2020年4月13日月曜日

瀬立キヌ子(パラカヌー選手 瀬立モニカの母)・【アスリート誕生物語】

瀬立キヌ子(パラカヌー選手 瀬立モニカの母)・【アスリート誕生物語】
瀬立モニカ選手はいつも笑顔のアスリートです、コメントにも力があります。
どんな環境でどう育ったのでしょうか。
瀬立モニカさんの母親の瀬立キヌ子さんに伺いました。

看護師でシングルマザーでしたので、保育園に0歳時から預けていました。
とにかく体を動かすのが好きな子どもでした。
小学校から男の子とよく遊んでいました。
中学はバスケットボールをしていました。
3歳ぐらいから水泳をやっていて区の大会ではよく優勝していました。
ほかのスポーツもいろいろやっていました。
江東区にカヌー部があり江東区へ通う中学に行ってれば入れるので参加していました。
反抗期もありましたが、成長の一環としてとらえるようにしました。
相手への思いやりのある大人になってもらいたいという思いがあり、明るく、文武両道を目指し、自分のできることをやって、人のためになることをやるというようなことを実行しなさいと言っていました。
医療的な分野に進んでもらいたいと思っていました。
高校でもカヌー部入っていましたが、高校1年の体育の授業中に事故に遭いました。
電話がありいろいろ症状を聞いて、病院に駆けつけました。
面会に行っても寝たきりで「歩くことはちょっと」、と言われてしまいました。
これから先は歩いたり走ったりすることができないんだと思いました。
家に帰ってからワンワン泣きました。

日常生活さえままならない状況になりました。
バリアーフリーになっていなかったので、仕事で出かけなければいけない時間帯もあるので、トイレに連れてゆくこともできなくておむつをするということに対していろいろ大変でした。
仕事もやめて、介護するようにして、徐々に外に出向くようになりました。
ペーパードライバーだったので車も購入して学校に送ってゆくようにしました。
すべてをこの子に費やしていかないと、という風な気持ちでやりました。
ある時期このままだと引きこもってゆくのではないかと思って、東京オリンピックパラリンピックが決まったのを見ていて、「水泳でパラリンピックを目指したらいいんじゃない」といったら、まだ受け入れられない頃だった様で、クッションみたいなものを投げつけられました。
ある時に意を決して、暗い表情をしていましたが、私が実践していましたが、朝ニコニコして患者さんに話しかけたりしていたので、「笑顔は副作用のない薬でしょう。」と言っていましたので、子どもにも実践しようと思いました。
ある時に駅員さんに手伝ってもらったときに、「ありがとう」と言って笑顔で答えたら、駅員さんが「どういたしまして、頑張って」といってくださったようです。
それで判って少しずつ、極力笑顔をつくるようにしていったら、笑顔が倍返しになってかえってきました。

ハワイに行った事があり、そこにはどこにもカヌーがありました。
江東区のカヌー連盟の事務局長からメールがあり、2020パラカヌーが採用されたので2020東京を目指しませんかということでした。
モニカは自分の体のことを考えたらできないと思っていたので、しばらく放っておいたが何回も来ました。
行って自分の体を見せれば納得できるだろうからと行ったら、カヌーにいろいろ工夫してあり漕いでみたらスーッと前に進んでいって、やれるかもしれないと自分の中で確信したみたいです。
それから「チームモニカ」ができてサポートしてくれる体制ができました。
そこから結構外に出るようにもなりました。
イタリア大会の一次選考で6位までが選ばれて、それ以外は翌年のドイツ大会で10位までにはいらないと選ばれませんでした。
モニカは11位でした。
リオデジャネイロに出られるということがわかりました。
10位の中国の選手が失格となり、モニカが繰り上がることができました。
どんなことが人間あっても最後まであきらめてはいけないということを身をもって体験しました。

日本からいろんなお菓子を持って行って地元の人たちにあげて、モニカを応援していただきました。
8位入賞でしたが、準備不足もあり本人は悔しがっていました。
2020を目指すにはどうしたらいいか、「チームモニカ」の作り直しました。
2019年のハンガリーの世界選手権で5位に入って内定という形になりました。
去年海の森で行われた大会でも、リオのイギリスのチャンピオンにも勝って5位入賞ができました。
今休学しているので、パラリンピックが終わったら筑波大に復学して卒業してからは、医学部に入ってリハリビ医になりたいと言っています。
私は今は仕事はしていないので、ボランティアでパラカヌーのことを生かしたことをやっていきたいと思っています。
競技としてのパラカヌーをもっと広げていきたいと思っています。