吉田玉男(人形浄瑠璃文楽 人形遣い) ・人ありて、街は生き アンコール 師から受け継いだ芸、次世代へ(初回2024/1/6)
2023年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された人形遣いの2代目の吉田玉男さん。 玉男さんは武将や町人などの男役、立ち役の第一人者として文楽を牽引する人形遣いです。 半世紀余りの間人形一筋に歩んできた玉男さんの芸の世界のお話を伺います。
入門してからはほとんど立ち役をやって来ましした。 「奥州安達原」で最初は公家のいでたちで後半は猛々しい侍の姿で迫力のある武将の役。 人形が大きい。 10kg近くあります。最後の15分ぐらいは動き詰めです。 複雑な人間模様でややこしいです。 「曽根崎心中」などでは弱弱しい町人もあり、優男の難しい所もあります。 文七のかしらを持ってきましたが、眉毛が上下に、目が左右に動くようになっていていろいろ表情が変わります。 3人使いでおこなっていて、入門当初は足遣いから始ります。(約10年間) 女方には足はないんです。(昔は女性は足を見せないように歩いた。) 真ん中にいるのが足遣い、右側(お客側から見て)が左遣い、3人で毎回やっています。
中学校2年の時に人形遣いの吉田玉昇さんに勧誘され、手伝いをするようになって文楽に興味を持つようになる。 高校にはいかずに初代吉田玉男に弟子入りしました。(昭和43年) 昭和44年に初めての役に付きました。 『吉田玉女』(よしだ・たまめ)を名乗りました。 足遣いは10年ぐらいやりました。(左遣いなども覚えるが) 次に左遣いで左手を動かします。 右手でもって左手は空くので、小道具、扇子などを懐から出したりします。 足遣いの時にも子供の人形を使わせてもらって、主遣いもさせていただきました。 主遣いが一番楽しいです。 千秋楽の次の日から4日間は勉強会と言う形で主遣いをやらせてもらいました。
役柄の心情,性根は台本をよく読まないと駄目ですね。 弟子は先代に似せないといけないですね。 先代とは35年ぐらい一緒にいました。 3人で扱うようになったから300年近くなります。 3人を合すというのは主遣いの呼吸で手も足も出るという事です。 主遣いからサインが出ます。 先代の感じを入れて僕の感じも入れる様には心がけています。 後継者のことが問題になっています。 足遣いも間が8年近く空いています。 自分の芸、後進の指導も行わなければいけないし、新しい人にも来ていただかなかればいけないと思っています。