2016年6月5日日曜日

小原乃梨子(声優)       ・時代を創った声(5)

小原乃梨子(声優)       ・時代を創った声(5)
ドラえもんののび太君、マージョ様ドロンジョ様ほか様々なアニメのほか、映画の吹き替えなどを担当。
26年間 のび太君を担当。
映像を見ていると役に入って行ってしまう。
お色気のあるキャラクターの元になったのは、吹き替えでブリジッドバルドーとかジェーンフォンダ等を担当するようになって、そうなってきた様に思う。
ヤッターマンシリーズは悪の3人組は変わらずにやっています。
色っぽいとどうしても下品になってしまうのでやだなあと思って、品が悪くならないようにやっています。
たくさんのキャラクターがかさなってくると、例えばブリジッドバルドーを演じるんじゃなくて、ブリジッドバルドーのやってる役を演じるんだと判るまで時間がかかりましたが、それからは楽になりました。

小学校4年生の時に終戦で、童謡がはやっていて、いいなあと思って劇団に入団していろいろ教わって公演したりNHKのラジオに出たりしました。
劇団には3つ下に池田昌子さんがいました。
父は弁護士だったので、私のすることは好きではなかったようですが、母からは洋服をつくってもらったりいろいろ随分サポートしてもらいました。
中学では演劇部で演劇の勉強などをしていました。
若草物語の映画が来て、この役をやりたいなあと思っていました。
女優を意識したのが若草物語を見たのが初めてです。
それから何十年経ってから吹き替えを担当するようになったが吃驚しました。
その後高校卒業後TVに飛び込んで、やたらでていました。
洋画の吹き替えのジャンルがでてくるが、生放送だったので画像と合わなかったことがしばしばだった。

録音になるが30分ロールを回すが、とちったら最初からやりなおすので、皆さん円形脱毛症になりました。
男性陣は大変でした。
朝までかかったのが良くありましたが、みんなで協力していい輪が出来ました。
今はいい翻訳家が沢山育っているので楽ですが。
TVの草創期を支えたメンバーといった感じです、だってそれができなくては帰れないんです。
アニメも増えてきて、吹き替えはイアホーンから聞こえてくるが、本当にしっかり見てしっかりやらないとどこのタイミングでやるのかが難しい。
紙で動くところに感情を入れるのは吹き替えとは違います。
人形劇 ブンブンたいむ ぬいぐるみの中に入っている俳優さんが上手だとやり易いです。
声がでなくなった時は大変つらいです。(風邪、体調など)
自分でここのトーンでこう行きたいのに、でてくる音がそうでないときは本当にきついです。
2カ月ぐらい声がでなくなった時もありました。

私の失敗談からとか、基礎が大事ですよと、若い人たちにアドバイスしています。
健康も芸のうちです、周りに迷惑をしてしまうので。
皆年齢が上がってゆくので、ドラえもんも次の世代に渡してゆくのも、素晴らしい事じゃないという事で変わったわけです。
いい作品は色々な世代をつないでいかなければ。
子育ての時期は大変でした、なりふり構わずという様な状況でした。
子供を親戚に預かってもらって、見てもらったりしました。
明け方の時もあるので、迎えに行って回りに気兼ねして車をそーっと出すことがありました。
主人の母が認知症になった時は相当きつかったです。
どうしていいか判らない状況で、頑張りすぎました。
乗り越えるのにはこの仕事をやらなければという思いがあり、必死な時間が何年間かありました。
祖母がそうならなかったら、私は回りのありがたみが判らずに来てしまったのかもしれません。

今の若い人は本を見ない、文字は素晴らしいツールなので、感じられる心が持てるように詩がいいと思う。
いい経験よりも悪いとか嫌な経験の方が力になると思います。