佐々木良(作家) ・現代“わかもの”言葉で、万葉集を詠む
万葉集は現存する最古の歌集で、天皇から庶民まで幅広いい詠み人の歌のおよそ4500首が納められています。 佐々木さんは万葉集に納められた歌を現代の若者たちが使う言葉を使って訳し「愛するよりも愛されたい」 「太子の少年」というタイトルで出版、これが面白いと共感すると口コミでひろがり、発行部数20万部を超える異例のヒットになりました。
右のページに佐々木さんの訳の万葉集の現代版、左のページにオリジナルの歌が書いて注釈がある。
大伴坂上郎女が恋人の官僚の藤原麿に宛てた歌。
「来(こ)むといふも来(こ)ぬ時あるを来(こ)じといふを来(こ)むとは待たじ来(こ)じといふものを」
佐々木良 訳
「くんのかいこんのかいくんのこんのいやこんのかい」
プロポーズしてくれるのかくれないのかやきもきした歌ですが。頭で韻を振っているのでいかしたかった。 SNSなどで、令和の言葉は短い。 面白いと思った90首ぐらいを一冊に納めました。
「ますらおや 片恋せむと 嘆けども 醜のますらを なほ恋ひにけり」 舎人皇子
「イケメンの俺が 片思いなんかするかよ て言ってたけど したわwww」
「愛するよりも愛されたい」が17万部、「太子の少年」は6万部です。
大阪出身の39歳、京都精華大学で油絵を専攻、卒業後は香川県の美術館で働く。 絵から文章に目覚めました。 手島の美術館設立プロジェクトに参加しました。 万葉集に行きつきました。
最初は500部作って、結婚式の引き出物として配っていましたが、面白いという事で20万部にもなって吃驚しています。 万葉集が出来た時代、当時は奈良弁が標準語だったので奈良弁にしました。
「白雲の五百重に隠り遠くとも宵さらず見む妹があたりは」 柿本人麻呂
佐々木良 訳
「無数の星で姿が見えなくなっても全集中で君のほうを見てるからね ほなね 織姫」
次は佐々木良 訳を最初に記載。
「いつでも心に愛はあんにゃけど今日は特に気合いはいってんで 仕事終わったら秒で合コンにゆく はっしゅたぐ(#)彼氏ほしい #恋したい」
元歌
「いつはしも恋ひぬ時とはあらねども夕かたまけて恋はすべなし」 作者不明
「奈良市内はいろいろ行きやすいけど 市街はどっち行ったらええかわからへん だって地図卍だらけやもん #奈良 #地図記号卍しかない #マジ卍」
元歌
「あをによし奈良の大路は行き良けどこの山道は行き悪しかりけり」 中臣宅守
元歌
「我が欲りし雨は降り来ぬかくしあらば言挙げせずとも年は栄えむ」 大伴家持
佐々木良 訳
「待ちに待った雨が降ってきた 今年は絶対豊作になる 皆が幸せになる」