2016年4月3日日曜日

向井真理子(声優)       ・時代を創った声(3)

向井真理子(声優)       ・時代を創った声(3)
マリリンモンローの殆どの作品の吹き替えを担当。 現在80歳
「荒馬と女」 TV吹き替え版 荒々しい役だった。
どこでモンローらしさを出すかと苦労しました、強い言葉でもかわいらしくやろうと心掛けました。
私は年令より幼稚でお色気は殆どなかったです。
当時20代後半、色気のない女優の名前のトップにあった。
お色気の勉強をするようにマネージャーから言われてしまいました。
「百万長者と結婚する方法」
お色気をどうしたら表現できるか、赤ちゃんが泣く声をきいて、こんな感じかなあと思ってテープにとって勉強しました。
子犬が母親に甘えてクンクン追いかけている声を聞いてテープに録音して、その声を一生懸命稽古しました。
しかしそれが通用するとは思わなかったが、それがすんなり通ってしまった。
それからはお色気の有るシーンの有る役ばっかり来てしまいました。
マリリンモンローはヌードをいくつも出されていた女優さんなんで、当時精神的に幼い私としてはとんでもない不潔というイメージでした。
オードリーヘップバーンの様な清潔な女優が好きでした。
「百万長者と結婚する方法」を2年ぐらいやらさせて頂き私にもできるかなあと思いました。
マリリンモンローをやる前にブリジットバルドーの「裸でごめんあそばせ」をやらせていただいたので、バルドーさんの担当をするのかなあと思いましたが、マリリンモンローさんになってしまいました。

中学卒業後、宝塚の音楽学校に入学。
中学の時に演劇部に入って、そこで何回か主役で芝居をして、芝居は面白いと思いました。
数学と理科が苦手でそれがないところに行きたいと思っていて、宝塚がいいと言われて、入ることが出来ました。
歌も苦手でダンスは踊ったことはなく日舞もやったこともなく、とにかく大変でした。
芸術座がとなりにあって、ミヤコ蝶々さんが主役で芝居をしていて、男の子の役で出していただいたりしました。
踊れないし歌えないと言う事で、大変だったので、友人に帰りたいという事を書いたら、結局辞めることになってしまった。
3年間宝塚にいましたが、高校は出ていなかったので、どうしようかと思ったが、TBSでTV女優募集があり、受けて合格しました。
養成期間が1年間あるが、1週間もたたないうちにオーディションがあると言う事で、マイクの前でセルフを渡されて読んで、朝の連続ドラマがラジオ放送されていて、その主役の真弓と言う役でいきなり決まってしまった。

宝塚は演劇は1カ月に1度位で日舞、ダンス、声楽などいろいろ種類がありそちらにとらわれていて芝居の勉強はしてきませんでしたので、怒られて、怒られて、泣いてしまいましたが、女の武器を使うなと又怒られました。
やってゆくうちに自分の中で、もうこれしかないと思ってきました。
モンローをやってからその役以外は使うなと言われましたが、他をやりたかった。
作品をやってゆくうちに大好きな女優になっていきました。
アニメの場合には血が通っていない絵なのでどうやったら血が通う様になるのかなあと、かなりパワーが要りました。
吹き替えは本当に難しいです、自分が声を入れることによって台無しになってしまったら、本当に申し訳ないので、少しでも声を入れた時に俳優さんが少しでも良く見えたら幸せだなあと思いますが、そこが難しいです。
生活習慣が違っていて、肺活量の違いが大変でした。

今はテープと台本を前貸ししてもらって、稽古を沢山出来ますが、私がモンローをやった時は前日に呼ばれて1回だけ映画を観させてもらって、台本だけ家に持って帰って、翌日もう一回見せてもらって、次は本番になります。
失敗すると最初からやり直します。(自分だけではなく他の人の失敗もあり、終わるまで大変時間がかかります)
若い人たちはしゃべり方がみんなアニメ風なので、朗読、語りをやるとアニメ風にはならない。
みんなおんなじように聞こえてしまう。
発声がアニメ的になってしまっている。
個性がなかなか見つからない。
語りの会の集団をやっていて、大きく出来たらいいなあと思います。
声にして本を読んでいただけると健康にもいいと思います。