2020年4月12日日曜日

久本雅美(女優・タレント)        ・【私のがむしゃら時代】

久本雅美(女優・タレント)        ・【私のがむしゃら時代】(初回:2013/8/27)
TVや舞台で大活躍の久本雅美さんは昭和33年の大阪出身(61歳)。
子どものころから周を笑わすのが大好きだったという事ですが、お笑いの世界に入る積もりはなかったそうです。
転機はたまたま佐藤B作さん主宰の劇団東京ヴォードヴィルショーを見たこと。
それからは親の反対にも負けず上京、劇団員の募集が無いのにも関わらず押しの一手でついに団員になります。
その後劇団の若手たちとWAHAHA本舗を立ち上げますが、女性のお笑いタレントがそれほど多くない時代、試練が続きました。
人気が出てTVの仕事が忙しくなっても原点の舞台をおろそかにはしないと、笑いを届けるためにがむしゃらな日々が続く久本さんに伺いました。

父はトラックの運転手をしながら運送業、母は保育士でした。
兄弟3人です。
父の久本家はみんな明るく元気でした。
親戚中では私が一番無口だと言われていました。
私は完全な父親似です。
小学校1年生の時には静かでしたが、3,4年ぐらいから急に自分が前に出るようになって友達を集めてコントを作って発表したり、ギャグをつくったりドリフターズの真似をしたりしていました。
兎に角活発でした。
中学、高校でもワイワイやっていました。
この道に進むとは思わず、小学校の作文には男の人に交じって仕事がしたいと書いてあって、新聞記者と書いてありました。
短大の時にディスクジョッキーにもなりたいと思って話し方教室にも行きました。
話し方教室の友達が東京に行ってお芝居したいという事で一緒に行って、劇団東京ヴォードヴィルショーって面白いという事で二人で見に行きました。
そうしたらお腹を抱えて笑いました。
お笑いの劇団の女優さんになろうと、電撃が走りました。

22歳でしたが、親に内緒でお金を貯めて東京へ行く準備を進めて、2,3日前になって
話をしたら親が本当に驚きまして、劇団には通っていなかったが通ったと嘘をついて、弟がレンタカーを借りてきて、布団とちょっとした衣類、ラジカセだけを持って、友達の女性と出かけようとしたところに丁度親が来ましたが、「ちょっとドライブに」と言って東京にいってしまいました。
妹からの手紙があり、途中のドライブインで読んだら、「頑張ってね」という内容の手紙と一緒に5000円が入っていました。
当時妹は高校生だったので本当に貴重なお金で、それを見て泣けてしまいました。
ちょうどラジオから松山千春さんの「大空と大地の中で」という曲が流れてきて、「生きることがつらいとかいう前に、自分の足で生きて行け・・・」という、自分の心と曲がばっちりあって、応援歌に聞こえました。
*「大空と大地の中で」 作詞、作曲、歌:松山千春

友達と一緒に住んで、履歴書を持って劇団東京ヴォードヴィルショーの事務所、稽古場についたが、入る勇気がなかなかできなかったが、思い切って入って「東京ヴォードヴィルショーに入れてください」と言ったが誰もいなかった。
その後履歴書を渡して家に帰って来ました。
佐藤B作さんとの面接があり、「何ができるの」と言われたが、何にもできなかったが、「元気です」と大きな声で言ったら、何とか入団することができました。
やっぱりプロと素人の差はあって、しょっちゅう厳しく怒られていました。
ドンドン自信が無くなって、自分には才能がないのではないかと思って、辞めた方がいいのではないかなあと思う事はいっぱいありました。
意地もあったし、喰 始(たべ はじめ)さんからの励ましもあり、頑張っていきました。
いろいろ勉強もしましたが、やっぱり現場でのたたき上げで、やって失敗してその繰り返しの中から積み上げて行くという事は大きいと思います。
3年で辞めて1984年に劇団東京ボードヴィルショーのメンバーだった柴田理恵さんや佐藤正宏さんらと共にWAHAHA本舗を設立しました。

なかなか殻を崩せなかったが、二人羽織で顔を崩す舞台があり、それで一気に殻が破れましたが、2回、3回と客足は少なくなっていました。
大阪弁は封印されていたが、ある舞台で封印が解けて女子漫才をして、失敗に終わったらどうしようかと思いましたが、始まったら皆さん笑ってくれて感動しました。
TVの世界にも出られるようになりました。
舞台と比べてスピードの速さは半端ではなかったです。
あまりにも忙しくて、TVだけにしようかなと思った時もありましたが、或る舞台で演じて感動してこれが大事だと思って、原点に戻ってちゃんと舞台をやろうと思いました。
一番のファンは父と母だと思います、励まされました。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」何百回言わされたかわからないです、絶対謙虚になりなさいと言われていました。
母からは二つのことを言われました。
お金は大事だから価値ある使い方をしなさい、自分のために使うんだよと。
結婚はやらなくてもやってもどっちでもいい、但し彼氏を持ちなさい、心がギスギスするからと。
二つともできていないかもしれませんが。
私の目標は生涯現役でありたいと思っています。
結婚の夢もあきらめてはいません。