さとう宗幸(歌手) ・「青葉城恋唄と共に43年」
昭和52年佐藤さんは大学卒後就職した東京の会社を辞めて、大好きな歌で生きていこうと、故郷宮城県の仙台で歌声喫茶で働きながら、NHK仙台放送局のラジオ番組「FMリクエストアワー」のディスクジョッキーを務めていました。
その番組に寄せられた詩が「青葉城恋唄」です。
その詩に曲をつけて歌ったことで、佐藤さんの人生が大きく変わります。
故郷の人は地震や災害で宮城県が傷つくたびにこの歌を口ずさみ、自らを励ましてきました。
「青葉城恋唄」誕生秘話とその歌が復興ソングとして大きくなっていく過程、さらに71歳になった佐藤さんが今後どう生きたいのかをギターで弾き語りする青葉城恋歌と共にお送りします。
1978年(29歳)の時に「青葉城恋唄」でした。
就職した東京の会社を1年で辞めて戻ってきました。
表面的には激変したように感じるかもしれませんが、心の内では常に仙台を拠点にしてそれほどの変化はなかったと思っています。
音楽活動をするんだったら、音楽環境としては東京でやるよりも仙台でやる方がベターだと思っていました。
昭和53年5月にデビューして、東京に出て来てほしいと様な事は一切言われなかったし、僕の空気の中で言わせない様な雰囲気があったのかもしれません。
東京に仕事があっても新幹線が無い時代でしたが、それでも朝行って戻るようにしていました。
「青葉城恋唄」との出会いは仕事を激変させたところはあるかもしれない。
NHK仙台放送局のラジオ番組「FMリクエストアワー」に出てみないかと言われたことは自分にとって大きなきっかけだったしチャンスでした。
始めた当初1週間に10通程度しか手紙が来なくてしょげていたら、ディレクターがこの1通のバックに200人ついているんだよと言われて、それを聞いて本当に嬉しかったです。
3時間の番組なので作詞作曲のコーナーを毎週やろうという事でやっていたら、星間船一さんから詩が届けられました。
完成度の高い詩で、曲を仕上げるまで10分もかからなかったです。
「・・・瀬音ゆかしき青葉城仙台」というところが気になって「・・・瀬音ゆかしき杜の都」に変えただけです。
杜の都 仙台と言うのが全国に知れ渡りました。
詩と曲のバランスが凄くいいバランスで仕上がったと思います。
こんなに大化けするとは思っていませんでした。
リクエストが増えてきて毎週歌うようになりました。
楽譜が欲しいという方が増えてきて、オープンスタジオにも多くの人が来るようになりました。
レコーディングの流れまではアッという間でした。
世の中に知らしめなくてはという事でディレクターがダークダックスとの競作と言う戦略をとりました。
実はという事で、後追いでのデビューとなりました。
朝のNHKの「スタジオ102」で青葉城の中で僕がギターを抱えて杉木立の中を歌いながら歩いたのをニュース番組のなかで放映されて、それから全国のレコード店からの注文がとんでもなかったらしいです。
仙台に僕が住んでいるという事を強く感じてくれたのかなあと思います。
詩の世界が青春時代の懐かしさも伴ったのかなあとも思います。
*「青葉城恋唄」 作詞:星間船一 作曲、歌:さとう宗幸
「青葉城恋唄」ができた直後に宮城県沖地震、2011年のは東日本大震災、昨年は豪雨で仙台の人、風景が傷つきました。
宮城県沖地震の時には家に電話しても繋がらなくて心配しましたが、この歌を聞いて励まされたとかと言う話を多くの人から頂きました。
東日本大震災の時には、仙台で番組をやっていましたが、兎に角一番最初にこの歌を歌おうという事になりました。
歌詞の中に「・・・もうあの人はいない」ですよね。
頭の中には全然なくて、歌った直後に電話、メールをいただいて、そのころの一週間から10日は全く日常というものが無くて、「青葉城恋唄」を聞いて、こういう日常もあったよねという内容の電話、メールを一杯頂きまして、音楽の持っている大きさ 、強さを改めて思い知らされました。
「青葉城恋唄」を歌う前で涙してくれているあの子(女子高生)の姿を見たときに、「青葉城恋唄」に新しい息吹をふっと送ってくれたなあという気がして、胸が熱くなってしまいました。
避難所、仮設住宅等で「青葉城恋唄」を歌うと、一緒に口ずさんでくれたりして繋がっていることを感じます。
若者は当時と変わってきているとは思います。
当時と比べるとフリーダムですね。
自分の周りの環境に満足しているような雰囲気が今の子たちにはあるような気がします。
失敗を怖がる風潮はあるような気がします。
失敗することを怖がってはいけないと思います。
僕は「青葉城恋唄」に巡り合わなくても苦労しながら歌っていたかもしれません。
夢を追い続けるという目標があったからこそ、詩が舞い込んできたという事があるのかもしれません。
基本的な姿勢はシンガーであると思い続けています。