞台でやったらお客さんから拍手をもらった、これは凄い仕事だと思いました。
大学3年生の時に社長に預かってもらって、そこでラジオドラマとアニメ一本振ってもらいました。
親は教師か銀行員を望んでいたので、就職については親と揉めました。
何とか親を説得して25歳まではやってみろという事になりました。
今のことを頑張るしかなかった。
23歳の時にNHKの「いちにのさんすう」という番組があり、オーディションがあり受かりました。
TVに出て両親、親戚も喜んでくれまして、許してもらえました。

1987年 『学園特捜ヒカルオン』、『赤い光弾ジリオン』で初めての主役。
毎日緊張の連続でした。
周りのベテランの人が盛り立ててくれたお陰で、何とかこなすことができました。
今は声優になる人数が多くて若い人は大変だと思います。
レギュラーをたくさん持たしていただいているうちに、面白さが判ってきました。
そうすると間や呼吸が判ってきました。
出来上がっている絵に合わせて、おっしゃったような芝居を重ねると絵と全然合わないんでできないんですが、と言うとディレクターが[ちがうんです、関さんがやった芝居が絵をうごかすんです、芝居がそうであれば絵がそう見えてくるんです。」と言われて、感動しました。

NHKの番組「笛は歌う」のお兄さん役をやりました。。
笛は吹くものだと思っていたが、笛は歌うような息使いをする、これでリコーダーと言う楽器が命を吹き込まれた生きたものになるんだという信念が、リコーダーの先生にはありました。
8年間やってみて子どもたちへのメッセージが上手く伝えられたのかなと思います。
声優は簡単そうに見えて、誰でもできると思いますが、やってみてドラマの中でドラマの内容を際立たせるための合格点を取れる芝居ができるかどうかは別です。
面白さは自分と違う人生をやれることだと思うし、どれだけ素晴らしいドラマと出会えるかどうかという事ですね。
自分の琴線に触れる何かがあるドラマを自分がやれたら、自分として大きな仕事をこの世に残したと思えることになると思うので、それこそが望みです。
そこにむかっていくために残りの人生をやってゆくという事だと思います。