中村宣郎(義肢装具メーカー) ・人も街も輝かせたい
中村宣郎さんの会社は山間にありながら高い技術力で世界に知られるとともに、古民家の再生など地元の街つくりにも深くかかわり、石見銀山の世界遺産登録に貢献しました。 病気やけがで身体の機能を失った人たちにどう向きあっているのか、そして故郷街つくりへの思いを伺いました。
義肢と言うと義足義手のことになります。 装具は骨折,じん帯?損傷の為に用いられる装具になります。 サポーター、コルセットなどもそうです。 オーダーメイドで作るものと既製品と両方あります。 技師装具国家資格があります。 1年目に糖尿病で片足切断をした広島の方がいました。(80代) 納品の際に四苦八苦しました。 患者さんからも「自分も努力する。」という言葉をかけていただきました。 歩けるようになって頂けました。
中村ブレイス(株)は島根県大田市大森町(人口約400人)石見銀山のふもとの山間にあります。 父であり現会長の中村敏郎?が生まれ育った町でスタートしました。 シリコンゴムを使って靴の中敷きを作って、膝の治療用とか偏平足の治療用で製品化して、徐々に認められていきました。 機能的な製品作りがメインでしたが、アメリカでは人工乳房を提供していて、日本でも提供できないかという事がスタートになりました。 芸術の概念を取り入れながら進化していきました。 女性の手などは材料を変えて爪の部分にはマニュキアが塗れるような工夫もしています。
アスリートへの支援、元パラリンピック水泳一ノ瀬メイ選手、車椅子テニスの三木拓也選手などに協力しました。 三木拓也選手はパリパラリンピックのダブルスで銀メダルを獲得しました。 サポーター、靴の中敷きなどを提供してきました。 中敷きも1,2㎜の感覚の違いを指摘されました。 要望を受け入れて作り込んで行きました。 助けるというのではなく、支えるという気持ちをもって対応しています。
65軒の古民家を再生してきました。 街は文化的な側面が大きいと思います。 2024年3月までの12年間に転入、転出の差し引いた数が47世帯になります。 出生数が50人になります。 年間出生数が4,2人という事になります。(人口約400人) 父の思いが実を結んだのが、2007年の石見銀山の世界遺産登録でした。 鉱山の跡だけではなくて街並みを含めてその価値が認められて世界遺産になりました。 大逆転の決定だったのでお祝いの為のくす玉とか提灯などはほとんど用意していませんでした。
一時期オーバーツーリズムがありましたが、住民同士が決めた大森町住民憲章があります。 「この町には暮らしがあります。 私たちの暮らしがあるからこそ、世界に誇れる良い町なのです。」 今は落ちついてきました。 町内に住んでいる住民と新たに来る人たちとの価値観の共有、すり合わせをすることが重要になって来ると思います。 今後もいいものつくりをしていくことで新たな若い人たちに来てもらうための最低限必要なことだと思います。 魅力を発信していきたい。