山田栄子(声優) ・【時代を創った声】
山田さんはアニメ「赤毛のアン」のアン役やNHKの人形劇「ざわざわ森のがんこちゃん」のお母さん役など多くの作品に出演されました。
3人のお子さんを育てられた山田さん、20年前に乳がんを患いました。
いまは完治していますが、仕事ばかりしていた山田さんは子どもときちんと向き合うきっかけになったと言います。
現在も様々な仕事に取り組んでいる山田さんに伺いました。
『赤毛のアン』のアン・シャーリー役、『小公女セーラ』では、主人公セーラのいじめ役・ラビニアを担当、『キャプテン翼』での岬太郎役など多くのキャラクターを演じてきた。
NHKの人形劇「ざわざわ森のがんこちゃん」のお母さん役など多くの作品に出演してきた。
小さいころは男の子と一緒に遊んでいました。
結婚するまでずーっと横浜にいました。
一旦中目黒の住みましたが、今も横浜に住んでいます。
中学生の時にバレーボール部に入っていましたが、演劇部のシンデレラを見て自分もやってみたいと思いました。
演劇部に中学2年の時に入り、高校3年まで演劇部にいました。
たまたま東欧で芝居する機会があり一か月ぐらい行きました、それを機会に劇団芸協に入りました。
東欧では私の方が感動しました。
劇団では下手なのがよくわかりました。
怒られるのも楽しかったです。
アニメ「赤毛のアン」のアン役を初めてやって、1年間通して終わったときに悲しくて悲しくてしょうがなかったです。
1979年 声優としてのデビューでした。
宮内浩平さんから赤毛のアンというオーディションをやっているという事で、行けば2000円もらえるという事で行きました。
合格するとは思っていなくて、言われたところをいろいろ1時間ぐらい読んでいて、もう一回来てくれという事で、赤毛のアンの本を慌てて買って読んで,余計なことをいろいろ考えてしまって、再度やったときには「このあいだ来た人ですか」といわれて、もう結構ですと言われ帰って来ましたが、帰りに泣いてしまいました。
テープが1時間ぐらい取ってあったので、それを聞いて高畑勲さんが決めてくれました。
気合を入れ過ぎてしまうのは駄目だと思いました。
島本 須美さんの「ルパン三世」に出てくるお姫様の声は凄く好きで、何と純粋な声なんだろうと思いました。
アンでは変な声の方がいいと言われて、素直にやればいいんだと思って後は楽しくやりました。
最初の頃は高い声でやっていて段々落ち着いてきました。
私とアンは似ているようなところがあると思いました。
『小公女セーラ』ではラビニアを担当して、難しかったです。
島本 須美さんの主人公セーラのいじめ役ですが、ねちねちといじめるのが上手く出来なくて、イライラしてきました。
「忍者ハットリくん」の影千代(ケムマキの弟子の忍者猫)は苦労しました。
そのまんまで出来るので少年役は楽しいです。
影千代はアドリブが多くて、アドリブが出来なくて大変でした。
最初の2か月が胃が痛くなりました。
家でいろいろ訓練してゆき、半年後には自分でアドリブが言えるようになりました。
子どもは30歳、25歳、と23歳の3人です。
子どもが3人目の時に乳がんになってしまって、子どもをちゃんと見ていなかったんだなあと反省しました。
初期だったので先生は大丈夫だと言いましたが、自分としては子どもより仕事優先で来ていたのに気が付いて、辞めるという決心がつきました。
毎日ではないので責任をとるから人形劇「ざわざわ森のがんこちゃん」だけは辞めないでといわれて、それ以外は一切やめました。
死ぬんだったら子どもとは最後まで一緒にいてやるんだと思ってそういいました。
10年間そうしました。
病院に来なくていいと言われて、やっぱり芝居がしたいと思ってしまって、舞台をいろいろやるようになりました。
今は楽しくてしょうがないです。
新劇協会にはずーっと入っていましたが、10年経って新劇協会で年に一度「詩と朗読の夕べ」があり、それに参加してみようと思いました。
その練習するときが面白くて、観客賞を頂いてそれが励みになりもう一度やってみようと思いました。
歳を取ってくると演技に対して言ってくれる人が少なくなりました。
先輩のところに2か所に行って勉強しています。
声だけですと、声の表現をするにはさらにお腹から気持ちを込めて言わないと伝わらないといつも思っています。
小さい声でもお腹から、魂から言わないと、という思いです。
若い人へのアドバイスとしては、芝居をちゃんとやりたいと思ったら、自分でいい先生を見つけて、仕事しながらでも勉強してほしいと思います。
自分の演技をテープに取って聞いて、自分で自分にダメ出しを毎回してみる。
そうすると絶対によくなっていきます。
本当に自分は何をやりたいのか、どんな役者になりたいのか自分のビジョンをしっかり持って行くことが大切かと思います。
語りを始めたので一人語りでお客さんが呼べて満足していただける、そういう私になりたいと思っています。