2016年6月24日金曜日

冨田 勲(作曲家)       ・響きを極める(2)

冨田 勲(作曲家)       ・響きを極める(2)
1970年代 シンセサイザーを使った音楽で新しい分野を切り開いてゆく。
NHKでステレオ放送を行い、他のメンバーと共に担当する事になる。
音楽の場合はオーケストラは、フルート、クラリネット、ファゴット、トランペット、フォルン、トロンボーン、チューバという風に、モーツァルト時代までは楽器は改良されたけど、ワグナー以降はそのまま、殆ど新しい楽器は開発されなかった。
アメリカでモーグ・シンセサイザー(アメリカの電子工学博士であるロバート・モーグが開発したアナログシンセサイザー及びその製品群) どんな音でも作り出せる装置を作りだした。
これは凄いと思って飛び付きました。
今までの楽器の延長ではなかった。
自分の描いた情景をそのまま現実の音として出している。
音色を変化させることも出来る。
これを使って、自分の描いている世界ができるのではないかと思い、音の宇宙を作ってみたかった、そういう装置だと思いました。
アルバム「月の光」 (音楽が流れる)
しずくなのか宇宙なのか違う世界を感じられる不思議な音、全部自分で行いました。
相談する人もなく、参考にするレコードもなく、音を作るのに直感が必要だと思います。

モーグさん自身もこういったというイメージがあって作ったわけではなく、音を作るうえでの色んな要素 46個を一つのフレームの中に入れたという、感じのものです。
アルバム「月の光」は日本のレコード会社では扱ってくれなかった。
新しいジャンルなので置く場所、棚が無かったと言う事だった。
アルバムを作るのに1年4カ月かかったので、何とかしなくてはいけないと思って、アメリカのピーター・マンヴェスというディレクターが「スイッチト・オン・バッハ」というアルバムをリリースして世界的にヒットさせて、彼しかいないだろうと思って、無我夢中でもっていった。
反応が余りにも違うので吃驚した、その場でやるということが決まってしまった。
クラシックチャートで最後には1位まで行きました。(1974年)
それから日本で知られるようになる。
ここで新しいことをやって世間をあっと脅かしてやろうと言う事は全然なかった。
新曲「イーハトーヴ交響曲」 歌姫に初音ミクを起用したが、呼吸が合わないと駄目で、それが実にうまく合って、生の指揮者に合わせてバーチャルアイドルが歌うと言う事は、これからの現代アートにおいて絶対必要なことだと思います。
宮澤賢治の不思議な異次元の世界のパイオニアには、絶対このキャラクターは必要だと思いました。
「勝海舟」のテーマ曲(音楽が流れる) 1974年
当時アメリカ大陸まで横断する事は今の宇宙を目指す若者たちの心意気と同じだと思います。
水平線から太陽が昇る、そんなイメージなんですが。
シンセサイザーをやりながらやっぱりオーケストラの音の魅力を忘れたくなかったのでこういった曲を書いたわけです。
手塚さんとの付き合いもあって、手塚さんの映画は必ずオーケストラで演奏しました。
オーケストラにも新しい発見がありました。
好奇心がある以上は続けてみようと思っています。
面白いことをやっている事で、結果的に新しいことだった。
「イーハトーヴ交響曲」の中から「銀河鉄道の夜」 (音楽が流れる)