歌 一洋(建築家) お遍路さんの心に寄り添う小屋づくり
88か所参りでは春になると白い装束のお遍路さんの姿を見かけるようになります。
遍路小屋は徒歩で四国88か所をめぐる歩き遍路の人々が一休みできる屋根とベンチのある道沿いの小さな小屋の事です。
今年65歳になる、大阪市の建築家の歌一洋さんはこうした遍路小屋を四国の全ての札所の近くに建てようと、考え遍路小屋プロジェクトと言う事で、すでに49棟が完成している そうです。
歌さんが設計する遍路小屋はその地域の特徴、風物を盛り込む様に、考えられ一つ一つ違います。
どんな思いで作り続けているのか、伺います。
カタカナで遍路小屋をなずけている。
病気、家族の供養、罪をながしたいとかあったが、今の遍路さんは前向きに廻る遍路さんが多くなっているのでカタカナにした。
今は新たに人生を見つめ直すとか、これからどうやって生きてきてゆくかとか、段々多くなった様な気がする。
大きさは4~10人座れたらいいので4~10畳ぐらいまでの大きさ。
屋根があって柱は無い場合もある、壁は無いようにしている。
お寺から1~2時間程度離れてところ作るようにしている。(お寺では休めるのですこし離れて)
実家にお遍路さんがよく来てくれていた。
両親が差し上げて居てのを見ていて、真似をしてお遍路さんを接待していた。
原風景として強烈に残っていた。
接待の気持ちは割とお遍路さんに対して素直な心を持っている人達はお米を上げたりしていたが、ご苦労さんと言う気持ちがあったものと思う。
自分が遍路にいけないからその代わりに廻ってもらったという気も有ったと思う。
私も回っているが、笑顔であいさつしてくれたりしてくれると、本当に心が、気持ちがよくなって元気になる。
20~30km歩くので疲れてくるので、そういった事に支えられて歩ける。
接待の気持ちは大人になってからも、持ち続けた。
外国に行っても人々がどんな気持ちで生活しているか、どういう祈りの気持ちを持っているか、興味があった。
足元をみたら、四国88か所巡礼の道があり、世界中に無い、貴重な文化だと気がついた。
設計をやっているので、小屋の設計だったら責任を持ってやれるのかなあと思った。
今は49か所完成した。
徳島県の美術館で遍路小屋展が有った。
1/10の模型を作って展示したが、初日に来た人が一緒にやりましょうと、言ってくれた。
その人が建築費を出してくれたりしてくれて完成した。
お遍路さんがそこで休んでくれてわきあいあいと話をされていて、心がホッとして嬉しい。
遍路ノートが置いてあって、たいていの方が書いてくれる。
100%近くが感謝の言葉 休ませていただいて元気が出て感謝しているとか、四国の方々の接待、お米をあげたり、言葉をかけたりしていただいて、無意識の励みになって、親切心に触れて感謝していますという様な内容ですね。
空海の作った巡礼道があるので、接待の心、それが残ったんでしょうね。
全部形が違っていて、徳島市に作ったびざん?と言う遍路小屋があるが、女性が阿波踊りをする様な姿があるがそのまま屋根にあてはめてあるが、すごく皆さんが喜んでくれる。
記念写真に良く撮られている。
丸亀に作った小屋は、丸亀は団扇が89%占めているので、団扇のイメージで作っている。
屋根の上にタンクローリーが乗っている様な小屋
そこは大ウナギが生息していて、そういうイメージで小屋を作った。
お遍路さん、地域の人が喜んでくれる。
休んだら楽しい元気になる小屋を設計している。
ボランティアなので設計料は頂いてない。
順調にいかない事も沢山あって、設計して断たなかったのは10棟以上あったが、残念だった。
地域の状況、行政、法律的に難しいとかで駄目になったりした。
設計から完成まで2年掛かった事もある。
景観のいいところには建てないほうがいいとの意見もあって、話し合いをして合意に至った。
2001年からスタートする。 最初個人でやっていこうとしていたが、4から5年やっていたら、協力しましょうという事になり、60人ぐらいが発起人になってくれて、有難いいと思っている。
全く予想もしてなかったので有難いと思っている。
土地があるからここに立ちあげましょうとかいろいろ情報を貰って、後押しをしてもらっている。
四国遍路のおもてなし。
たった一人で歩いていてもお大師さんと一緒に歩いているという気持ち、文化は貴重なもの。
親切心に溢れた地域に益々なればいいと思っている。
現在2か所、設計している。
徳島県の牟岐町(千年サンゴをイメージ)
愛媛県久万高原町(お大師さんに着物を捧げる話があるので、物語性のある物をイメージ)
最終的には89棟作りたいと思っている。
最後の建物は現在、イメージは一切ない。
個人的な思いを離れて小屋が出来て言っている感じがする。
私の存在が小さくなって、それはいいことだと思っている。
協力しましょうという方々が段々増えている。
11年掛かって49棟できたので、8~9年で出来ればいいなあと思っているが、それぞれの人達が出来る範囲でできればいいと思っている。
支えて頂いているという気持ちが益々強くなってきている。
いろんな方がたの協力がないとなかなかできない。
小屋を一個一個時間をかけて作っているので、お寺に巡礼している形でもある。
小屋に一つ一つ思いを込めて作らせてもらっているので、生かされているという事も非常に感じる様になった。
私たちの祖父母、両親も、何かいい事があるとお大師さんのおかげと言ってますので、お大師さんは親しみを込めながら、尊敬の念の凄くあるので、それがずーっと続いている。
気持ちが作る前よりも、自分自身が前よりも心が浄化されている様な気がする。
シンプルに物事が考えたり、見えたりするようになった様に思う。
一番大事なものは、見えるとは大げさかもしれないが、精神的にすっきりしてきている。
5回もおなかの大手術をしているし、片足彼岸へ6回も突っ込んだことがある。
しかしこの年になって、逆に前よりも元気になってきた。
神社仏閣にお参りするときには、感謝する、お願いはしない。
お金が会員さん、見知らぬ方から、振り込まれてくる。
頼んでもないのに、自然に集まってくるので有難いと思っている。
私の手を離れて動き出しているので、地域の方々と一緒に心をこめてお遍路さんの為に小屋ができればいいと強く思っている。