香川靖雄(女子栄養大学 副学長) ・〔“美味しい”仕事人〕 延ばそう!健康寿命
香川さんは現在自治医科大学名誉教授、女子栄養大学副学長を務めています。 大学での講義を初め、研究活動、論文の執筆、学界での講演、副学長として大学運営にも携わっています。 1932年(昭和7年)東京都生まれ。 父はビタミンの研究者香川昇三さん、母は日本の栄養学の母と言われている香川綾さんです。 香川靖雄さんは東京大学を卒業後、聖路加国際病院、東京大学医学部助手、信州大学医学部教授、女子栄養大学大学院教授を経て、現在に至ります。
92歳で現役で教壇に立っています。 朝は6時に起きてテレビ体操をします。 栃木県から埼玉県の坂戸市まで通勤しています。 自転車に乗って直進していたところに、左折してきた車と衝突して5mぐらい飛ばされましたが、血腫で済みました。 運転していた人が高齢者でブレーキの対応が出来ませんでした。 高齢者だったら骨折してしまいますが、私の場合は骨密度が高くて、筋肉も鍛えています。 筋肉を作るのには抵抗力運動が必要で、バーベルとかスクワットとかやらないと筋肉は増えないです。
昔は歳をとると神経細胞は増えないと言われていましたが、100歳になっても場所によりますが神経細胞は増えます。 記憶力に関する脳の細胞は、海馬と言うところがありますが、私の様に論文を書いたり授業をしていると増えていきます。 退職して家でじっとしているとどんどん細胞は減ってゆきます。 働くことは大事です。 厚労省が日本人の摂取基準を出していますが、非常に大きな欠点が二つあります。 日本だけが葉酸の摂取量を低くしています。 240μgあればいいと言われていますが、世界的には400μg取らないといけないと言われています。 日本人は魚を食べてきましたが、ここ10年で摂取量が半分に減ってしまいました。 DHA(ドコサヘキサエン酸)が不足してきます。 脳と言うのは一番多い脂肪酸がDHAなんです。 不足すると認知症になったり、危機的な問題なんです。 うつ病、認知症に影響します。 葉酸とDHAをちゃんと摂るようににすれば、元気に過ごすことが出来ます。
葉酸の摂取量は年々減っていますが、葉酸米とかを作ることはです。 葉酸が不足すると障害児が生まれる。 それを防ごうというのが最初の目標でした。 葉酸は何故老化を防いでゆくかと言うと遺伝子が壊れて行ってもそれを直してくれるんです。 いろいろな病気を予防するのに大変役に立つ栄養素なんです。 坂戸市では病気になる人が非常に少なくて、医療費が少ないのと、コロナでの医療費が全国一位と減っているが、あまり知られていない。 健康寿命では埼玉県は3位です。 かつては埼玉県は40位ぐらいでした。
日本は平均余命が長いと言っても、認知症は人口当たりでは一番多いし、寝たきりが多いというのも有名です。 女性の半分は90歳を越えますが、実際仕事をしている人は1,5%しかいない。 男性の1/4は90歳になります。 90歳で働ける人は5%しかいない。 健康寿命は心がしっかりしていて動けることです。 今の栄養学の大きな欠点は精神栄養学がないんです。 国が決めている栄養の基準は筋肉労働の時代につくったもので、頭をよくするところのことは何も書いていない。 朝食を摂ってる学生と摂らない学生では2割成績が違うんです。 これは広く認められています。 人間の心と体を活性化するのには朝食は役に立ちます。 高齢者は朝、昼、晩も同じ量ぐらいを摂って行くという事が新しい健康法です。
父はビタミンの研究者でしたが、疎開先で過労死で早く亡くなってしまいました。 父の遺志を継いで、母は日本の栄養学の母と言われている香川綾です。 精神がしっかりしているということがとても大事です。 テロメアを長く保つような心と身体の健康が大事です。 私のテロメアの長さを測ると100歳までは生きられるだろうということが判るわけです。