2012年9月16日日曜日

宮脇昭(植物生態学者84歳)     ・南北300kmの命の森をつくろう

宮脇昭(植物生態学者84歳)  南北300kmの命の森をつくろう         
(1928年(昭和3年)1月29日 - )は、生態学者、地球環境戦略研究機関国際生態学センター長、
横浜国立大学名誉教授
植物生態学の世界的権威で生態学センター長  震災跡地の海岸沿いに住民の命を守る南北300km
に渡る森をつくろうと呼びかけています
防風林、防潮林がどのような役割を果たしたのか、或は果たせなかったのかを細かに調査して歩きました
そこで得た結論は防潮林の樹木は松だけでは、津波を防ぐことができなかった  という事でした
土地土地に自生してきた様々な樹木を一緒に飢えることが大切で各地に残されている、鎮守の森の
姿が防災の森に適しているという事です
津波で樹木がどのように影響が有ったのか調査した   3.11の大震災時に、ジャワ島の現地調査に
入っていた
その津波の状況をローカルのTVで放映されていた  急ぎ3日を掛けて帰ってきて被災地に向かった
10m、20mの松が根こそぎにやられた   松だけでは無理じゃないかと思った
処が南三陸、釜石 等ではたぶ、白樫 は残っていた   本物とは厳しい環境に対して長持ちするもの 
生物社会の原則だと思います
七万本でたった1本残っていたのが、マスコミで騒がれたが、倒れた木がカバーして保護していたから
1本残っていた  塩水が中に入ったので長持ちしないと思った
矢張り 枯れてしまったが   それは松だけではだめだという事が判明した  松を支える たぶ、しい、樫の木
と混ぜて植えれば松も育つわけです

今 私達は もの、エネルギー 食べ物もあり余って 最高の科学技術で絶対大丈夫と傲慢に
振る舞っていたその瞬間に一番大事な命が、東日本大震災で2万人
もの命を失っている   温度 PH 等 計量化できるもの 数字で表現できるものが科学の対象で
あって どれほどそれが命や環境に大事なものであっても
計量化できないものは非科学的なものと思われてきた  
しかし21世紀は総合的に見る時代だと言われるけれども、日本で、世界で金で換算できるもの
数字で表現できるものが、科学的であってそれがどれほど命や、心や環境に大事でも、
今の不十分な医学、科学技術で計量化出来ない、数字で表現出来ないものは排除されている
それが現在の一つの不幸なことで 命も心も見えないわけです  
環境もトータルで判らない
それを見えるものだけで絶対大丈夫だという予測をして、釜石では63mの鉄筋 
大丈夫だと思っていた 処が東日本大震災でバーッと来ますと、津波のエネルギーが
突き当たると(10m 20mになって)、裏側から壊したり 抜けて 釜石だけでも1000人ほどの人が
亡くなってしまった

何が有っても生き残れる方法を考えないといけない 植物生態学 植物社会学 植生学を基本に
使って なにがあっても生き残る命の森を作っていただきたい
一番多いのが松だった  海岸だから松しか育たないと思われてきた 
自生しているものも低木に支えられて生きている
人工的に税金掛けて松だけにしたのが、大きな被害をうけて仕舞った  
大事なことは生物社会は多少気になる嫌な奴も 自分が生き延びるためには、皆殺ししない
お互いに少し我慢をして、共に生きてゆく これが40億年続いてきた地球の生物社会の原則です
小手先な対応でやる方法はまた失敗する  
紀伊半島で集中豪雨で100人近い人が亡くなった  倒れているのは杉や檜であって、
人工植林したものであって それが根が浅くドシャと一緒に成って
堤防破壊したりした  ものは再生出来る 命は再生できない

松  早く育つ 早く育つものは針葉樹 針葉樹は一般的に根が浅い  バランスが取れて行ない  
松、杉、檜は過去の植物 現代の様な立地条件では広葉樹が遥かに優勢です
遥かに優勢です  人間によって森が破壊されている(人工林)    
たぶの木  日本文化の原点とも言われ 折口信夫(しのぶ)民族学の先生が最初に書かれ、
池田弥三郎
しいの木  白樫 荒樫  番頭役(常緑広葉樹)・・・ 藪椿 もち  やまもも しろだもも   
それを支える低木・・・あおき やつで さかき さかき(常緑樹)
鎮守の森  限りなく自然に近い木が残っている   
厳しい外部環境 中ではお互いに競争しながら、我慢し、共生してきた  
40億年続いてきた生物社会の掟 それを基本にしてやらないと、植物の進化の歴史から 
いいますと、40億年前に宇宙の奇跡としてたった一つ 小さな地球という星に原始の命が科学的な
自然の奇跡で生まれたのです

そのDNAという細い遺伝子が、切れずに続いたから、今私達が有るわけです  
四億年前に海の水が引きました  陸上に上がったのは植物  初めは藻類  苔の類  
三億年前は間氷期  蕨の大森林ができて、三億年バランスが取れていた
石炭 石油 ガス  190年前に化石燃料を使って人間は燃やすことを覚えた  炭酸ガスができて 
地球温暖化が騒がれる様になる
裸子植物 いちょう ソテツ 針葉樹 檜 松 唐松 それから進化して 被子植物として 
常緑広葉樹 たぶ しい  樫(白樫 荒樫 裏白樫 いちい樫 沖縄裏白樫
奄美荒樫)  それらが森に覆われていた    今はそれらが0.06%しかない 後は人間によって
かえられたものなんです
(日本の常緑広葉樹を主とする照葉樹林帯では土地本来の森は0.06%しか残っていない)
松が問題 進化の過程から言うと 裸子植物の松 現在は被子植物の時代  
広葉樹に押されて隙間に部分的に有った  今ある松は本来の松の領域の250倍に増えている
生物社会はある種が減っても大変だけれども、増えすぎても危ない  人間もそうだけれども
海岸は黒松 どこでも育つ 内陸は赤松  里山 本来は常緑広葉樹  しかし人間が火を使うように
なって、暖房、下草刈りをしたり、人間によって熱帯化する

山の上に有った落葉広葉樹のクヌギ、こなら 山桜 えごの木 それが里山の雑木林として 
それが武蔵野の雑木林  2年に一回下草刈り 20年に一回
伐採して再生 その管理をしない限り 持たない   
3000年前には海岸には黒松が有った それが日本文化の原点と言われるし、松が育つには 
たぶ しい 樫類が共に育っていないと駄目
危機を前向きにとらえて、南北300km 幅100m、高さ22mの9000年続く平成の森を作りたいと
願っています 
瓦礫をそこに全部入れたとしても、マウンドのたった4.8%しかない   
国家プロジェクトとして是非進めていただきたい  9000万本必要
1年間提案していたが、なかなか動かなかったが、たまたま細川元総理から電話がありまして、
協力の話がありきてくれた
瓦礫を生かす森のプロジェクトという 法人を作りまして 21世紀の鎮守の森、9000年続く平成の森を
作りたいと思っています

来年までに被災を受けた19か所の鎮守の森を日本財団の協力で進めています
先ず出来る所からやっていく  点から線に線から帯にと そして東北地方以外にも広げて日本列島
の出来る所から始めてゆく
命の森作りを是非皆さんとともに進めてゆきたいと思っています
我々人間が最大の害虫ではあるが、人間が破滅することはできない  
だから人間私達が生き延びるために少し我慢しながら出来る所から命の森を作る
何故森を作るか 森なんか関係ないとおっしゃるかも知れません 
実は我々がどれほど科学技術を発展させ、富を築いて エネルギーや食べ物が一杯になっても
この地球上に生きている限り 森の寄生虫の立場でしか生きてゆけない  
バターとか食べ物 衣服すべて基は植物です
炭酸ガスを吸収するのも植物です   今すぐできる事から始めましょう