塚本治弘(日本気象学会、日本植物学会会員、写真家) 雲を見つめて60年
昭和13年生まれ 雲を観察し始めたのは、小学校6年の時、夏休みの自由研究で雲のスケッチをしたのがきっかけでした
雲のことを知りたくて、記録や写真を撮り、NHKの気象通報を聞いて天気図の作成も始めます
雲は塚本少年の想像力を掻き立て、珍しい雲を見つけたときは、まるで宝物を見つけた気分になると言います
1982年、塚本さんは太陽に輪ができる幻日環の撮影に日本で初めて成功します
塚本さんは最近は地球を包む雲の声を聞くを合言葉にゲリラ豪雨と其解明を目標としています
小学校の6年、自由研究で、雲調べをした 3っつの要因があったと思う
①私をかわいがってくれたおじさんが、雲の話をしてくれたが、戦死してしまった
②クラス担任の先生が、ゼロ戦のパイロットだった 空の上から見た世界、飛行機雲の初体験
空への興味がわいた
③ラジオの「鐘のなる丘」 映画化された 雲海の映像が撮ってとっても綺麗で、感動した
誕生祝いとクリスマスプレゼント、正月のお年玉の3つ合わせてカメラを買ってもらった
其カメラで雲を撮り始めたが、現像すると真っ白で、うまくとれなかった
父親からカメラを借りて撮ってみたりした
写真を見せたいので、学校の気象観測所があって、そこの先生に持って行って、いろいろアドバイスを受けた
高校では天気図を書くようになった
雲を研究するのだったら、天気図をかけないといけないと先生から言われた
天気図を書くのが日課になって、それを見ながら、どんな雲がいつ出るかという研究が始まった
高校3年の時に研究を纏めて発表しないかと先生から言われて、纏めたものを日本学生科学賞というのがあって、そこに応募したら、最優秀賞を取ることができた
大学から現在に至るまで雲を研究してきている
面白いように目的の雲に会う事が出来たりした
撮った写真は10万枚になる
1959年 富士山のはるか上空に真珠雲を発見して、撮影した事は一番感動した
新聞社の記事に写真入りで、掲載された
太陽が沈んで、やや夕焼けが終わりかけたころに、突然赤く真珠が輝いたというような感じ
極めて珍しく、おそらく日本で最初だろうとの、関係者の注目を集めている との記事
雲のずっと層になっていた雲に穴があいている雲を見た、撮影をして、どうしたらこのようになるのだろうと思ったが、解らなかった
穴の直径は数百m~1kmぐらいか? 消防署に連絡した人もいたとのこと
倉島惇先生に写真を見せたら、珍しいと、雲のでき方について説明してくれた
上空に飛行機雲があって、それから、氷の粒が落ちてきて、下にある水粒で出来た雲にその氷粒が穴をあけてきたんだという説明でした 撮影、武蔵野市
幻日環 長年見たいと思っていた 太陽が沈みかかっているところに見事な輪ができている
太陽に笠ができると雨になるとか言われるが、笠ができて、其脇に太陽と同じ高さに幻実という幻の太陽が二つできる、二つを結んで、太陽と反対側に輪ができる、それが幻日環という
それを撮るのには魚眼レンズが必要 撮影までに20年間かかる
武蔵野市で撮影したが、東京で見られるのは非常に珍しい
(北海道、南極とかではもっと見られる回数が増える)
常に雲は形を変えてゆくが、雲は13~15kmがてっぺんで それから下の対流圏に雲ができる
雲の種類は大きく10種類に分けられる その下に14種類があって、更の9つの変種があって
もう一つ副変種が9つあるといわれている
全部合わせると300種類に分けられる
すじ雲が出ると雨 太陽に笠が出来る 月に笠ができると雨 まんまるい笠天気が悪くなる
笠が破れていると雨は降らない
イワシ雲、サバ雲は雨 漁業地域でよく言われている
山の方に雲が入るのを入り雲→雨 山の方から出てくる雲 出雲→晴れ
羊雲は雨 羊雲 羊の後ろ足でたっているような羊雲→午前中に出ていると昼から雷雨
大気が非常に不安定であるときは、撹拌される雲が多い 撹拌されると立ちあがった様になる
波雲が出ると雨の場合が多いが、波雲だけでパーセントを取ると30%だが、西から打ち寄せているような波雲が出ると雨になる、8~9割の雨になる
1日13時間、5年間続けた 一番多いのが羊雲 うろこ雲→30% なまこ雲→30%
綿雲→10% すじ雲、雨雲
地震雲は?
地震を予測するような雲はもし存在しても、普通の雲と区別がつかないだろうと、先ずは存在しないだろうという事になっている
地震の前の発光現象があるが、花崗岩とか硬い岩がストレスを受けて、はじけるような状態になると光を発することはあるので、そのような条件の時には出来る
海での場合は水にさえぎられて、発光現象は起きない
「東京キッド」で入道雲が出てくるが、実にきれいだった
「24の瞳」 瀬戸内 海の影響を受けて雲ができる
「穢れ無きいたずら」 羊雲の波状雲 雲の映像は映画のストーリー展開にかかわっている
「男はつらいよ」 鐘つき堂の向こう側が夕焼けの積雲から層積雲 なまこ雲に変わっている雲があると判って、作品のあじわいも知らず知らずのうちに感じ取っていると思う
雲は雰囲気をだす重要な要素
うろこ雲が書かれているゴッホの「モンマルトルの丘の眺望」 入道雲が出て居たらと思うとやっぱり雰囲気が違うと思う
有名な絵画作家の作品を集めると10種類の雲が全部集まります
環八雲の発見者でもある 1969年 雲の出方がおかしいなと気がつき始めた
環八の上空に沿って並んで沸き立っている ゆっくりと南から北に動いている
平らな地域に雲ができることは大変珍しい 20年間研究して、雲の核がジーゼル車両から排出される微粒子物質で、首都圏だけが熱くなるヒートアイランド現象に依って吹き寄せられて、その地域に雲が出るという事が解った
地図に載せてみると首都圏だけが400~500km、南に移動した状態
環境が違う 環境の違いの境目に雲ができる
同じような現象が 名古屋、北海道の札幌、京都、大阪でもあるが東京ほどひどくはない
四条雲と呼んでいるが、大阪で出るものは、大阪で雲が発生して、京都の四条に進んでいって、そこで止まって、夕方を迎える
嵐山で酸性雨に依って被害があるという事が解った
これからは、首都圏で起こるゲリラ豪雨の原因を突き止めていきたい
目黒、世田谷、杉並 環八雲が多く発生する場所に多く発生する
雲を見ていると、細かいことにくよくよしなくなったりする
自分が生まれ変わっても雲を研究していきたいと思っている
雲は次々に解らないことが出てくる
大陸からくる雲にはさび菌が入っている 梨、麦に被害がある菌
黄砂と一緒に飛んでくる 最近はもっと、PM2.5とか重金属類とか悪いものが、ちょぼちょぼっと出てくるようなので、心配です