2020年3月18日水曜日

杉浦正則(日本生命野球部元監督)     ・【スポーツ明日への伝言】「ミスターアマチュア野球が語るオリンピック」

杉浦正則(日本生命野球部元監督)・【スポーツ明日への伝言】「ミスターアマチュア野球が語るオリンピック」
社会人野球のエースとして活躍、オリンピック3大会に出場してミスターアマチュア野球といわれた日本生命野球部元監督の杉浦正則さんに伺います。

オリンピックの野球で通算5勝、オリンピック記録になっています。
バロセロナオリンピックでは銅メダル、アトランタオリンピックでは銀メダル。
1968年生まれ、和歌山県伊都郡九度山町出身。
和歌山県立橋本高等学校から同志社大学、日本生命に入社、社会人野球で投手として活躍。
都市対抗野球では最優秀選手賞にあたる橋戸賞を2回受賞。
プロからの誘いを断り続けてオリンピック出場を目指し、3回代表に選ばれて「ミスターアアマチュア野球」といわれ、現役引退後は日本生命のコーチ、監督を務めて、現在は社業に専念。
NHKでは2010年から高校野球の解説をお願いしています。

小学校の3年生の時から野球をやっています。
兄たちが野球をやっていたので始めました。
ピッチャーは小学校4年生ぐらいからちょっと始めましたが、6年で専門になりました。
夏の大会では3回戦で負けてしまい、高校では甲子園にはいくことができませんでした。
春には近畿大会ではベスト4まで行きました。
野球部の人数が少なくて、3年生がいなくなってからは全部で11人でやっていました。
高校の時にはドラフトの対象にはなりましたが、ほかに和歌山ではいい選手がいたのでプロの道は考えませんでした。
同志社大学に進み、1990年の秋季リーグで5勝を挙げ14季ぶりの優勝に貢献、最優秀選手に選ばれました。
ライバルは立命館大学で長谷川 滋利投手(のちに大リーグのエンゼルスに行く)がいました。
彼は1年生の時から勝利を挙げていました。

全日本候補として私も選ばれましたが、びっくりしました。
合宿に参加して監督がオリンピックで金メダルを取るんだという事を言われて、そこからオリンピックを意識するようになりました。
社会人野球に行くことを決めていて日本生命に内定していました。
アジア予選が北京であり4チームが戦いましたが、弱そうとの前評判だったオーストラリアに負けてしまって後がなくなりました。
韓国、台湾に勝たないとだめとなり、韓国戦の先発に起用されることになりました。
4-1で勝利、結果としてオリンピックの出場権を獲得する。
8回で3ランが出て、9回1点を取られましたが、それ以前の回はどう投げたのか記憶にないです、そんな追い詰められた経験はこの試合だけでした。
バロセロナでは金メダルを目指してましたが、準決勝で台湾と対戦してリリーフで出ましたが、2本のホームランを打たれて負けてしまいました。
その悔しさがずーっと残っています。
落ち込んでいるところをチームメートからいろいろ声を掛けられて、3位決定戦では力を出せたかなと思います。
3位決定戦の相手はアメリカで8-3で勝利することができました。

バロセロナでは悔しい思いをしたので、28歳のアトランタオリンピックでは金メダルを取ろうという思いが強かったです。
キャンプ中に内転筋を痛めてしまいました。
キューバ、オーストラリア、アメリカに負けて非常に厳しい状況でした。
ニカラグア戦で登板することになりました。
これに負けると予選敗退という事になりますが、結果は勝つことができました。
その後韓国、イタリアに勝って決勝トーナメントに行くことができ、準決勝でアメリカに勝ちました。
ニカラグア戦からの5試合のうち4試合に登板となりました。
決勝のキューバには敗退しました。
我々のチームは個の強いチームでしたが、ニカラグア戦からチームがまとまってきたのかなと思います。
銀メダル獲得という事になりました。

もう一回オリンピックにチャレンジしたいという思いがありました。
プロからの誘いはありましたが。
2000年のシドニーオリンピックではプロ参加OKという事になり、プロとアマの合同チームに変わりました。
色々あってちょっと腹立たしいものがありました。
代表落ちという様な報道がされて、悔しい思いをしました。
一応当確と言うようなことになってきたが、精神的に落ち込んでいたので辞めようかと思いました
後輩の宮本選手から電話があり、「僕に金メダルを見せてください。・・・」などなど言われてもう一度頑張ってみようと思いました。
準決勝でキューバに敗れて、3位決定戦で韓国に敗れて4位となる。
一緒に練習する機会の少ないチームで、チームとしてまとまるのには時間のなかったチームだったと思います。
大会、大会で自分を成長させてくれたオリンピックの大会だったと思います。
東京オリンピックでは金メダルを目指して一戦一戦戦ってほしいと思います。