2017年9月18日月曜日

寺澤康行(日本鳴く虫保存会会長)     ・【にっぽんの音】

寺澤康行(日本鳴く虫保存会会長)  ・【にっぽんの音】
会員150名、今から50年前「カンタン」と言う虫の飼育が難しく誰もできなかったが、小平市の小野さんが子の飼育の成功して、「カンタン」を自分たちで飼育して戻してやろうということで、高度成長期でもあり、虫がいなくなっていて、なんとかしないといけないということとぶつかった訳です。
虫を飼育して還す活動をしています。
鳴く虫のコンクール、今年19回目、鈴虫、松虫、カンタンの三種類です。
虫の習性はそれぞれ違う。
虫の飼育に頑張り鳴く虫の文化をつないでいこうと言う2つが、基本になっている会です。
コンクールには誰でも参加できます。
暗い部屋に持ち込んで有る一定期間(40分間)で審査します。
①声が大きい
②声が長い
③声が綺麗
この三つで採点します。
トップには市長賞として表彰状が与えられます。

審査は6時~6時40分ですが、野生の虫は7時30分から8時頃から鳴くので、その時間に鳴くようにどうしたらいいか、とか環境を考えないといけない。
鳴くことは求愛なので、餌とか、色々な環境をどうしようか考えます。
私が小学4年生の時に担任の先生から、平和が来たら皆が飼うようになるからそれまで飼っておきなさいと、鈴虫を 5匹頂きました。
昭和25年は朝鮮動乱がぼっ発して、立川はジェット機が飛び交っていた時代でした。
そういうのが出発点でした。
風呂桶の古くなったものを貰ってそこで飼って、食料は動物性タンパク質、植物性タンパク質の両方を与えるといいと言われますが、多摩川で魚を釣って干して与えるとかしました。
虫を飼うようになって67,8年になります。
色々な種類の虫を飼いました。

①キリギリスの鳴き声 ②カンタンの鳴き声(一番低い周波数 2500Hz 鈴虫は3500Hz 松虫は4500~5000Hz) 
馬追い虫 1万500~3000Hzで還暦を過ぎるとほとんど聞こえなくなる。
虫は鳴き始めてから死ぬまでの間で周波数が変わって来るので、人間の年齢にすると30歳とか判りますし、収録した温度もだいたい判ります。
23,4度の声は語り掛けるような音に変わります。
鳴き方には3種類有ります。
①縄張り宣言の一人鳴き
②求愛の鳴き
③喧嘩鳴き(オス同士で餌の取り合い)

エンマコウロギ、ツヅレサセコウロギ
ツヅレサ=繕うという意味
晩秋になったら夜なべに今までボロになったところを、「肩させ、裾させ」と言うふうに縫って下さいと教えている言うふうに聞きまして、その虫の事を「つづれさせ」と言ったようです。
*観世流 能の謡「松虫」
クツワムシ キリギリス科 通称「ガチャガチャ」 庭に放っておくと忍者が来たときに鳴きやむと言われていたが、飼育してみると鳴きだしたらなかなか止まらない。
音も虫の声のなかでは最大ですが、性格はおとなしい。
和泉式部 
「わがせこはこまにまかせてきにけりとききにきかするくつわむしかな」
男の人をクツワムシに例えて詠った。

江戸時代 商売になって来る。(虫売り)
当初千葉で捕まえて江戸で売っていたが江戸末期になると、飼育方法を確立して、問屋さんに渡して、売る人間に渡して販売すると言うことが確立する。
最近は虫を飼育する人が少なくなってきた。
幕末に虫屋清次郎さんが「鈴虫のつくりよう」と言う本を出しましたが、20種類ぐらい取り扱っていた。
生活に困った武士なども飼育していたようです。
売る人は派手な格好をして売っていたようです。
虫の音を愛でることは日本独特のものです。
虫の音には癒されます。
紫式部が「鈴虫の巻」を書いたときに、鈴虫をこんな虫だと書いてますが、時代を越えて同じ声を聞いているんだなあと、そういうふうに思います。