2011年7月7日木曜日

松本猛(絵本評論家)       ・絵本が育てた子どもの心 

松本猛(絵本評論家)    絵本が育てた子どもの心 
松本猛はいわさきちひろ(絵本画家)、松本善明(弁護士、元・衆議院議員)の長男として生まれる  
母 岩崎ちひろの事、絵本の事、ちひろ美術館を建てる、

こどもの水彩画に代表される福井県武生市(現在の越前市)生まれの日本の画家・絵本作家である。左利き。
つねに「子どもの幸せと平和」をテーマとした
1939年(20歳)4月 ちひろのほうではどうしても好きになれなず形だけの結婚 
翌年、夫の自殺 ちひろは二度と結婚するまいと心に決める
中谷泰に師事 戦争の実態を知り、自分の無知を痛感する 
1946年(27歳)1月、宮沢賢治のヒューマニズム思想に強い共感を抱いていたちひろは 日本共産党の演説に深く感銘 
 
1949年(30歳)の夏、党支部会議で演説する青年松本善明と出会う  
二人は結婚 ちひろは31歳、善明は23歳  
1972年の『ことりのくるひ』はボローニャ国際児童図書展でグラフィック賞を受賞
自分の気持ちがゆったりしている時に絵の言葉が聞こえてきたりとか、そんな風に思う 美術館の建物はゆったりのんびりしたものを作りたかった  
絵本の美術館なのでリラックスしてもらえる  
絵本は教育論だった どういう絵が教育に良いか    ちひろ美術館を作る 絵本の絵の原画の取り扱いがひどかった 
原画に価値がない 芸術的なものの見方がない   
出版社が原稿を買ったのだからどうしようが自由だとの考え

我々は絵の使用権を売るんだ 著作権は我々にあるんだという運動を起こしてゆく 
価値観を変えるのは大変な努力が必要だった
岩崎ちひろは必ず原画の返還を要求していたので、原画が残ることが出来た
世界で初めての個人の絵本の美術館と言う事になる
1977年練馬に180平米 家を壊して作った ・・・開館してそのうち客足が途絶えるかと思ったが、ずっとお客は増え続けた
原画と言うものは印刷された物と比べてずっと情報量が多い  
原画の価値は絵本の価値とは別なものにあるだろうと思う
1997年長野県安曇野に安曇野ちひろ美術館を作る
世界の国を回ってみても、素晴らしい作家の原画がなくなってしまっていたので、これはまずいだろうと思いいろいろな絵書きさんのコレクションを始めた

かなり溜まって来て、どこで公開しようかと思ったときに、岩崎ちひろの古里の信州に作ろうと思った
世界の絵書きさんの絵が全部見られるようにしようと考えた
エリック・カール 腹ペコ青虫 でおなじみの方 世界中で一番売れている本 
パーティーで出会って、世界の絵本を美術館に展示したいと云ったら、猛お前に私の絵本をあげたいんだけどいいかいと言われる
あげるなんてありうるのだろうかと思ったが、本当に送って来てくれた  
海外の最初の作品となった なぜか彼とは気があった
アメリカにもこういう美術館を作りたい、手伝ってくれと言われ、手伝う  
今 マサチューセッツ州にある  安曇野ちひろ美術館に似ている
いろんな色の紙を持っている(自分で色を紙に塗る) 
それを切って貼る・・・絵を作り上げてゆく
人を驚かせたいし、一緒になって楽しみたい(絵の中にいろいろと工夫をする)

赤羽末吉  日本界のオピニオンリーダーの方で、絵本論を展開していた 
私は地元で絵本論をやるようになって、可愛がられた
子供のような自分に対して、対等に話をしてくれる  熱血絵本作家である
亡くなった後、家族の方から、全部作品を譲りたいとの話あり、宮澤賢治の作品と戦っている時、これは手ごわい相手なんだよと言って どういう風に戦えばいいのか判らない と言っていた あらゆる種類の道具を使って作品作りをする(ボールペン・・・・)  
自分は大陸にいたから大陸の乾いたものと、日本の湿潤なものと両方を描くんだ 
日本の場面を描く時には和紙を使ったりする ・・・工夫しまくり
子供たちを楽しませる絵本作家は自分でも楽しむ 楽しみたい人(子供の感性)

子供はこう云う風にやればきっと喜んでくれるんじゃないかと考える・・・童話作家 文章の書き手と絵書きが拮抗していて、火花が散るような戦いがある時に、見た人達は感動する  
凝縮してゆく、絵本の頁が少ない 哲学的内容を含んだものもある
心から癒されるとか、生きること 人間はどのように暮らしてゆくかとか 本当に幅広く深く読み取ることが出来る ・・・柳田國男が言っていた
明治時代のお上が美術館を作る 
敷居が高くなってしまった→変えてみたい
子供は絵本を見るときに本当に隅々まで良く見る  
子供の方が絵の楽しみ方を知っているのではないか

絵本の大切さは中身だけでなく 形だとか、使われ方だとか、そんなことによる人と人の結び付きだとか、そういうものを伝えてくれるものだと思う
電子ブックは電子ブックでいいが、絵本と言うものの価値は失ってはならない 仕掛けのある絵本は次々と出てきているが、平面の中であっても仕掛けがある 
気付いたときに「はじめて嬉しい」 想像力を要求する  
岩崎ちひろは物語の終わった後の絵を描いている ・・・新しい世界を作り出している
絵本は・・・表現のジャンルのひとつ ・・・安曇野とは何だろう・・・絵書きさんと一緒に何かやりたい
美術館と言うのは人が集まってくる場としても考えている  
絵だけを見るのでななくて、そこに来てくれる人が、絵具の滲みはこんなに美しいとかと、発見して子供たちは教える人から「ありがとう」と言われるのがこんなに嬉しい事かと、気付いたりとか そういう場としての美術館をやってみたい  
美術館は勉強に行く場所でなはくて、人が楽しみに行ってそこでいろいろな出会いがあると云う事も、素敵なことなんだろうなと思う
帰ってゆく人がああ生きてて良かったと思う様な、そういう顔にしてくれるような美術館を作ってゆきたい